2022年 グループウェアは「グローバルなクラウド+独自の差別化要素」が新たな標準形

ノークリサーチは中堅・中小企業における様々なコミュニケーション手段(グループウェア、ビジネスチャット、Web会議)を含むコラボレーション市場に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。

<国産ベンダは「Microsoft 365」との連携を進めつつ、グループウェアの新たな役割を模索>
■メール/掲示板/スケジューラといった基本部分のクラウドサービス移行は一巡しつつある
■「システム連携における自動通知」と「UIとしてのWeb会議活用」は評価の高い差別化要素
■規模の小さな企業も「Web会議の有効活用」や「社内外の情報共有」の課題を抱えている

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2022年10月13日

2022年 グループウェアは「グローバルなクラウド+独自の差別化要素」が新たな標準形

調査設計/分析/執筆:岩上由高


ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小企業における様々なコミュニケーション手段(グループウェア、ビジネスチャット、Web会議)を含むコラボレーション市場に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。本リリースは「2022年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」のコラボレーション分野に関するサンプル/ダイジェストである。

<国産ベンダは「Microsoft 365」との連携を進めつつ、グループウェアの新たな役割を模索>
■メール/掲示板/スケジューラといった基本部分のクラウドサービス移行は一巡しつつある
■「システム連携における自動通知」と「UIとしてのWeb会議活用」は評価の高い差別化要素
■規模の小さな企業も「Web会議の有効活用」や「社内外の情報共有」の課題を抱えている


対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
対象職責: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 リンク


■メール/掲示板/スケジューラといった基本部分のクラウドサービス移行は一巡しつつある
本リリースの元となる調査レポート「2022年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」では10分野に渡る業務アプリケーションの社数シェアとユーザ評価を集計/分析している。10分野の1つである「コラボレーション」では、メール/掲示板/スケジューラといった従来のグループウェアに加えて、ビジネスチャットやWeb会議を含めた社内外のコミュニケーション手段の最新動向について述べている。以下のグラフは導入済み/導入予定のコラボレーション製品/サービス(複数回答可)を尋ねた結果から社数シェア上位を抜粋したものだ。(調査対象となった全ての製品/サービスの一覧は本リリース4頁を参照)(M365とTeamsのように他方が一方を包含する組み合わせがある製品/サービスについては、双方を利用している場合は両方を選択し、一方のみを利用している場合はそれを選択する回答形式となっている)
これまでのグループウェア市場にはサイボウズやネオジャパンなどの専業ベンダだけでなく、NEC/富士通/日立製作所といった大手ベンダも自社製品を展開し、多くの国産ベンダが参入していた。だが、クラウドの普及と共に日本マイクロソフトやグーグルといった外資系ベンダが台頭すると、社数シェア首位もサイボウズから日本マイクロソフトとなり、国産大手ベンダは自社製品の開発を終了/縮小する結果となった。さらにコロナ禍を通じてWeb会議サービスが重要なコミュニケーション手段となり、Zoomなどの新たなプレイヤーも社数シェアの上位に位置するようになってきている。
こうした変遷を経てきたグループウェア市場およびコラボレーション市場だが、今後は更に新しい変化が予想される。 左記のグラフを見ると、多くのベンダで「導入予定(新規予定)」の値が「導入済み」と比較して低い値となっている。つまり、メール/掲示板/スケジューラといった従来型グループウェアのクラウドサービスへの移行は次第に一巡しつつある兆候が見られる。その背景にはコロナ禍の影響が薄らいだことによる遠隔コミュニケーションの減少だけでなく、ベンダ側の製品/サービス戦略も深く関係している。 実際に、昨今の国産ベンダの中には従来型グループウェアの部分では「Microsoft 365」などの外資系クラウドサービスと連携し、その他の部分で強みを出そうとする動きも見られる。つまり、今後のコラボレーション市場はメール/掲示板/スケジューラといった基本部分はグローバルなクラウドサービスに任せて、国産ベンダはそれ以外の差別化要素を訴求する形態が増えていく可能性がある。次頁以降ではそうした差別化要因とは何か?について見ていくことにする。


■「システム連携における自動通知」と「UIとしてのWeb会議活用」は評価の高い差別化要素
本リリースの元となる調査レポートでは導入済みコラボレーション製品/サービスについて「評価/満足している機能や特徴」や「現状の課題」を尋ね、詳しい分析を行っている。以下は「評価/満足している機能や特徴」を尋ねる設問の選択肢一覧である。

「導入済みコラボレーション製品/サービスについて評価/満足している機能や特徴」の選択肢
<<グループウェアの機能に関連する項目>>
予約/スケジュールのデータや機能を他のシステムからも利用できる
他システムと連携して業務上の通知事項を自動でメール送信できる
クラウドサービスの組み合わせでグループウェアを代替できる
他システムの情報を集約して表示するポータル機能がある
社外(顧客や取引先)との情報共有も行える
<<ビジネスチャット/Web会議の機能に関する項目>>
文書を共有/編集できるオンラインホワイトボード機能がある
Web会議上で従業員に交流機会やeラーニングを提供できる
顧客向けの商談やセミナーの手段としてWeb会議を活用できる
Web会議の画面上に様々な通知/情報を集約できる
<<その他の機能に関する項目>>
独自のアプリケーションをユーザが自分で作成できる
申請/承認を行うワークフローの機能が包含されている
文書を保存/共有/管理する機能が包含されている
プロジェクト管理の機能が包含されている
モバイルワークを支援または実践できる
<<データの管理や保護に関連する項目>>
初期設定が厳格であり、情報漏えいを防止できる
社内ファイルサーバから文書を容易に移行できる
ゲストアカウントを安全かつ手軽に管理できる
情報共有とセキュリティ強化を両立できる
個人向けツールと同じように使いやすい
<<クラウドに関連する項目>>
パッケージとSaaSを選択/併用できる
様々なクラウドサービスと連携できる
<<クライアント環境に関連する項目>>
スマートフォンで大半の機能が利用できる
Webブラウザで大半の機能が利用できる
<<その他>>
その他:
評価/満足している機能や特徴は全くない(排他)

以下のグラフは赤点線で囲ったグループウェア/ビジネスチャット/Web会議としての機能に関する評価結果を中堅・中小企業全体で集計したものだ。(調査レポートには年商、業種、従業員数などの様々な属性別に集計したデータが収録されている) 25%超の比較的高い値を示している(=評価しているユーザ企業が多い機能)は以下の4項目である。
「予約/スケジュールのデータや機能を他のシステムからも利用できる」 (34.6%)※1
「他システムと連携して業務上の通知事項を自動でメール送信できる」 (28.0%)※2
「クラウドサービスの組み合わせでグループウェアを代替できる」 (30.5%)※3
「Web会議上で従業員に交流機会やeラーニングを提供できる」 (27.4%)※4
※1と※3は前頁で述べた「従来型グループウェアの部分をクラウドサービスに任せられるか?」に関する評価項目だ。実際に、昨今では外資系だけでなく、多くの国産ベンダも社数シェアが最も高い「Microsoft 365」との同期/連携が可能となっている。
一方、※2と※4が「従来型グループウェアとは異なる差別化要素」に該当する評価項目だ。様々な機能の中でも、「他システムとの連携における自動通知」および「Web会議サービスをUIとして活用する」の2つを評価するユーザ企業が多いことがわかる。
こうした新たな差別化要素は社数シェアを拡大する上でも重要な取り組みとなっている。その点について次頁で詳細を述べる。
以下のグラフは前頁で重要な差別化要因となっていた2つの機能項目の評価結果を最も主要な導入済み/導入予定の製品/サービス(単一回答)における社数シェア上位5つの製品/サービスについて集計した結果である。 「eValue NS/V/Air」は全体平均や上位に位置する他の製品/サービスと比較して、「他システムと連携して業務上の通知事項を自動でメール送信できる」の回答割合が高い。実際に同製品では基幹系システム「SMILE V」との統合を通じて、「業務予定」と呼ばれるRPA機能を用いた自動メール通知などが可能だ。また 「サイボウズGaroon」は全体平均や上位に位置する他の製品/サービスと比べて 「Web会議上で従業員に交流機会やeラーニングを提供できる」の回答割合が高い。同製品では「MicrosoftTeams」「Zoom」「V-CUBE」などの様々なWeb会議サービスとの連携が訴求ポイントとなっていることが背景として考えられる。
これら2製品の社数シェアを冒頭のグラフで再度確認してみると、「導入予定」から「導入済み」を差し引いた社数シェア増減はいずれもプラスとなっている。つまり、 「従来型グループウェアとは異なる差別化要素」となる機能を訴求することはシェア拡大の観点からも重要であることが確認できる。
また「現状の課題」という観点からも、「従来型グループウェアとは異なる差別化要素」とは何か?を把握しておくことが大切だ。本リリースの元となる調査レポートでは、以下の選択肢を列挙して導入済みコラボレーション製品/サービスの「現状の課題」についても集計/分析を行っている。

「導入済みコラボレーション製品/サービスにおいて抱えている現状の課題」の選択肢
<<グループウェアの機能に関連する項目>>
予約/スケジュールのデータや機能を他システムと共通化できない
業務上の様々な通知事項を自動でメール送信することができない
クラウドサービスを組み合わせてもグループウェアの代替にならない
他システムの情報を集約して表示するポータル機能がない
社外(顧客や取引先)との情報共有ができない
<<ビジネスチャット/Web会議の機能に関する項目>>
文書を共有/編集するオンラインホワイトボード機能がない
Web会議の用途が社内ミーティングのみに留まっている
顧客向けの商談やセミナーにWeb会議を活用できない
Web会議の画面に様々な通知/情報を集約できない
<<その他の機能に関する項目>>
独自アプリケーションをユーザが自分で作成できない
申請/承認を行うワークフローの機能がない、または不十分
文書を保存/共有/管理する機能がない、または不十分
プロジェクト管理の機能がない、または不十分
モバイルワークを支援/実践できない
<<データの管理や保護に関連する項目>>
初期設定が甘く、情報漏えいが起きやすい
社内ファイルサーバからの文書移行が困難
ゲストアカウントの管理が煩雑で安全性も低い
情報共有とセキュリティ対策を両立できない
個人向けツールと比べて使い勝手が良くない
<<クラウドに関連する項目>>
パッケージとSaaSを選択/併用できない
クラウドサービスと連携することができない
<<クライアント環境に関連する項目>>
スマートフォンでは限られた機能しか利用できない
Webブラウザでは限られた機能しか利用できない
<<その他>>
その他:
課題は全くない(排他)
次頁では、こうした「現状の課題」の観点でコラボレーション製品/サービスを開発/販売するベンダや販社/SIerが留意すべきポイントについて述べている。


■規模の小さな企業も「Web会議の有効活用」や「社内外の情報共有」の課題を抱えている
以下のグラフは前頁の「現状の課題」を年商別に集計した結果から、特徴的な傾向を示す3つの課題項目を抜粋したものだ。 全体平均と比べて高い値が見られる年商区分と課題項目は以下の通りである。
年商5億円未満: 「Web会議の用途が社内ミーティングのみに留まっている」 (27.8%) ※1
年商5~10億円: 「社外(顧客や取引先)との情報共有ができない」 (22.9%) ※2
年商300~500億円: 「申請/承認を行うワークフローの機能がない、または不十分」 (22.0%) ※3
「従来型グループウェアと異なる差別化要素」の課題/ニーズはシステム連携に関連した項目が多くなる傾向がある。例えば、※3の課題に取り組む際には単にワークフローで申請/承認ができるというだけではなく、他のシステムと連携した業務フロー基盤としての役割が期待されている点に注意が必要だ。また、年商規模の小さな企業層ではシステム連携のニーズが少ないと考えがちだ。しかし実際には、※1や※2が示すように小規模なユーザ企業においてもWeb会議の有効活用や社内外の情報共有が求められており、両者いずれにおいてもシステム連携が不可欠となる。ベンダや販社/SIerとしてはこうした課題/ニーズを踏まえながら、新しいグループウェアの姿を創り出していくことが重要となってくる。


補記:調査対象となっているコラボレーション製品/サービス一覧

本リリースの元となる調査レポートにおいて調査対象となっている「コラボレーション」の製品/サービスは以下の通り。選択肢は過去の調査結果や最新の市場状況を元に選定し、前年調査の自由回答で多く挙げられたものは新たに追加し、一定期間以上シェア数値がないものは割愛して 毎年調整を行っている。製品/サービス毎のユーザ評価などの詳細な集計は回答件数が一定以上の条件(件数が少ない場合には参考値扱いとなることもある)を満たす(※)のみが対象となる。

<<グループウェアを主体とするもの>>
サイボウズOffice(※) サイボウズ
Microsoft 365(Office 365) (※) 日本マイクロソフト
desknet's NEO(※) ネオジャパン
サイボウズGaroon(※) サイボウズ
Google Workspace(G Suite)(※) グーグル
Notes/Domino(※) HCLテクノロジーズ
eValue NS/V/Air(SMILE Vも含む)(※) OSK(大塚商会)
J-MOTTO リスモン・ビジネス・ポータル
アルファオフィス 大塚商会
Microsoft Exchange Server 日本マイクロソフト
Microsoft Sharepoint Server 日本マイクロソフト
intra-mart Accel Collaboration NTTデータイントラマート
StarOffice/OfficeForce(※) NEC
INSUITE ドリーム・アーツ
ArielAirOne ワークスアプリケーションズ
POWER EGG ディサークル
GlobalWare パナソニックソリューションテクノロジー
NI Collabo 360 NIコンサルティング
aipo TOWN
Knowledge Suite ナレッジスイート
Bizca DTS(アスタリクス)
Zoho Connect ゾーホージャパン
Workplace from Meta Meta(Facebook)
<<ビジネスチャット/Web会議>>
製品/サービス名 開発元
Microsoft Teams(※) 日本マイクロソフト
Skype 日本マイクロソフト
Zoom(※) ZVC Japan
Google Meet/Hangout グーグル
Webex シスコシステムズ
V-CUBE ブイキューブ
Slack セールスフォース・ジャパン
InCircle DXクラウド(AI CROSS)
Chatwork Chatwork
LINE WORKS ワークスモバイルジャパン
LiveOn ジャパンメディアシステム
bellFace ベルフェイス
RemoteView RSUPPORT
TeamViewer TeamViewer
Confluence/Trello Atlassian
ChatLuck ネオジャパン
CYBERCHAT サイバーソリューションズ
<<その他>>
その他の製品/サービス
ERP/基幹系システムの一機能として利用
独自開発システム


本リリースの元となる調査レポート

『2022年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート』
10分野に渡る業務アプリケーション(ERP、会計管理、生産管理、販売・仕入・在庫管理、給与・人事・勤怠・就業管理、ワークフロー・ビジネスプロセス管理、コラボレーション、CRM、BI、文書管理・オンラインストレージサービス)の導入済み/導入予定の社数シェア、運用形態(オンプレミス/クラウド)、端末形態、導入年、導入費用、課題とニーズを網羅した必携書
【対象企業属性】(有効回答件数:1300社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~10億円未満 / 10億円以上~20億円未満 / 20億円以上~50億円未満 /50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 /100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満/ 500人以上~1,000人未満 /1,000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他(公共/自治体など)
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)
【レポート案内(設問項目、試読版など)】 リンク
【発刊日】 2022年10月17日 【価格】 180,000円(税別) 特定分野のみの個別販売は行っておりません

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当調査データに関するお問い合わせ

株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp

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