2020年 中堅・中小サーバ環境においてオンプレミスからクラウドへの移行を阻む要因

ノークリサーチは業務システムの基盤となるサーバ環境においてオンプレミス(自社内設置)からクラウドへの移行を 阻む要因を多角的に調査し、その分析結果を発表した。

<ユーザ企業に最新の正しい知識を啓蒙し、業務システムのライセンス面などにも配慮することが大切>
■AWS、Google、Microsoftが依然として優勢だが、今後は国内事業者の動向にも要注目
■「古い知識に基づく思い込み」はオンプレミスからクラウドへの移行を妨げる大きな要因
■クラウド種別の提案では「BYOL(Bring Your Own License)」なども考慮する必要がある

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2020年11月9日

2020年 中堅・中小サーバ環境においてオンプレミスからクラウドへの移行を阻む要因

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社: 〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880 URL:http//www.norkresearch.co.jp)は業務システムの基盤となるサーバ環境においてオンプレミス(自社内設置)からクラウドへの移行を 阻む要因を多角的に調査し、その分析結果を発表した。本リリースは調査レポート「2020年版中堅・中小企業におけるサーバ(オンプレミス/ クラウド)およびストレージ活用の実態レポート」のサンプル/ダイジェストである。


<ユーザ企業に最新の正しい知識を啓蒙し、業務システムのライセンス面などにも配慮することが大切>
■AWS、Google、Microsoftが依然として優勢だが、今後は国内事業者の動向にも要注目
■「古い知識に基づく思い込み」はオンプレミスからクラウドへの移行を妨げる大きな要因
■クラウド種別の提案では「BYOL(Bring Your Own License)」なども考慮する必要がある


調査対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業700社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
調査対象職責: 経営層およびIT活用の導入/選定/運用に関わる立場
調査実施時期: 2020年6月初旬(全国の緊急事態宣言が解除された後)
※調査対象の詳細は本リリース末尾を参照


■AWS、Google、Microsoftが依然として優勢だが、今後は国内事業者の動向にも要注目
本リリースの元となる調査レポート「2020年版中堅・中小企業におけるサーバ(オンプレミス/クラウド)およびストレージ活用の 実態レポート」では中堅・中小企業におけるオンプレミス/クラウド双方のサーバ活用実態を集計/分析し、ベンダや販社/SIerに 向けた提言を述べている。以下のグラフはその中から、2020年の前後3年に渡って導入済み/導入予定の最も重要なサーバと して「クラウド」を選んだユーザ企業を対象に、該当するクラウドサービスの事業者名を尋ねた結果を抜粋したものだ。(サーバ やオンプレミス/クラウドの定義は本リリース5頁を参照、グラフの選択肢に関する説明は本リリース4頁を参照)
導入済みと導入予定のいずれも「アマゾンウェブサービスジャパン」、「グーグル」、「日本マイクロソフト」といった外資系事業者 が高い回答割合を示していることが確認できる。だが、導入済みと比較した導入予定の伸びという点では「富士通クラウドテク ノロジーズ」や「NTTコミュニケーションズ」といった国内事業者の動向にも注視する必要がある。次頁以降では中堅・中小企業 においてクラウドのサーバ活用を促進していくためには何が必要か?という観点での分析結果の一部をサンプル/ダイジェスト として紹介している。


■「古い知識に基づく思い込み」はオンプレミスからクラウドへの移行を妨げる大きな要因
大企業においては構築/導入する業務システムの形態としてクラウドを前提に据える「クラウドファースト」が浸透しつつある。 一方、「所有から利用へ」という図式だけを見れば、初期の費用負担を軽減しやすいクラウドはIT予算が限られる中堅・中小 企業にとっても有効な選択肢となる。ところが、実際は中堅・中小企業では大企業ほど「クラウドファースト」が進んでいない。 その要因を知るためには多角的な視点から実態を把握する必要がある。本リリース4頁に記載されているように、本リリース の元となる調査レポートでは2020年の前後3年に渡るサーバ活用の動向を様々な選択肢で尋ねている。以下のグラフはその 中から以下の2つに当てはまるサーバ活用の経緯について、クラウド形態のサーバ導入における課題を尋ねた結果である。
経緯1: 過去3年以内にサーバをクラウドからオンプレミスに移行した
経緯2: 今後3年以内にサーバをクラウドからオンプレミスに移行する 中堅・中小企業にオンプレミスからクラウドへの移行を敬遠する理由を訊いてみると、実際は既に解消されている課題である ことも少なくない。そこで、これから「経緯2」(クラウド移行を予定している場合)で多く挙げられているが、「経緯1」(クラウドに 移行済みの場合)ではそれほど課題になっていない項目があれば、それは古い知識に基づくユーザ企業の思い込みである 可能性が高い。以下のグラフでは青帯と比べて赤帯の回答割合が高い以下の項目がそれに該当する。
※1 コスト削減効果を得るにはシステムの再構築が必要
※2 クラウド事業者と自社を結ぶネットワーク負荷が高い
※3 クラウド事業者によって管理/運用の手順が異なる
※4 利用可能なOS、M/W、S/Wが限定されてしまう
中堅・中小市場では「クラウド=SaaS」という誤解が完全に払拭できていないユーザ企業もまだ存在する。その場合はIaaSや ホスティングといった選択肢が※1の解決策になることを啓蒙する必要がある。※2についても既に解決策が存在する課題と いえる。実際、クラウド事業者のデータセンタとユーザ企業のオフィスを安全かつ高速な閉域網で安価に接続できるサービス が提供されている。また、※3については確かにクラウド事業者によって管理/運用の手順が異なるが、それらを統合管理する マルチクラウド管理ツールも登場している。※4もオンプレミスと比べて選択肢が限定されるが、中堅・中小企業の多くが必要 とする選択肢は概ね揃っていると見て良いだろう。このように中堅・中小企業が考えるクラウド移行の課題には実際は解決策 が既に存在しており、ユーザ企業の古い知識に基づく思い込みに起因するものも少なくない。
一方、赤帯と比較して青帯の回答割合が高い項目はクラウド移行後に直面しやすい課題だ。「サーバを常時稼動させておくと 費用が高額になる」はその代表例だ。クラウド移行を提案する際にはクラウドのインスタンスに固有の課金体系をユーザ企業 に丁寧に説明しておくことが重要となる。また、以下の※5と※6のように経緯1では回答割合が0.0%だが、経緯2では1~2割の 回答割合を示す項目もある。この点については次頁で触れる。
※5 既存の業務システムのライセンスを適用できない
※6 外部とのデータ授受に予想外の課金が発生する

■クラウド種別の提案では「BYOL(Bring Your Own License)」なども考慮する必要がある
さらに、本リリースの元となる調査レポートでは以下の選択肢を列挙して、クラウドのサーバ活用における「種別」を尋ねている。
<<IaaS>>
IaaS:物理共用仮想サーバ 物理的なサーバを共有し、仮想化環境上でサーバが稼動するIaaS
例) AWSの「Default」テナント属性
IaaS:物理占有仮想サーバ(BYOL可) 物理的なサーバを占有し、仮想化環境上で稼動するBYOL可能なサーバを利用するIaaS
例) AWSの「Dedicated Host」テナント属性
IaaS:物理占有仮想サーバ(BYOL不可) 物理的なサーバを占有し、仮想化環境上で稼動するが、BYOLは行えないサーバを利用するIaaS
例) AWSの「Dedicated Instance」テナント属性
IaaS:物理占有サーバ 仮想化ハイパバイザを介さない物理的なサーバを占有するIaaS
例) AWSの「Bare Metal Instance」
<<ホスティング>>
ホスティング:共用サーバ 物理的なサーバを共有し、利用可能なアプリケーションなどが定められたホスティング
例) さくらインターネットの「さくらのレンタルサーバ(マネージド以外)」
ホスティング:仮想共用サーバ 物理的なサーバを共有し、仮想化によってユーザ毎の独立性が高められたホスティング
例) さくらインターネットの「さくらのVPS」
ホスティング:専用サーバ(root有) 物理的なサーバを占有し、ユーザがroot権限も所有できるホスティング
例) さくらインターネットの「さくらの専用サーバ」
ホスティング:専用サーバ(root無) 物理的なサーバを占有するが、ユーザがroot権限を所有できないホスティング
例) さくらインターネットの「さくらのレンタルサーバ(マネージド)」
<<ホステッドプライべートクラウド>>
ホステッドプライベートクラウド(定型SLA) パブリッククラウド標準のSLAに基づくサーバがユーザの個別要件に沿って貸与され、クラウド事業者が管理/運用する形態
例) 日本IBMの「IBM Cloud dedicated」 Dedicated Private Cloudとも呼ばれる
ホステッドプライベートクラウド(個別SLA) 拡張されたSLAに基づくサーバがユーザの個別要件に沿って貸与され、クラウド事業者が管理/運用する形態
例) NTTコミュニケーションズの「Enterprise Cloud for ERP」 Community Private Clouldとも呼ばれる
<<その他>>
その他:

以下のグラフは2020年の前後3年に渡って導入済み/導入予定の最も重要なサーバとしてクラウドを選んだユーザ企業に対して 上記の「種別」を尋ねた結果を集計したものだ。
「IaaS:物理占有仮想サーバ」の2項目における「クラウド導入済み」と比べた場合の「クラウド導入予定」の回答割合を見ると、 「BYOL可」は高く、「BYOL不可」が低くなっている。前頁の※5はクラウド移行済みの企業における回答割合が0.0%だったが、 今後はBYOLが可能か?もクラウド選択の重要な条件になると考えられる。一方 「ホスティング」関連の項目は「クラウド導入 済み」と比較して「クラウド導入予定」の回答割合が高く、今後の伸びが予想される。「ホスティング」では外部とのデータ授受 に従量課金を採用するケースが比較的少ないため、前頁の※6が今後の重要課題となる可能性は低いと考えられる。 ここではクラウド種別に関する分析結果のごく一部について触れたが、本リリースの元となる調査レポートでは4頁に掲載した 「オンプレミスからの移行形態」や「ストレージ形態」に関する集計/分析なども行っている。

本リリースに抜粋した設問項目および関連する設問項目の補足

本リリースに抜粋したデータの設問とその選択肢は以下の通り

1ページ目:S8.最も重要なサーバ(クラウド)を提供するクラウド事業者(複数回答可)
<<クラウド事業者/データセンタ事業者>>
アマゾンウェブサービスジャパン 例) 「Amazon Web Services」
グーグル 例) 「Google Cloud Platform」
セールスフォース・ドットコム 例) 「Salesforce Platform」
富士通クラウドテクノロジーズ 例) 「ニフクラ(NIFCLOUD)」
IIJ 例) 「IIJ GIO」
GMOインターネット(関連会社含む) 例) 「GMOクラウド」
さくらインターネット 例) 「さくらのクラウド」
SBクラウド(アリババグループ+ソフトバンク) 例) 「Alibaba Cloud」
IDCフロンティア 例) 「IDCFクラウド」
<<ベンダや販社/SIerを兼ねているクラウド事業者>>
日本マイクロソフト 例) 「Microsoft Azure」
日本IBM 例) 「IBM Cloud」
日本オラクル 例) 「Oracle Cloud Infrastructure」
NEC 例) 「NEC Cloud」
富士通 例) 「FUJITSU Cloud Service」
日立システムズ 例) 「リソースオンデマンドサービス」
サイボウズ 例) 「kintone」
フリービット 例) 「freebit cloud」
<<キャリア系のクラウド事業者>>
NTTコミュニケーションズ 例) 「Enterprise Cloud」
NTT東日本、NTT西日本 例) 「Bizひかりクラウド」
ソフトバンク 例) 「ホワイトクラウド ASPIRE」
KDDI(関連会社含む) 例) 「KDDIクラウドプラットフォームサービス」
楽天コミュニケーションズ 例) 「楽天クラウド」
<<その他>>
その他:

2ページ目:S0B.最も重要なサーバ(オンプレミス/クラウド)の導入経緯
<<過去3年以内について>>
過去3年以内にオンプレミスのサーバを新規導入した
過去3年以内にオンプレミスのサーバを更新/刷新した
過去3年以内にクラウドのサーバを新規導入した
過去3年以内にクラウドのサーバを更新/刷新した
過去3年以内にサーバをオンプレミスからクラウドに移行した
過去3年以内にサーバをクラウドからオンプレミスに移行した
<<今後3年以内について>>
今後3年以内にオンプレミスのサーバを新規導入する
今後3年以内にオンプレミスのサーバを更新/刷新する
今後3年以内にクラウドのサーバを新規導入する
今後3年以内にクラウドのサーバを更新/刷新する
今後3年以内にサーバをオンプレミスからクラウドに移行する
今後3年以内にサーバをクラウドからオンプレミスに移行する
<<その他>>
過去3年以内または今後3年以内のサーバ導入は全くない(排他)

本リリースには掲載されていない調査レポート内の設問と選択肢の一例(調査レポートには下記以外にも多くの設問が含まれる)

S11.最も重要なサーバ(オンプレミス/クラウド)の移行形態
OS、M/W、S/Wを全く変更せずに移行する 例) オンプレミスの会計パッケージをそのままIaaSへ移行する
移行と共にOS、M/W、S/Wをバージョンアップする 例) オンプレミスのERPパッケージをIaaSへ移行する際、同じERPパッケージの最新バージョンに更新する
移行と共にOS、M/W、S/Wを異なるものに変更する 例) CRMをオンプレミスからクラウドへ移行する際、パッケージからPaaSによる独自開発へと切り替える
移行と共に同じビジネス要件のシステムを再構築する 例) 販売管理をオンプレミスからクラウドへ移行する際、同じ仕様のシステムをJavaを用いて再構築する
移行と共にビジネス要件も含めてゼロから再構築する 例) 販売管理をオンプレミスからクラウドへ移行する際、仕様を再検討した上でJavaを用いて再構築する
その他:

S12B.最も重要なサーバ(クラウド)のストレージ形態(複数回答可)
仮想サーバディスク:物理サーバの内蔵ディスクやDASに相当するもの
例) 「AWS Elastic Block Store(EBS)」 「Azure Disk Storage(managed disks)」
オブジェクトストレージ:オンプレミスにおけるSANに相当するもの
例) 「AWS Simple Storage Service(S3)」 「Azure Blob Storage」
ファイル共有:オンプレミスにおけるファイルサーバに相当するもの
例) 「AWS Elastic File System」 「Azure Files」
構造化データストレージ:キー&バリュー形式の構造化データを格納するもの
例) 「AWS Dynamo DB」 「Azure Table Storage」
メッセージキュー:システム構成要素(コンポ―ネント)間の通信を担うもの
例) 「AWS Simple Queue Service(SQS)」 「Azure Queue Storage」
リレーショナルデータベース:オンプレミスにおけるMy SQLやSQL Serverに相当するもの
例) 「AWS RDS」 「Azure SQL Database」


本リリースの元となる調査レポート

『2020年版中堅・中小企業におけるサーバ(オンプレミス/クラウド)およびストレージ活用の実態レポート』

中堅・中小のサーバ環境は大企業と同様にクラウド移行が進むのか、それともオンプレミスとの共存となるのか?

【対象企業属性】(有効回答件数:700社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~50億円未満 / 50億円以上~100億円未満 /100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 / 100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満 /500人以上~1000人未満/ 1000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 運輸業 / IT関連サービス業 / 一般サービス業
(49項目の詳細な業種区分による集計結果も収録)
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 / 四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)

【調査レポートの章構成】
第1章:サーバ環境(オンプレミス/クラウド)の現状と今後(新規導入、更新/刷新、移行)
第2章:サーバ(オンプレミス/クラウド)の導入時期、用途、導入目的、OS
第3章:サーバ環境(オンプレミス)の詳細(設置形態、ベンダ/販売元、筐体)
第4章:サーバ環境(クラウド)の詳細(クラウド事業者、クラウド種別)
第5章:サーバ環境(オンプレミス/クラウド)の移行
第6章:サーバ環境(オンプレミス/クラウド)とストレージ
第7章:サーバ環境(オンプレミス/クラウド)の課題、方針/ニーズ、評価
第8章:新型コロナがサーバ導入に及ぼす影響

【価格】 180,000円(税別) 【発刊日】 近日発刊予定

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当調査データに関するお問い合わせ

株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp

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