ノークリサーチは既存の調査データを元に、新型コロナウイルスに伴うテレワーク導入を一過性の取り組みに終わらせないためにIT企業は何をすべきか?に関する分析を行い、その結果を発表した。
PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2020年4月14日
2020年 テレワーク導入を一過性に終わらせないためにIT企業が取り組むべき事柄
調査設計/分析/執筆: 岩上由高
ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880 URL:http//www.norkresearch.co.jp)は既存の調査データを元に、新型コロナウイルスに伴うテレワーク導入を一過性の取り組みに終わらせないためにIT企業は何をすべきか?に関する分析を行い、その結果を発表した。本リリースは「2020年 恒常的な事業継続対策につながるIT活用提案レポート」のサンプル/ダイジェストである。
<テレワーク導入を「負の経験」としないためには、IT企業側の啓蒙が重要な役割を果たす>
■緊急対応としてのテレワーク導入と並行して「恒常的&網羅的なBCP対策」も検討すべき
■BCP対策の訴求対象はIT企業の商材やユーザ特性によって、6つのクラスタに分類できる
■Windows 7サポート終了対策における方針の違いはユーザ企業を分類する際の重要指標
■「ベンダ集約」や「働き方改革」がBCP対策を促進するか?はクラスタによって異なってくる
■緊急対応としてのテレワーク導入と並行して「恒常的&網羅的なBCP対策」も検討すべき
7都道府県を対象とした緊急事態宣言の発出後、テレワーク導入を検討する動きが中堅・中小企業においても見え始めている。 Web会議ツール、ノートPC、カメラ、ヘッドセットなどの関連するIT商材の需要増を見越して、テレワーク導入提案に注力するIT 企業も少なくない。しかし、中堅・中小企業全体で見た場合には以下のような実情もある。
1. 業種や業態によってはテレワーク の実施が極めて困難である
例) 製造業の工場、建設業の現場、卸売業の倉庫、 小売/サービス業の店舗など
2. 技術的には可能だが費用や慣習 の面で難しい場合がある
例) 自宅で作業するためのノートPCを購入する予算を捻出できない
例) 紙面の書類や捺印が不可欠であるため、出社する必要がある
例) 電話転送は可能だが、誰が電話を受けるのか?の調整が困難
1.については「テレワークが困難な業種/業態は除外する」のではく、「パンデミックが収束した後に必要となるサプライチェーン の補完/修復や顧客を呼び戻すための取り組み」をどう支援すべきか?を今から検討する必要がある。2.についてはIT商材の 販売だけでなく、テレワークの障壁となる慣習の改善を促すことが重要だ。例えば、紙面の書類処理を継続したままWeb会議 ツールだけを導入すると「正社員は自宅作業だが、派遣社員はオフィスで作業を強いられる」などの状態が発生し、結果的に パンデミック収束後には元に戻ってしまう。さらに、テレワーク自体に悪い印象を残す「負の体験」をユーザ企業に与えてしまう ことにもなりかねない。この例では、2020年4月から中小企業も対象となった長時間労働規制も絡めて、「業務効率化の一環と してのペーパレス化とテレワーク」という広い視点でのIT活用提案が有効となる。過去には地震/洪水が発生した後にデータの バックアップ需要が高まった時期があったが、上記と同様に一過性の取り組みに終わってしまうケースが少なからず見られた。 したがって、IT企業としては「一時的な個別対策」としてのテレワーク導入提案と並行して「恒常的&網羅的なBCP対策」を提案 していくことが大切だ。次項ではそのために必要なユーザ企業の分類とニーズ理解に関する分析結果の一部を紹介している。
■BCP対策の訴求対象はIT企業の商材やユーザ特性によって、6つのクラスタに分類できる
前頁で述べたように感染症対策に伴うテレワーク導入提案では「一時的な個別対策」だけでなく、「恒常的&網羅的なBCP対策」を 啓蒙していくことが大切だ。だが、現在の緊急事態においては「まずはテレワークを導入し、オフィス出勤を少しでも減らす」といった 取り組みも必要となってきている。したがって、IT企業としてはユーザ企業に対して、「紙面の処理が残っている場合はオフィスでの 作業が必要になるかも知れない」という点も事前に伝えておくことが大切だ。その上で、パンデミックが収束した際には「業務効率化 の一環としてのペーパレス化とテレワーク」を提案し、テレワークを健全な形で定着させていくことが望ましい。IT企業にとっても現在 は厳しい状況だが、テレワーク導入を一過性に終わらせないためにも、ユーザ企業がパンデミック収束後にビジネスを回復し、恒常 的かつ網羅的なBCP対策を進めるための支援策を並行して進めていくことが重要と考えられる。
そこで本リリースとなる調査レポートでは「恒常的&網羅的なBCP対策」に必要なユーザ企業の分類とニーズ理解に関する分析を 行い、ユーザ企業に対して具体的に何を提案すべきか?の提言を述べている。まず、BCP対策を提案する際には
1. 事業継続に向けた計画の策定/立案 例)サプライチェーンの補完/修復と顧客との関係再構築のどちらを優先すべきか?
2. 事業継続を実現する仕組みの導入 例)テレワークの対象者を増やすためのペーパレス化の手段として何を用いるか?
といった2つの観点からユーザ企業の意向を把握する必要がある。ただし、BCP対策は対象範囲が広いため、上記だけでは抽象度 が高くなってしまう。そこで、まずはユーザ企業が理解しやすいIT活用提案をまず提示し、そこからBCP対策へと結び付けていくこと が大切だ。 例えば、前頁に述べた「長時間労働規制に伴う業務効率化の手段としてペーパレス化を進め、紙面処理を減らすことで テレワークを適用できる社員数を増やし、テレワークを定着させていく」といったアプローチはまさにこうした具体例の一つである。
中堅・中小企業がIT活用提案を検討する際は「具体的なモノ」が見えた方がわかりやすい。また、BCP対策に比較的結びつきやすい IT活用提案はセキュリティ、運用管理、バックアップといった「守りのIT対策」である。 そこで、本リリースの元となる調査レポートでは 以下の3つの具体的な守りのIT対策の中から、「恒常的&網羅的なBCP対策」に結びつきやすいものは何か?を分析している。
RE. エンドポイントに関する守りのIT対策の「方針」と「ニーズ」 例) Windows10の更新プログラムの制御
RS. サーバ/ネットワークに関する守りのIT対策の「方針」と「ニーズ」 例) IoTや5Gネットワーク
RA. アプリケーションに関する守りのIT対策の「方針」と「ニーズ」 例) 複数のIDやアカウントの統合管理
上記を踏まえて、調査レポートでは1297社の中堅・中小企業を対象とした調査結果に「階層クラスタ分析」と「ベイジアンネットワーク 分析」を適用し、RE/RS/RAの3つの分野において上記の1および2と結びつきやすいIT活用提案は何か?を分析している。次頁では その結果の一部を紹介している。
■Windows 7サポート終了対策における方針の違いはユーザ企業を分類する際の重要指標
「恒常的&網羅的なBCP対策」に結びつきやすいIT活用提案は年商や業種だけでなく、「IT管理/運用の人員体制」や「OSサポート 終了に伴う守りのIT対策方針」などによっても異なってくる。そこで、本リリースの元となる調査レポートでは年商、従業員数、業種、 所在地、IT管理/運用の人員規模、ビジネス拠点の状況といった基本属性に加えて「複数ベンダの製品/サービスを使い分けるか」 「端末内にデータを保存しない形態を重視するか」など20項目超にわたる守りのIT対策方針を尋ねた結果を元に階層クラスタ分析 を用いてユーザ企業を分類している。階層クラスタ分析は左下図が示すように基本属性+守りのIT対策方針の回答結果を多次元 空間に配置した時の距離によって類似性を測り、ユーザ企業をクラスタ(グループ)に分類する手法である。右下のグラフはこうして 得られた3つのクラスタの特徴を示したものだ。クラスタRE1 ⇒ クラスタRE2 ⇒ クラスタRE3の順に「年商5億円未満の企業割合」は 低くなっているため、この順に企業規模が大きくなる分類であることがわかる。クラスタRE3は「専任でIT管理/運用を担当する社員 が10名以上いる割合」が高く、IT企業にとってはBCP対策提案を行いやすい。しかし、クラスタRE3に該当するユーザ企業は少ない ため、IT企業としてはクラスタRE1およびクラスタRE2を対象としたBCP対策提案に取り組む必要がある。クラスタRE1とクラスタRE2 を区別する目安は「Windows 7サポート終了に伴い守りのIT対策を刷新/更新しようと考える割合」だ。Windows 7サポート終了時に 最低限の対応で済まそうとする傾向が強かったユーザ企業はクラスタRE1、セキュリティなど関連する対策にも取り組もうとする傾向 が見られたユーザ企業はクラスタRE2となる。
上記は『RE.エンドポイントに関する守りのIT対策の「方針」と「ニーズ」』における分析結果だが、調査レポートでは同様に「RS.サーバ/ ネットワークに関する守りのIT対策の「方針」と「ニーズ」』および『RA.アプリケーションに関する守りのIT対策の「方針」と「ニーズ」』に おけるクラスタ分類も行っている。IT企業としては、以下のように自社の商材に即した分野を選んで、それぞれのクラスタ分類に沿って ユーザ企業に対するアプローチを進めることができる。
PCベンダやPC向けの守りのIT対策を得意とする場合⇒ RE系列のクラスタ分類に沿ったアプローチ
サーバやネットワークのベンダやそれらに関する守りのIT対策を得意とする場合⇒ RS系列のクラスタ分類に沿ったアプローチ
アプリケーション(業務システム)やそれらに関する守りのIT対策を得意とする場合⇒ RA系列のクラスタ分類に沿ったアプローチ
調査レポートでは上記で得られた個々のクラスタに対してベイジアンネットワーク分析を適用し、BCP対策に結びつきやすいIT活用 提案は何か?を明らかにしている。次頁ではその一部を紹介している。
■「ベンダ集約」や「働き方改革」がBCP対策を促進するか?はクラスタによって異なってくる
BCP対策につながるIT活用提案の分析では複数の項目間の関連を分析する必要がある。そこで本リリースの元となる調査レポート ではノークリサーチでも既に多くの実績があり、「もし、ある項目が***であった時、他の項目がどう変化するか」を確率的に推論可能 なベイジアンネットワーク分析を用いている。(詳細は右記を参照 リンク )
左図は前頁で述べた『RE. エンドポイントに 関する守りのIT対策の「方針」と「ニーズ」』 の1番目のクラスタ分類(クラスタRE1)での 分析結果を図示したものだ。
赤色のノード(丸印)がBCP対策に関連する項目、黄色 のノードが年商や業種などといった企業属性、その他の ノードが様々なIT活用提案の項目を表している。
エッジ(矢印)で結ばれたノードは互いに影響を与える関係にあり、一般的に近いノード同士の方が遠いノード 同士よりも互いに強く影響する。
ベイジアンネットワーク分析は「あるノードが特定の値を示したとき、他のノード値がどう変化するか?」をシミュレーションすることが できる。(ノードに特定の値を設定することを「エビデンスを与える」と表現する)そこで、上図の赤点線矢印が示すように「事業継続に 向けた計画の策定/立案」(※1)または「事業継続を実現する仕組みの導入」(※2)に該当するノードにエビデンスを与えた時、他の ノード値がどう変化するか?を分析すれば、BCP対策に結びつきやすいIT活用提案は何か?を知ることができる。
左上段のグラフはクラスタRE1において 「事業継続に向けた計画の策定/立案」 と結びつきやすいIT活用提案は何か? を分析した結果の一部である。
グラフを見るとクラスタRE1のユーザ企業 に対しては「ベンダ集約」による管理/運用 の負担軽減や「働き方改革に関連付けた 守りのIT対策」よりも、「Windows 10更新 プログラムを制御する仕組み」を切り口と した方がBCP対策を計画的に進める契機 となりやすいことがわかる。
一方、左下段のグラフはクラスタRA2に おいて、「事業継続を実現する仕組みの 導入」に結びつきやすいIT活用提案を 分析した結果である。つまり、地震/洪水 に備えたバックアップや感染症に備えた テレワークを実現するツール類の導入を 平常時に訴求するために有効なIT活用 提案は何か?を表していることになる。
クラスタRE1とは異なり、クラスタRA2では「ベンダ集約」や「働き方改革」を契機とした方が、BCP対策を実現するためのツール類の 導入に結びつきやすいことがわかる。このように「エンドポイント関連なのか?アプリケーション関連なのか?」といった分野の違いや 「ユーザ企業がどのような特性を持っているか?」を反映したクラスタ分類が異なれば、訴求すべきIT活用提案も変わってくる。(クラ スタRE1に関する分析結果の一部は右記のリリースでも紹介している。(リンク ) IT企業としてはこうした違いを踏まえながら、 「恒常的&網羅的なBCP対策」の提案に取り組んでいくことが大切だ。
本リリースの元となる調査レポート
『2020年 恒常的な事業継続対策につながるIT活用提案レポート』
災害が起きた後では間に合わない事業継続対策、平常時からユーザ企業の取り組み意向を高めるには何が必要か?
【レポート案内(試読版含む】 リンク
【対象企業属性】(有効回答件数:1267社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~10億円未満 / 10億円以上~20億円未満 / 20億円以上~50億円未満 /50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 /100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満/ 500人以上~1,000人未満 /1,000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他(公共/自治体など)
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)
【分析サマリの概要】
第1章. 本ドキュメントの構成
第2章. 現状の課題
第3章. 守りのIT対策全般における企業クラスタ分類
3-1. エンドポイント関連の対策における分類
3-2. サーバ/ネットワーク関連の対策における分類
3-3. アプリケーション関連の対策における分類
第4章. 事業継続対策の契機となるIT活用提案の分析
4-1. エンドポイント関連の対策における分析
4-2. サーバ/ネットワーク関連の対策における分析
4-3. アプリケーション関連の対策における分析
【価格】 180,000円(税別) 【発刊日】 2020年4月20日
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株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp
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