中堅・中小企業がDXに取り組む際のクラウド活用実態に関する業種別傾向

ノークリサーチは中堅・中小企業がDXに取り組む際、どのようなクラウドサービスを活用するか?の実態に関する調査を行い、その分析結果を発表した。

<DXに伴うクラウド活用では、求められるクラウド種別や課題/ニーズが業種によって異なってくる>
■小売業のクラウド活用では越境ECで注目されたライブコマースの国内向け展開に要注目
■「業種非依存型SaaSでは不十分だが、物理サーバ共有は許容」が小売業のクラウド選択
■小売業が求める支援/サービスは「業務視察に基づくクラウド適用提案と定額の課金体系」

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2022年3月28日

中堅・中小企業がDXに取り組む際のクラウド活用実態に関する業種別傾向

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社: 〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小企業がDXに取り組む際、どのようなクラウドサービスを活用するか?の実態に関する調査を行い、その分析結果を発表した。 本リリースは「2021年版 中堅・中小企業のDXにおけるクラウド活用実態セミカスタムレポート」のサンプル/ダイジェストである。


<DXに伴うクラウド活用では、求められるクラウド種別や課題/ニーズが業種によって異なってくる>
■小売業のクラウド活用では越境ECで注目されたライブコマースの国内向け展開に要注目
■「業種非依存型SaaSでは不十分だが、物理サーバ共有は許容」が小売業のクラウド選択
■小売業が求める支援/サービスは「業務視察に基づくクラウド適用提案と定額の課金体系」


調査対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業700社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
調査対象職責: 経営層およびIT活用の導入/選定/運用に関わる立場
調査実施時期: 2021年5月中旬
※詳細は右記の調査レポート案内を参照 リンク


■小売業のクラウド活用では越境ECで注目されたライブコマースの国内向け展開に要注目
DXに向けた取り組みは「クラウドファースト」と共に論じられることが少なくない。だが、どのようなシステム形態を選ぶべきか?(種々のクラウドだけでなく、オンプレミスの選択も含めて)は業種やITソリューション内容によって大きく異なってくる。そのためDX提案を行うIT企業側としては、「どのようなITソリューションでクラウドが選ばれやすいか?」を把握しておく必要がある。 本リリースの元となる調査レポートではDXに関連する具体的なITソリューションを列挙し、その中から
「経営視点で見た場合に最も重要なITソリューション」(※1)
「クラウド適用の観点から最も重要なITソリューション(クラウド適用が最も進んでいるもの、またはクラウド適用がIT活用において重要な意味を持つもの)」(※2)
をそれぞれ尋ねている。以下のグラフは小売業に対して、上記の※1と※2を尋ねた結果の一部を抜粋したものだ。 橙帯(※1に相当)の値が相対的に高く、かつ青帯(※2に相当)の値も高い項目はクラウド活用が見込めるITソリューションということになる。上記の場合には「営業活動や商談の遠隔化/オンライン化」が該当する。その最たる例がライブコマースだ。以前から越境ECの手段として活用されていたが、コロナ禍による接客機会の減少によって国内向けの拡販手段としても注目されている。
このように、本リリースの元となる調査レポートでは組立製造業/加工製造業/建設業/卸売業/小売業/運輸業/IT関連サービス業/一般サービス業といった業種別に「DXに伴ってクラウド活用を促進するには何が必要か?」に関する分析/提言を行っている。
次頁以降では、その中から小売業における分析結果の一部をサンプル/ダイジェストとして紹介している。


■「業種非依存型SaaSでは不十分だが、物理サーバ共有は許容」が小売業のクラウド選択
DXに向けた取り組みでは顧客接点となるフロントエンドの改善に着目しがちだが、バックエンドの整備も忘れてはならない。
前頁のライブコマースの場合であれば、商品を紹介する動画の配信基盤だけでなく、商品を確実に届けるための在庫管理や配送管理が重要となってくる。IT企業にとっては、それらを担うシステム形態としてどのようなクラウドサービスが有望か?を知っておくことも大切だ。本リリースの元となる調査レポートでは以下の選択肢を列挙して、DXに向けたITソリューションで選択するクラウド種別は何か?を尋ねている。
<<IaaS>>
IaaS:物理共用仮想サーバ 物理的なサーバを共有し、仮想化環境上でサーバが稼動するIaaS 例) AWSの「Default」テナント属性
IaaS:物理占有仮想サーバ(BYOL可) 物理的なサーバを占有し、仮想化環境上で稼動するBYOL可能なサーバを利用するIaaS 例) AWSの「Dedicated Host」テナント属性
IaaS:物理占有仮想サーバ(BYOL不可) 物理的なサーバを占有し、仮想化環境上で稼動するが、BYOLは行えないサーバを利用するIaaS例) AWSの「Dedicated Instance」テナント属性
IaaS:物理占有サーバ 仮想化ハイパバイザを介さない物理的なサーバを占有するIaaS 例) AWSの「Bare Metal Instance」
<<ホスティング>>
ホスティング:共用サーバ 物理的なサーバを共有し、利用可能なアプリケーションなどが定められたホスティング 例) さくらインターネットの「さくらのレンタルサーバ(マネージド以外)」
ホスティング:仮想共用サーバ 物理的なサーバを共有し、仮想化によってユーザ毎の独立性が高められたホスティング 例) さくらインターネットの「さくらのVPS」
ホスティング:専用サーバ(root有) 物理的なサーバを占有し、ユーザがroot権限も所有できるホスティング 例) さくらインターネットの「さくらの専用サーバPHY」
ホスティング:専用サーバ(root無) 物理的なサーバを占有するが、ユーザがroot権限を所有できないホスティング 例) さくらインターネットの「さくらのレンタルサーバ(マネージド)」
<<PaaS>>
PaaS:ミドルウェア アプリケーションサーバやデータベースなどのミドルウェア提供を主体としたPaaS 例) 日本オラクルの「Oracle Cloud Infrastructure」
PaaS:アプリ開発基盤 アプリケーション開発基盤の提供を主体としたPaaS 例) セールスフォース・ジャパンの「Salesforce Platform」
PaaS:フロー管理/データ連携 業務におけるフロー管理やデータ連携を担うPaaS 例) エニーフローの「Anyflow」
<<SaaS>>
SaaS:業種非依存型 業種に関係なく利用することを意図したSaaS 例) 日本マイクロソフトの「Microsoft 365」
SaaS:業種特化型 特定の業種向けに提供されているSaaS 例) アンドパッドの「ANDPAD」
<<その他>>
その他:

以下のグラフは中堅・中小の小売業に対して「最も重要なITソリューションで選択するクラウド種別」を尋ねた結果を中堅・中小企業全体の平均値と比較したものだ。
小売業は中堅・中小企業全体と比較すると、「IaaS:物理共用仮想サーバ」や「ホスティング:共用サーバ」の割合が若干高い。
そのため小売業では物理サーバを他社と共有することに対する抵抗感が比較的低いと考えられる。だが、一方で「SaaS:業種非依存型」の回答割合は全体平均と比べて10ポイント超の低い値を示している点にも注意が必要だ。業種固有の事情が加味されていないアプリケーションでは不十分と考えるケースが多いことがわかる。したがって、中堅・中小の小売業に対してDXに伴うクラウド活用を訴求する際は 「業種非依存型のSaaSでは不十分だが、IaaSやホスティングにおける物理サーバの共有への抵抗感は低い」ことを念頭に置いておくことが重要となる。次頁では、クラウド適用における課題とニーズを見ていくことにする。


■小売業が求める支援/サービスは「業務視察に基づくクラウド適用提案と定額の課金体系」
前頁で述べたクラウド種別に加えて、本リリースの元となる調査レポートでは以下の選択肢を列挙して、クラウド適用における課題や必須と考える支援/関連サービスを尋ねている。

「クラウド適用の課題」の選択肢
<<システム関連の項目>>
・クラウドを適用できない古いシステムが残存している
・自社が求める業務仕様をクラウドでは実現できない
・データの性質上、外部委託することができない
・データの漏洩や消失が発生する可能性がある
・オンプレミスとクラウドサービスを連携できない
・複数のクラウドサービスを連携できない
<<管理/運用に関する項目>>
・クラウドに移行すると、管理/運用の手順が変わる
・トラブルが発生した時に自社で対処できなくなる
・アカウントがクラウドサービス毎に散在してしまう
・クラウドサービス毎のアクセス権限管理が煩雑
・ネットワーク環境を全て刷新しなければならない
・クラウド事業者側の都合でシステムが停止する
・既存の販社/SIerがクラウド適用を推奨しない
<<費用に関する項目>>
・クラウド適用に必要な作業と費用が算出できない
・オンプレミスより費用が高額になる場合がある
・年額/月額での課金に対応することが難しい
<<その他>>
・クラウドを適用する必要があるか?判断できない
・取引先や顧客がクラウドの適用を望んでいない
・既存の販社/SIerがクラウド適用を推奨しない
・その他;
・今は判断できない(排他)
・課題は全くない(排他)

「クラウド適用において必須と考える支援や関連サービス」の選択肢
<<システム関連の項目>>
・オンプレミスのクラウドへの移行を支援するコンサルティング
・クラウドとオンプレミスの連携を支援するコンサルティング
・様々なクラウドサービスの連携を支援するコンサルティング
・クラウド保存が可能なデータを判別するコンサルティング
・クラウドの有効性を社内外に啓蒙するコンサルティング
・業務を視察して、最適なクラウド適用を提案するサービス※
・様々なクラウドサービスのセキュリティを統合するサービス
<<管理/運用に関する項目>>
・様々なクラウドサービスのアカウントを統一管理する仕組み※
・様々なクラウドサービスのアクセス権限を統一管理する仕組み※
・システムが保守停止する時期を個別指定できる仕組み
<<費用に関する項目>>
・システムを利用した分だけ支払う従量制の課金体系※
・年単位で一括して定額の利用料を支払う課金体系※
<<その他>>
・クラウドを理解できる人材を育成する指導者を派遣するサービス
・従業員の代わりにクラウド適用を推進する人材を派遣するサービス
・その他:
・今は判断できない(排他)
・必須と考える支援や関連サービスは全くない(排他)

以下のグラフは中堅・中小の小売業に対して「クラウド適用において必須と考える支援や関連サービス」のうち、※の付いた項目の結果を中堅・中小企業全体の平均値と比較したものだ。 上記のグラフを見ると、「クラウドサービスにおけるアカウントやアクセス権限の統一管理」よりも「業務に適したクラウド活用」が重視されている。また、「従量制の課金体系」よりも「定額の課金体系」を望む傾向も見られる。したがって、中堅・中小の小売業に対してDXに伴うクラウド活用を訴求する際は「ユーザ企業毎の業務を視察した上でクラウド適用を提案し、まずはシンプルな定額の課金体系でサービスを提供する」ことが重要と考えられる。
本リリースでは小売業に関する分析結果の一部を紹介したが、調査レポートには組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業/小売業 / 運輸業 / IT関連サービス業 / 一般サービス業の全8業種に関する集計データが収録されている。

本リリースの元となる調査レポート

『2021年版 中堅・中小企業のDXにおけるクラウド活用実態セミカスタムレポート』

DXに伴うクラウド活用を「現行システムの単なるクラウド移行」に終わらせないために、IT企業は何をすべきなのか?

【対象企業属性】(有効回答件数:700社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~50億円未満 / 50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 / 100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満 /500人以上~1000人未満/ 1000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 運輸業 / IT関連サービス業 / 一般サービス業
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 / 四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)
【調査レポートの提供内容】
通常の調査レポートは「集計データ(Microsoft Excel形式)」と「分析サマリ(PDF形式)」で構成されているが、本調査レポートでは以下の内容が提供される。

・集計データ(Microsoft Excel形式)
通常の調査レポートと同様の集計データ(各設問を業種、年商などの企業属性を軸として集計した結果)
・分析サマリ(Microsoft Powerpoint形式)
購入される企業様が分析対象となる業種区分(全8項目)または年商区分(全5項目)の合計13項目から5項目を選び、購入企業様のニーズを踏まえながら、それらの分析結果を15~20スライドにまとめたもの
例) 中堅の製造業向けにIaaS活用を訴求しているので、業種は「組立製造業」と「加工製造業」、年商は「50~100億円(中堅下位企業層)」「100~300億円(中堅中位企業層)」「300~500億円(中堅上位企業層)」を選んで、合計5項目とする
例) 業種には依存しないホスティングサービスを展開しているので、「5億円未満(小規模企業層)」「5~50億円(中小企業層)」「50~100億円(中堅下位企業層)」「100~300億円(中堅中位企業層)」「300~500億円(中堅上位企業層)」の5つの年商区分を選んで合計5項目とする
・オンラインブリーフィング 上記の分析サマリの解説とQ&Aを行う90分のオンラインブリーフィング(Microsoft Teams, Zoom, WebExが対応可)を1回実施
このように個別ニーズを踏まえた「分析サマリ」を作成し、オンラインブリーフィングと組み合わせた形態を 「セミカスタムレポート」
と呼ぶ。提供内容の更なる詳細は右記のレポート案内を参照。リンク
【価格】 350,000円(税別) 【発刊日】 2022年3月28日
ご好評いただいている既刊の調査レポート 各冊180,000円(税別)

「2021年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」
ERP/ 会計/ 生産/ 販売/ 人給/ ワークフロー/ コラボレーション/ CRM/ BIなど10分野の社数シェアとユーザによる評価を網羅
レポート案内: リンク

「2021年版中堅・中小向け5G/ネットワーク関連サービスの展望レポート」
ローカル5G、ゼロトラスト、エッジコンピューティングなどの新たなNW活用を普及させるためには何が必要か?
レポート案内: リンク

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当調査データに関するお問い合わせ
株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp

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お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。

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