ノーコード/ローコード開発ツールの普及に不可欠な「ノンユーザ」の動向把握

ノークリサーチは中堅・中小市場においてノーコード/ローコード開発ツールを普及させるために不可欠となる「ノンユーザ」の動向把握に関する分析結果を発表した。

<導入済み/導入予定の「ユーザ」からの類推では得られない「ノンユーザの視点」を持つことが大切>
■導入済み/導入予定の顧客に加えて、全体の4割超を占める「ノンユーザ」にも着目すべき
■ノンユーザには「幅広い固有業務への対応力」や「セキュリティ対策」を利点として訴求する
■「誰でも習得可能」などのメッセージは「ユーザ」には響くが「ノンユーザ」への効果は下がる

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2023年2月6日

ノーコード/ローコード開発ツールの普及に不可欠な「ノンユーザ」の動向把握

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小市場においてノーコード/ローコード開発ツールを普及させるために不可欠となる「ノンユーザ」(認知はあるが、導入意向のない企業層)の動向把握に関する分析結果を発表した。本リリースは「2022年版 中堅・中小企業におけるRPAおよびノーコード/ローコード開発ツールの活用実態レポート」のデータを元に更なる分析を行った結果の抜粋である。


<導入済み/導入予定の「ユーザ」からの類推では得られない「ノンユーザの視点」を持つことが大切>
■導入済み/導入予定の顧客に加えて、全体の4割超を占める「ノンユーザ」にも着目すべき
■ノンユーザには「幅広い固有業務への対応力」や「セキュリティ対策」を利点として訴求する
■「誰でも習得可能」などのメッセージは「ユーザ」には響くが「ノンユーザ」への効果は下がる


対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
対象職責: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 リンク


■導入済み/導入予定の顧客に加えて、全体の4割超を占める「ノンユーザ」にも着目すべき
本リリースの元となる調査レポート「2022年版 中堅・中小企業におけるRPAおよびノーコード/ローコード開発ツールの活用実態レポート」では有効回答件数1300社の中堅・中小企業を対象に、ノーコード/ローコード開発ツールの導入状況や課題/ニーズを集計/分析している。以下のグラフは同ツールの導入状況を尋ねた結果である。
「導入済み」と「導入予定」の意味合いは表記の通りだが、「知らない」はノーコード/ローコード開発ツールという言葉を知らない場合を指す。「予定なし」は未導入かつ今後も導入しない場合、「判断不可」は現段階で判断できない状態を指す。これら2つは同ツールを認知しているが導入意向がない「ノンユーザ」に該当する。 IT企業が営業やマーケティングを通じて実態を把握しているのは主に「導入済み」や「導入予定」の企業層だ。上記の調査レポートでも、両者を比較しながらIT企業が今後注力すべき取り組みは何か?を提言している。しかし、上記のグラフが示すように中堅・中小企業全体に占める割合は「導入済み」が1割、「導入予定」が2割に過ぎない。また、「知らない」の企業層は認知から始める必要があるため障壁が高い。そのため、ノーコード/ローコード開発ツールの市場を拡大するには「予定なし」と「判断不可」の合計で4割超に達する「ノンユーザ」へのアプローチが不可欠となる。 ノークリサーチではIT企業の個別ニーズに応じて調査レポートのデータを更に詳細に集計/分析するサービスも提供しているが、そこでも「ノンユーザ」の動向把握が重要テーマとなることが少なくない。そこで、次頁以降ではノーコード/ローコード開発ツール市場を拡大するためのノンユーザに関する分析例の一部を紹介している。


■ノンユーザには「幅広い固有業務への対応力」や「セキュリティ対策」を利点として訴求する
本リリースの元となる調査レポートで計16項目に渡る以下の選択肢を列挙して、中堅・中小企業がノーコード/ローコード開発ツールの利点と考えるポイントは何か?を集計/分析している。
<<ユーザの要件に関連する項目>>
・ユーザがアプリケーションを作成できる(※1)
・ユーザの要求仕様を自由に反映できる(※2)
・ユーザの都合に合わせて改変できる
・幅広い業務内容や用途に適用できる(※3)
・自社固有の業務ルールを反映できる (※4)
<<費用や作業の負担に関連する項目>>
・アプリケーションを短期間で作成できる
・アプリケーションを安価に作成できる
・セキュリティ対策の負担が軽減される(※5)
・アプリケーションの不具合を減らせる
・運用/保守の費用が安価になる
・運用/保守の作業が手軽になる
<<他システムとの兼ね合いに関する項目>>
・レガシーシステムの移行に有効である
・他のクラウドサービスと連携しやすい
・RPAによる自動化の代替手段となる
・Microsoft Excelの代替手段となる
・モバイル対応も同時に実現できる
以下のグラフは上記に列挙した項目から(※1)~(※5)の結果を「ユーザ」(「導入済み」)と「ノンユーザ」(「予定なし」ならびに「判断不可」)に分けて集計したものだ。(調査レポートには全16項目の結果を「導入済み」「導入予定」「予定なし」「判断不可」の状況別に分けて集計したデータが収録されている)
「導入済み」と「導入予定」を比較した場合は、今後は(※1)が減少して(※2)が重視される傾向にあることが確認できる。(詳細は右記を参照 リンク
一方、ノンユーザは(※1)や(※2)の値が低く、ノーコード/ローコード開発ツールの最も大きな利点に対する関心が低いことが上記のグラフから確認できる。(その結果、ノンユーザの状況となっている)
だが、(※3)(※4)(※5)といった利点については回答割合はそれほど高くないものの、「ユーザ」と「ノンユーザ」の間に大きな差が見られない。したがって、「ノンユーザ」がノーコード/ローコード開発ツールを新規に導入する契機を作るためには「ユーザ自身がアプリを作成できる」(※1)、「ユーザの要件を反映しやすい」(※2)といった利点の代わりに
「幅広い業務内容や用途に適用できる」(※3)
「自社固有の業務ルールを反映できる」(※4)
→現状の業務を詳細に分析を行う必要がなく、「導入したが、自社の業務に合致しなかった」というリスクが少ない
「セキュリティ対策の負担が軽減される」(※5)
→セキュリティに不安を抱えるシステムがある場合には対処療法を繰り返すよりも、刷新した方が根本的な解決となる
といった点を強調することが有効と考えられる。このように、「ノンユーザ」に関する知見は日頃から接している「ユーザ」からの類推だけでは得られないことが多いため、「ノンユーザ」を対象としたデータを踏まえることが大切だ。さらに次頁ではノーコード/ローコード開発ツールの課題についても同様の分析を行っていく。


■「誰でも習得可能」などのメッセージは「ユーザ」には響くが「ノンユーザ」への効果は下がる
本リリースの元となる調査レポートで計13項目に渡る以下の選択肢を列挙して、中堅・中小企業がノーコード/ローコード開発ツールの活用に際して直面している課題、もしくは想定される課題についても尋ねている。
<<アプリケーションの作成における課題>>
・開発ツール固有のスキルが必要になる(※1)
・複雑な処理はプログラムが必要になる(※2)
・実現できる機能や性能に制限がある(※3)
・既存の業務システムと連携できない(※4)
<<アプリケーションの管理における課題>>
・アプリケーションの仕様が不明確になる
・アプリケーションの中身が見えなくなる
・部署毎にアプリケーションが乱立する
・アプリケーションが管理できなくなる(※5)
・設置場所としてクラウドを選択できない
・設置場所として自社内を選択できない
<<開発ツールに起因する課題>>
・開発ツールの更新/刷新が負担となる
・開発ツールの存続が不明確である
・適切な開発ツールを選択できない
以下のグラフは上記に列挙した項目から(※1)~(※5)の結果を「ユーザ」(「導入済み」)と「ノンユーザ」(「予定なし」ならびに「判断不可」)に分けて集計したものだ。(調査レポートには全13項目の結果を「導入済み」「導入予定」「予定なし」「判断不可」の状況別に分けて集計したデータが収録されている) IT企業がノーコード/ローコード開発ツール導入を訴求する際には
「一般の従業員でも無理なく手軽に習得できます」 ⇒ ※1の課題を解消
「プログラミング不要で高度な処理を実装できます」 ⇒ ※2の課題を解消
「クラウドサービスなので処理量が増えても安心」 ⇒ ※3の課題を解消
→いずれも「ユーザ」には響くが「ノンユーザ」に対しては同等の効果を見込めない
といったように「ユーザ」に向けたメッセージのみを発信してしまいやすい。だが、上記のグラフが示すように「ノンユーザ」が想定する課題は「ユーザ」とは必ずしも合致しない点に注意する必要がある。(実際に導入検討が始まる段階では「ユーザ」の課題意識に近づいていくが、導入を検討する最初の契機を作り出す際には「ユーザ」とは異なるアプローチが必要となる)
一方、「既存の業務システムと連携できない」(※4)および「アプリケーションが管理できなくなる」(※5)といった課題は「ノンユーザ」の方が高い、または「ユーザ」と同程度の値を示している。そのため、「ノンユーザ」に対しては「既存の業務システムとの連携も可能で、作成されたアプリもきちんと管理できます」というメッセージを発信しておくことが重要となってくる。
今後サブスク型のIT活用が普及していくと、競合他社から奪取することによるシェア拡大は難しくなる可能性がある。ここではノーコード/ローコード開発ツール市場におけるノンユーザ分析の一部を紹介したが、「ノンユーザ」に着目した分析はその他のIT商材においても重要度が増していくと予想される。


本リリースの元となる調査レポート

『2022年版 中堅・中小企業におけるRPAおよびノーコード/ローコード開発ツールの活用実態レポート』
「RPAは機能重視と価格重視のどちらの方向に進むのか?」、「ノーコード/ローコードが適したシステム開発の用途は?」など、IT企業が直面する様々な疑問に1300社のユーザ企業を対象とした調査データに基づく分析で答えを示した一冊

【本調査レポートの背景】
中堅・中小企業においても基幹系、情報系、運用管理系、顧客管理系、分析など既に多種多様な業務アプリケーションが導入されており、その運用形態もパッケージの社内設置からSaaSに至るまで多岐に渡っている。だが、その一方で、
・紙面からの転記やシステム間のデータ加工/統合など、ヒトによる手作業が残っている
・プロジェクト単位の情報管理など、既存システムでカバーできない隙間の業務がある
・レガシー化した資産や過去に構築した業務システムを素早く刷新/再構築できない
といった課題を抱えるユーザ企業も少なくない。こうした課題を解決する手段として、中堅・中小企業においても注目を集めているのが、RPAとノーコード/ローコード開発ツールである。そこで、本調査レポートではこれら2つに関する導入状況、課題とニーズ、導入済み/導入予定の製品/サービスを尋ねた調査結果を元に、IT企業がRPAおよびノーコード/ローコード開発ツールの活用提案を成功させるためのポイントを分析/解説している。

【対象企業属性】(有効回答件数:1300社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~10億円未満 / 10億円以上~20億円未満 / 20億円以上~50億円未満 /50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 /100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満/ 500人以上~1,000人未満 /1,000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他(公共/自治体など)
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)

【分析サマリ(調査結果の重要ポイントを述べたPDFドキュメント)の章構成】
第1章.RPAの導入割合と用途
RPAの導入状況を経年変化で確認した上で、14項目に渡るRPAの用途から今後有望なものはどれなのか?を提言
第2章.RPAの課題とニーズ
23項目に渡るRPAの「課題」、19項目に渡るRPA活用の「基本方針」、21項目に渡る「必須となる支援や仕組み」を分析
第3章.RPA製品/サービスのシェア
国内ベンダ、外資系ベンダ、各種の自動化ソリューションなど、42項目に渡る製品/サービスの社数シェアを集計/分析
第4章.ノーコード/ローコード開発ツールの導入割合と用途
ノーコード/ローコード開発ツールの導入状況を確認した上で、10項目に渡る用途から今後有望なものはどれか?を提言
第5章.ノーコード/ローコード開発ツールの利点と課題
ノーコード/ローコード開発ツールの活用における利点(16項目)および課題(13項目)を分析し、提案時のポイントを解説
第6章.ノーコード/ローコード開発ツールのシェア
ノーコード/ノーコード開発ツールを6分野に整理した上で、計33項目に渡る製品/サービスの社数シェアを集計/分析
第7章.ノーコード/ローコード開発ツールの分野別動向
ノーコード/ローコード開発ツールの6つの分野によって、用途/利点/課題の傾向がどのように異なるか?について分析

【レポート案内(設問項目、試読版など)】 リンク
【発刊日】 2022年12月22日
【価格】 180,000円(税別) RPAのみ、またはノーコード/ローコード開発ツールのみの個別販売は行っておりません

本データの無断引用・転載を禁じます。引用・転載をご希望の場合は下記をご参照の上、担当窓口にお問い合わせください。
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当調査データに関するお問い合わせ

株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp

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お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。

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