2023年頭リリース:中堅・中小IT活用提案の最重要キーワードは「発展的レパトリエーション」

ノークリサーチは2023年の年頭所感として中堅・中小企業向けのIT活用提案においてIT企業が留意すべき最も重要なポイントとその内容を解説するリリースを発表した。

<エネルギー高/原材料高が続く中、無理な刷新ではなく、実行可能な改善が求められている>
■中堅・中小向けにはクラウドファースト&内製への偏りを補正する「発展的な回帰」が必要
■ソリューション:「直近の課題解決+DX」の観点から、既存業務システムの改善提案を行う
■業務アプリケーション:RPAに固執しない自動化とEUCではないノーコード/ローコード推進
■インフラ:ユーザ企業は「クラウドの利点を享受 ≠ クラウドに完全移行」を認識しつつある

PRESSRELEASE(報道関係者各位) 2023年1月10日

2023年頭リリース:中堅・中小IT活用提案の最重要キーワードは「発展的レパトリエーション」

調査設計/分析/執筆:岩上由高


ノークリサーチ(本社〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニTEL:03-5361-7880 URL:http//www.norkresearch.co.jp)は2023年の年頭所感として中堅・中小企業向けのIT活用提案においてIT企業が留意すべき最も重要なポイントとして「発展的レパトリエーション(回帰)」を提唱し、根拠となる市場データと共にその内容を解説するリリースを発表した。

<エネルギー高/原材料高が続く中、無理な刷新ではなく、実行可能な改善が求められている>
■中堅・中小向けにはクラウドファースト&内製への偏りを補正する「発展的な回帰」が必要
■ソリューション:「直近の課題解決+DX」の観点から、既存業務システムの改善提案を行う
■業務アプリケーション:RPAに固執しない自動化とEUCではないノーコード/ローコード推進
■インフラ:ユーザ企業は「クラウドの利点を享受 ≠ クラウドに完全移行」を認識しつつある


本リリースはノークリサーチが発刊する最新の調査レポートのデータを元に、2023年の動向について分析/提言を述べたものである。
本リリースで引用されている各種の調査レポートに関する詳細については下記URLの5ページを参照。
リンク


■中堅・中小向けにはクラウドファースト&内製への偏りを補正する「発展的な回帰」が必要
「レパトリエーション」とは企業や投資家が海外から本国に資金を還流することを指す金融用語だが、広義にはビジネスにおける原点回帰を表すこともある。こうした動きは米国が先行しているが、国際情勢における対立の構図や為替の影響などを踏まえて今後は日本でも広義の「レパトリエーション」が活発になると予想される。かつての「日の丸半導体」の復興を目指した「Rapidus」の設立はその象徴とも言える動きだ。さらに視点を広げてみると、中堅・中小企業のIT活用においても、下図が示すような「発展的レパトリエーション」が今後の重要な取り組みとなってくる。
DXに向けた取り組みに伴い、大企業では従来の販社/SIerによる外製とオンプレミスを主体としたシステム構築/運用(※1)からクラウドファーストと内製促進(※2)へと舵を切った事例も見られ始めている。
一方で、IT活用の規模や人材が限られる中堅・中小企業では、クラウドファースト&内製促進への急激な転換は負担が重く、「システム全体のクラウド移行を試みたができなかった」や「RPAで内製を進めたが断念した」といった声も聞かれる。 かと言って、従来型のオンプレミスや外製に回帰するだけでは退化となってしまう。そのため、クラウド/内製に偏った状態から回帰しつつ、適材適所でクラウドを採用し、伴走型のSI/サービスを利用するといった「発展的レパトリエーション」(※3)が重要となってくる。
2023年の年頭所感となる本リリースではソリューション、業務アプリケーション、インフラの3つの観点から、「発展的レパトリエーション」の展開を踏まえたIT活用提案のポイントについて述べていく。


■ソリューション:「直近の課題解決+DX」の観点から、既存業務システムの改善提案を行う
以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業に対して、「DXに取り組む際の基本方針」を尋ねた結果の一部である。
クラウドサービスの組み合わせによって業務システムを構築するよりも既存システムを徐々に改善していこうと考えるユーザ企業の方が多いことがわかる(※1)。また、内製を増やすユーザ企業は1割未満に留まり、業種/業務を理解した販社/SIerを選ぼうとする傾向がうかがえる(※2)。 これらは前頁に述べたクラウドファースト&内製からの回帰と捉えることができる。
だが、単なる回帰ではDXに向けた取り組みも停滞してしまう。そこでベンダや販社/SIerに求められるのは直近の課題を解決しつつ、DXの基盤を担うことを視野に入れた既存システムの改善提案だ。例えば、以下のグラフは生産管理システムを導入済みの中堅・中小企業(年商500億円未満)に対して、現状の課題を尋ねた結果の一部である。
DXの事例ではヘッドセットで映像を共有して熟練者が新人にノウハウを継承したり(※5)、データ分析を駆使して廃棄/ロスも考慮に入れた原価管理を行う(※6)などの取り組みも見られる。いずれも少子高齢化や環境保護の観点で極めて重要だが、多くの企業が直面している課題が国際情勢や為替に起因するエネルギーや原材料の高騰だ。これらに対処するには個々のユーザ企業における取り組みだけでなく、製造現場の生産能力を可視化した上で(※3)、共同受注をする(※4)などの対策も必要となる。さらに、こうした取り組みはDXの代表例でもあるスマートファクトリーを見据えた時にも不可欠だ。上記のグラフはこうした実態を反映した結果と捉えることができる。「発展的レパトリエーション」においては、このように直近の課題解決+DXの観点からの業務システム改善を提案することが大切だ。ここでは生産管理システムに関する例を紹介したが、本リリースの末尾に列挙した調査レポートでは業務システム分野別や業種別に様々な分析を行っている。

■業務アプリケーション:RPAに固執しない自動化とEUCではないノーコード/ローコード推進
業務アプリケーションの領域では、ヒトによる手作業の自動化(RPA)および迅速なシステム開発(ノーコード/ローコード)を如何に進めていくか?が引き続き重要なテーマとなってくる。以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業に対して「RPA活用の基本方針」を尋ねた結果の一部を導入済み/導入予定に分けて集計したものだ。
導入済みと比較した時の導入予定の増減を見ると、今後は安価でシンプルなツールを選ぶユーザ企業が増加し(※1、※2)、ヒトを減らすのではなく、ヒトによるミスを減らして生産性を向上させることを目指したRPA活用(※3、※4)が求められていくと予想される。ただし、費用を抑えることを重視し過ぎて簡易なバッチ処理などで自動化を行うと、業務フローやインフラの変更に弱いシステム基盤が構築されてしまう。こうしたRPA以前への安易な回帰は避ける必要がある。ベンダや販社/SIerとしてはRPAに固執しない既存システムの改善も含めた自動化を視野に入れて、既存人材の生産性を最大化する「発展的な回帰」の提案を進めることが今後の差別化ポイントとなってくる。
同様に、以下のグラフはノーコード/ローコード開発ツールの利点を尋ねた結果の一部を導入済み/導入予定で集計したものだ。 導入済みと比べた時の導入予定の増減を見ると、ユーザ企業はアプリケーションを自ら作成できることよりも自社の要件を反映しやすいという点をノーコード/ローコード開発ツールの利点と捉えていることがわかる(※5)。さらに、セキュリティ強化や不具合削減も利点として認識されている(※6)。そのため、ベンダや販社/SIerにとってはエンドユーザコンピューティング(EUC)の再来を啓発するのではなく、伴走型SI/サービスなどの新たな取り組みも交えながら、ユーザ企業の要件を迅速/安全に反映したシステム開発を提供することが「発展的な回帰」に沿った望ましいユーザ企業との関係構築になっていくと考えられる。

■インフラ:ユーザ企業は「クラウドの利点を享受 ≠ クラウドに完全移行」を認識しつつある
さらにインフラについても見ていくことにする。以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業に対して、「サーバの管理/運用における課題」を尋ねた結果の一部である。
データや処理の増加に起因する課題(※2)と比べて、クラウドに関連した課題(※1)が多く挙げられていることがわかる。ここで留意すべき点は「クラウド移行を進めたいが方法が分からない」が最も高い値を示しているように、「クラウドの利点を享受する」と「クラウドに移行する」が混同されたことによって様々な課題が生じてきたという経緯だ。だが、それを是正するために単にオンプレミスへの回帰を訴求するだけでは柔軟性/拡張性の高いインフラ構築を阻害することになりかねない。これを打開するヒントが「サーバ導入/更新や管理/運用の方針」を尋ねた結果から抜粋した以下のグラフである。
上記の結果を見ると、ユーザ企業が考える今後の方針としては「クラウド移行によって内製を増やすわけではなく、クラウドとオンプレミスは併用する」(※3)、「自動化の進展に伴ってデータ容量を拡張できるサーバが必要となるが、必ずしもクラウドであるとは限らない」(※4)、「海外データセンタの利用を敬遠するわけではなく、むしろバックアップやセキュリティ対策の手段としてクラウドを活用する」(※5)といった傾向が読み取れる。つまり、ユーザ企業は既に適材適所のクラウド活用が有効であることを認識し始めている。そのため、ベンダや販社/SIerとしても「データ容量を拡張できるサーバ環境が求められている場合、既にオンプレミスでのシステム構築が進んでいるのであればHCIを提案し、サーバレスのサービス展開も考えているケースにおいてはIaaSを提案する」などのように、ユーザ企業の現状やニーズに応じた提案を行っていくことが重要となってくる。


本リリースで引用されている各種の調査レポートなど 各冊180,000円(税別)

『2022年版中堅・中小企業のDXソリューション導入実態と展望レポート』
DXを一部の先進企業から、中堅・中小の幅広い裾野に広げるために必要な施策を徹底解説
【レポートの概要と案内】 リンク
【リリース(ダイジェスト)】
ユーザ企業(利用側)とIT企業(提案側)が抱えるDXソリューション導入の共通課題
リンク
業種別に見た「中堅・中小企業の導入が今後増えるDXソリューション」とは?
リンク
中堅・中小企業におけるIT投資市場規模とITソリューション支出額
リンク
伴走型SI/サービスは中堅・中小企業とIT企業の新しい関係性となるか?
リンク
メタバースやブロックチェーンなどの最新技術に対する企業の受容性動向
リンク

『2022年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート』
有効回答件数1300社、ERP/ 会計/ 生産/ 販売/ 人給/ ワークフロー/ コラボレーション/ CRM/ BIなど10分野の社数シェア、
運用形態、導入費用、課題/ニーズを網羅した必携書
【レポートの概要と案内】 リンク
【リリース(ダイジェスト)】
ERP: 基幹系統合とクラウド併用で再編が進みつつあるERP市場
リンク
生産管理: 運用形態や課題が変化しつつある中堅・中小向け生産管理システム
リンク
会計管理: 中小企業の会計管理でもニーズが高まるAIを活用した経営分析や監査支援
リンク
販売・仕入・在庫管理: 販売管理の重点課題は売上分析から在庫管理へと移行
リンク
給与・人事・勤怠・就業管理: 人事給与システムでは「法改正」と「ジョブ型」に伴う変化への対応が今後のカギ
リンク
コラボレーション(グループウェア・ビジネスチャット・Web会議): 「グローバルなクラウド+独自の差別化要素」が新たな標準形
リンク
ワークフロー: 今後のワークフローに求められるノンカスタマイズの業務フロー対応力
リンク
CRM: 今後のCRMに求められるのは「PaaS+Web会議サービスとの差別化」
リンク
BI: BIは初級ユーザと中~上級ユーザで訴求すべき機能が変わる
リンク
文書管理・オンラインストレージサービス: 文書管理・クラウドストレージはオンプレ/クラウドの競合から連携の段階へ
リンク
中堅・中小企業は何を基準に業務アプリケーションを選定するか?
リンク

『2022年版 中堅・中小企業におけるRPAおよびノーコード/ローコード開発ツールの活用実態レポート』
「RPAは機能重視と価格重視のどちらの方向に進むか?」「ノーコード/ローコードが適したシステム用途は?」など、IT企業が
直面する様々な疑問に答える一冊
【レポートの概要と案内】 リンク
【リリース(ダイジェスト)】
中堅・中小企業におけるノーコード/ローコード開発ツールの社数シェアと用途
リンク
中堅・中小企業におけるRPA製品/サービスの導入社数シェアと価格重視志向の関連
リンク
中堅・中小企業がRPA活用で抱える課題とIT企業が講じるべき支援策
リンク
ノーコード/ローコード開発ツールについて中堅・中小企業が考える利点と課題
リンク

『2022年版サーバ&エンドポイントにおけるITインフラ導入/運用の実態と展望レポート』
サーバ&エンドポイント、クラウド&オンプレミスといった多角的な視点からITインフラ導入の提案ポイントを解説
【レポートの概要と案内】 リンク
【リリース(ダイジェスト)】
サーバ管理における課題&ニーズとユーザ企業が求めるクラウド移行パターン
リンク
サーバ導入の注目トピック(オフコン移行/CentOS8代替/クラウド社数シェア)の動向
リンク
企業規模別に見たサーバインスタンス数とストレージ形態の傾向
リンク
エンドポイント端末(PC/スマートデバイス)の導入実態が示す有望な販売施策
リンク
PC/スマートデバイスのシェア動向とITインフラ全体に影響する課題
リンク

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当調査データに関するお問い合わせ

株式会社ノークリサーチ担当:岩上由高
〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室
TEL03-5361-7880FAX03-5361-7881
Mail:inform@norkresearch.co.jp
Web:www.norkresearch.co.jp

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