2020年 中堅・中小向けIT活用提案に際して注視すべき新政権の施策

ノークリサーチは菅内閣が表明した施策と中堅・中小企業におけるIT活用意向の関連を分析した結果を発表した。

<「ユーザ企業の実態」と「新政権が提示した施策」の双方を踏まえたIT活用提案の戦略立案が不可欠>
■「携帯料金」や「デジタル庁」のみならず、「中小企業基本法の見直し」の推移も注視すべき
■「小規模企業クラス」「中小企業クラス」は50%超の売上減少を見込む割合が相対的に高い
■無難な「年商100億円以上の企業層」 だけでなく「中小企業/小規模企業の底上げ」も大切

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2020年9月24日

2020年 中堅・中小向けIT活用提案に際して注視すべき新政権の施策

調査設計/分析/執筆: 岩上由高

ノークリサーチ(本社: 〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880 URL:http//www.norkresearch.co.jp)は菅内閣が表明した施策と中堅・中小企業におけるIT活用意向の関連を分析した結果を発表した。本リリースは「2020年版With/Afterコロナ時代の中堅・中小IT投資動向レポート」を元に考察を行ったものである。


<「ユーザ企業の実態」と「新政権が提示した施策」の双方を踏まえたIT活用提案の戦略立案が不可欠>
■「携帯料金」や「デジタル庁」のみならず、「中小企業基本法の見直し」の推移も注視すべき
■「小規模企業クラス」「中小企業クラス」は50%超の売上減少を見込む割合が相対的に高い
■無難な「年商100億円以上の企業層」 だけでなく「中小企業/小規模企業の底上げ」も大切


本リリースで引用している「2020年版With/Afterコロナ時代の中堅・中小IT投資動向レポート」の詳細は本リリース末尾または
右記のレポート案内を参照 リンク


■「携帯料金」や「デジタル庁」のみならず、「中小企業基本法の見直し」の推移も注視すべき
多くの企業が依然として新型コロナ感染症の影響を受ける中、2020年9月16日に菅内閣が発足した。基本路線は安倍政権の 継承だが、今後のIT活用に関連する以下のような施策も新たに提示されている。
携帯電話料金引き下げ: 大手携帯電話通信事業者に対して、携帯電話料金の更なる値下げを求める
デジタル庁の創設: 今後新設されるデジタル庁が主導し、省庁を横断した行政のデジタル化を実現する
マイナンバーカードの普及: 2021年3月から健康保険証としても利用可能とし、2023年3月末には大半の住民が保有
オンライン診療の恒久化: 通常診療と比べて低いオンライン診療の報酬を見直し、現在は特例措置として解禁している初診のオンライン診療の恒久化を促進する 地方銀行の経営基盤強化: 全国で102行存在する地銀(第一地銀68行、第二地銀34行)の再編を含めた環境整備
中小企業基本法の見直し: 中小企業の定義を変更し、税制面の優遇措置や補助金の対象範囲が変わることによる再編や経営統合、最低賃金の引き上げなどを狙う
中堅・中小企業に深く関係するのが、最後に挙げた「中小企業基本法の見直し」だ。一方、以下のグラフは中堅・中小企業に 対して、新型コロナウイルスに起因する年間売上( 2020年1月~12月)の増減予測を尋ねた結果を年商別に集計したものだ。 次頁で詳述するように、IT企業としては上記の「新政権の施策」と下記のような「ユーザ企業の実態」の双方を踏まえた上で 今後のIT活用提案を練っていく必要がある。次頁以降ではそうした観点での分析/考察を述べていく。

■「小規模企業クラス」「中小企業クラス」は50%超の売上減少を見込む割合が相対的に高い
前頁に列挙した施策については既に活発な議論が展開されている。例えば、「携帯電話料金引き下げ」に関しては消費者の 負担軽減が期待される一方、既に2020年度から「将来原価方式」(通信料の多いMVNOに対して大手携帯電話通信事業者 に支払う接続料の引き下げを適用する)などの取り組みも進んでおり、更なる値下げ要請は5Gを始めとする新たな通信基盤 整備に影響を与える恐れがあるといった指摘もある。
「中小企業基本法の見直し」についても、実施に際しては慎重な検討/検証が必要と考えられる。確かに、税制面の優遇措置を 受ける目的で意図的に企業規模を中小企業に留めているケースもあり、それが産業発展の阻害要因になっているという指摘 もある。しかし、新型コロナ感染症の影響下で経営改善が見込めないまま、多くの中小企業が従来の支援を受けられなくなり、 更に賃上げ負担も強いられるといった変化に矢継ぎ早に直面すれば、景気全体にとってもマイナスの作用を及ぼしかねない。
下記はノークリサーチにおける企業規模分類(左)と中小企業庁における中小企業と小規模企業の定義(右)を記載したものだ。 左は年商規模、右は業種別の資本金と従業員数を基準としている点が異なるが、概ね「小規模企業クラス」が「小規模企業」に 相当し、「中小企業クラス」ならびに「中堅Lクラス」の一部が「中小企業」に該当する。(「小規模企業クラス」、「中小企業クラス」、 「中堅Lクラス」の合計企業数が左図の全体に占める割合は98.9%となる)
IT企業では年商100億円以上の顧客に対して専任の営業担当を設けている場合が多い。左図を見ると、年商100億円は「中堅 Lクラス」と「中堅Mクラス」の境界線となっている。つまり、専任の営業担当がいないユーザ企業の大半は中小企業庁の定義に おける「中小企業」または「小規模企業」に該当する。そのため、 IT企業にとっても「中小企業基本法の見直し」は多数の顧客の 今後にも大きく影響し、今後の推移を注視すべき施策ということになる。
上記を踏まえた上で前頁のグラフを見ると「80%超の減少」「50%超~80%以下の減少」「20%超~50%以下の減少」「20%以下 の減少」の合計割合(=割合に関係なく、「減少」と回答した割合)(グラフ中の赤縦線)は「中堅Hクラス」(年商300~500億円) で高くなっているが、 「80%超の減少」「50超~80%以下の減少」の合計割合(=「50%超の減少」と回答した割合)(グラフ中の 青縦線)は「小規模企業クラス」(年商5億円未満)ならびに「中小企業クラス」(年商5~50億円)で相対的に高くなっている。
したがって、「中小企業」の主な構成要素である「小規模企業クラス」と「中小企業クラス」は他の年商帯と比べて50%超の売上 減少を見込む割合が高いことがわかる。この状態で従来の支援策が急になくなってしまうと、企業自体の存続にも影響が及ぶ 可能性がある。こうしたリスクを回避するために「中堅Lクラス」以上の顧客層に注力するといった施策を選ぶIT企業もあるかも 知れない。だが、グラフを良く見ると、「変化なし」と回答した「小規模企業クラス」や「中小企業クラス」の企業も2~3割存在する。 こうした企業に対してコロナ渦でも有効なIT活用を提案し、顧客企業が年商規模を拡大する取り組みを支援するという道も十分 考えられる。次頁以降では具体的なITソリューションに着目しながら、この点に関する考察を進めていく。


■無難な「年商100億円以上の企業層」 だけでなく「中小企業/小規模企業の底上げ」も大切
本リリースで引用している調査レポート「2020年版With/Afterコロナ時代の中堅・中小IT投資動向レポート」では 以下のような 項目を列挙して「新型コロナに起因する経営視点の取り組み」や「新型コロナに起因するIT活用方針(全業種共通の項目)」を 尋ねている。(調査レポートには下記に加えて、業種別の項目を列挙してIT活用方針を尋ねた設問も含まれる)
以下のグラフは上記に列挙した「新型コロナに起因する経営視点の取り組み」の中から、(*)の付いた項目の取り組み予定の 有無を年商別に集計したものだ。「中小企業クラス」(年商5~50億円)は隣接する「小規模企業クラス」(年商5億円)や「中堅L クラス」(年商50~100億円)と比較していずれの項目も回答割合が高くなっている。つまり、「中小企業」における「ガイドライン を遵守した新型コロナ対策」「顧客の拡大と関係強化」「BCPの策定」といった経営視点の取り組みについては「中小企業クラス」 が有望であり、取り組み意向と年商規模は常に比例するとは限らないことがわかる。
さらに以下のグラフは上記に列挙した「新型コロナに起因するIT活用方針(全業種共通の項目)」の中から (*)の付いた項目 の取り組み予定の有無を年商別に集計したものだ。(見やすくするため、上記のグラフとは凡例と軸を入れ替えている) これを 見ると、いずれの年商帯でも「バックオフィス処理の自動化」 「ペーパレス化/脱印鑑化」と比べて「オンラインによる営業/商談」 「インターネット通販の強化」の回答割合は低い。だが、前者2つと比較すると後者2つは導入負担の少ないクラウドサービスも 多く、売上増にも直結しやすい。その点では、コロナ禍における「中小企業」の業績改善に向けた有望なIT活用提案となりうる。 現時点の導入意向は高くないが、今後は後者2つのようなIT活用提案も認知/啓蒙を進めていくことが重要と考えられる。 IT企業が年商100億円以上の企業に注力したとしても、それを下支えする「中小企業」「小規模企業」が健全に存続しなければ、 IT活用提案の成果を期待することはできない。ここでは調査レポートから幾つかのデータを抜粋して考察を行ったが、IT企業に とっては「ユーザ企業の実態」と「新政権が提示した施策」の双方を踏まえた戦略立案が不可欠になっていくと予想される。


本リリースで引用されている調査レポート

『2020年版 With/Afterコロナ時代の中堅・中小IT投資動向レポート』
新型コロナは中堅・中小企業のIT活用をどのように変えたのか?IT企業は何をどのように提案していくべきなのか?
【対象企業属性】(有効回答件数:700社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~50億円未満 / 50億円以上~100億円未満 /100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 / 100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満 /500人以上~1000人未満/ 1000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 運輸業 / IT関連サービス業 / 一般サービス業
(49項目の詳細な業種区分は本リリース2ページ参照)
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 / 四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)
【分析サマリの概要】
第1章: 新型コロナが企業の売上やIT支出に与える影響
1-1. 年商別に見た売上やIT支出の変化
1-2. 業種別に見た売上やIT支出の変化
第2章: 緊急事態宣言で生じた課題とプラス効果
2-1. 課題とプラス効果の全体傾向
2-2. 年商別に見た課題とプラス効果
2-3. 業種別に見た課題とプラス効果
第3章: 新型コロナに起因するビジネス面の取り組み
3-1. 経営視点の取り組み
3-2. IT活用方針(全業種共通の項目)
3-3. IT活用方針(組立製造業/加工製造業/建設業に固有の項目)
3-4. IT活用方針(卸売業/小売業/サービス業/運輸業に固有の項目)
第4章: With/Afterコロナで必要となるIT商材
4-1. IT関連ソリューション(自動化、ペーパレス化、センサやロボットの活用など)
4-2. 業務アプリケーション(Web会議、プロジェクト管理、勤怠管理、採用管理など)
4-3. IT関連インフラ(端末/クラウド/ネットワークなど) (クラウド移行、スマートデバイス、DaaS、VPNなど)
4-4. 新規ビジネス基盤(サブスクリプション基盤、企業間取引基盤など)
第5章: With/Afterコロナに伴うIT支出の市場規模
5-1. 2020年1月~12月に新型コロナ関連で拠出する年間IT支出総額
5-2. 年商別に見た場合の新型コロナに起因するIT支出市場規模
5-3. 業種別に見た場合の新型コロナに起因するIT支出市場規模
5-4. 地域別に見た場合の新型コロナに起因するIT支出市場規模
第6章: With/AfterコロナのIT活用における相談相手(業務コンサルタント、地域の金融機関や行政機関、IT関連のベンダや販社/SIer、士業、業界団体など)
6-1. 年商別に見たIT活用判断に大きな影響を与える業者
6-2. 業種別に見たIT活用判断に大きく影響を与える業者
6-3. 地域別に見たIT活用判断に大きく影響を与える業者
【価格】 180,000円(税別) 【発刊日】 2020年7月15日 【レポート案内】 リンク

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株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp

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