統合失調症治療剤として開発中のSEP-363856を対象としたブレイクスルーセラピー指定の受領について

大日本住友製薬株式会社 2019年05月10日 09時30分
From 共同通信PRワイヤー

2019年5月10日

大日本住友製薬株式会社

統合失調症治療剤として開発中のSEP-363856を対象としたFDAによるブレイクスルーセラピー指定の受領について

 大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:野村 博)の米国子会社であるサノビオン・
ファーマシューティカルズ・インク(以下「サノビオン社」)とPsychoGenics, Inc.(本社:米国ニュージャージー州、以下「PsychoGenics社」)は、このたび、ドパミンD2受容体に作用しない新世代の統合失調症治療剤を目指して開発中のSEP-363856(開発コード、以下「本剤」)について、米国食品医薬品局(FDA)よりブレイクスルーセラピー指定※(Breakthrough Therapy Designation)を受領しましたので、お知らせします。

 本剤は、既存の抗精神病薬が作用するドパミンD2受容体およびセロトニン5-HT2A受容体には作用せず、本剤の作用機序は明らかではありませんが、TAAR1(微量アミン関連受容体1)およびセロトニン5-HT1A受容体に対するアゴニスト作用を有すると考えられています。
FDAによるブレイクスルーセラピー指定は、本剤のピボタル試験の一つとなるフェーズ2試験(SEP 361-201)およびSEP361-202試験【SEP 361-201の継続長期試験(6か月間)で、本剤の安全性・忍容性を検討した非盲検フェーズ2試験】のデータに基づいています。

 サノビオン社のPresident and Chief Executive Officer であるAntony Loebel(アントニー・ローベル)は、次のように述べています。「統合失調症は、思考、認知、行動の持続的な異常および、生活の質(QOL)や機能面の障害が関連する公衆衛生上の課題であり、米国では約240万人が罹患しています。1950年代に始まった抗精神病薬による薬物治療の大きな進歩が停滞してきた中で、本剤は、統合失調症患者さんのための新しい治療法になる可能性があります。本剤の臨床での有用性をさらに評価するための臨床試験が進行中であり、FDAと密接に連携していきます。」

*ブレイクスルーセラピー指定:重篤または生命にかかわる疾患の治療を目的とした薬剤の開発・審査を促進する米国の制度であり、制度の対象となる薬剤は、予備的な臨床試験結果により、臨床的に重要なエンドポイントにおいて、既存の治療法と比較して大幅な改善が期待できることを示す必要があります。
ブレイクスルーセラピー指定を受けた薬剤は、効率的な開発計画および優先的な審査に関してFDAからの集中的なガイダンスの対象となります。

以 上

(ご参考)

【SEP-363856について】
 SEP-363856は、既存の抗精神病薬とは異なり、ドパミンD2受容体に親和性を示さない、新しい作用機序を有する抗精神病薬です。サノビオン社は、PsychoGenics社と共同で、PsychoGenics社 が開発した創薬プラットフォームSmartCube®とそのデータ解析に人工知能(AI)アルゴリズムの一部を用いて、SEP-363856を創製しました。またPsychoGenics社との共同研究の下、定量的な構造活性相関解析に基づき、SEP-363856の抗精神病薬作用はサノビオン社により最適化されています。サノビオン社およびPsychoGenics社が共同でSEP-363856を有しており、サノビオン社は、全世界を対象にSEP-363856を開発し、商業化する独占的権利を有しています。
SEP-363856は、統合失調症およびパーキンソン病に伴う精神病症状を対象に臨床試験が行われており、適応症の追加も検討されています。これまでの臨床試験の結果から、1日1回投与に適した薬物動態特性が示されています。

【統合失調症について】
 統合失調症は、世界中で2300万人を超える人々が、米国では約240万人(成人の約100人に1人の割合)が罹患している、慢性で重症化しやすい精神疾患です。統合失調症の症状として、幻覚、妄想、思考障害などの陽性症状、感情の平板化、社会的引きこもり、自発性低下などの陰性症状、記憶力、注意力、実行能力の低下などの認知機能障害が知られています。

【SEP361-201試験について】
 SEP361-201試験は、統合失調症急性増悪期の入院患者を対象とした、4週間のランダム化二重盲検プラセボ対照比較の臨床試験であり、2018年12月に開催された第57回米国精神神経薬理学会(ACNP)年次総会で結果が発表されました。SEP361-201試験の結果、主要評価項目である投与4週間後の陽性・陰性症状評価尺度(PANSS:Positive and Negative Syndrome Scale)※1合計スコアの変化量において、SEP-363856投与群は、プラセボ投与群に対して統計学的に有意(SEP-363856投与群:-17.2、プラセボ投与群:-9.7、p=0.001)かつ臨床的に意義のある改善を示し、主要評価項目を達成しました。また、臨床全般印象評価尺度-重症度(CGI-S)※2の変化量においても、SEP-363856投与群は、プラセボ投与群に対して統計学的に有意な改善(p<0.001)を示し、さらに、すべてのPANSSのサブスケールでも改善(p<0.02)が認められました。
SEP-363856投与群での投与中止率、錐体外路症状、アカシジアを経験した患者の割合および、体重、脂質、グルコース、プロラクチンなどの代謝指標の変化は、プラセボ投与群と同等の安全性を示し、総じて良好な忍容性を示しました。

※1 陽性・陰性症状評価尺度(PANSS):主として統合失調症の精神状態を全般的に把握することを目的とした評価尺度です。陽性尺度7項目、陰性尺度7項目、総合精神病理尺度16項目の合計30項目で構成され、各項目は1(症状なし)から7(最重度)までの7段階で評価されます。

※2 臨床全般印象評価尺度-重症度(CGI-S):疾患の重症度を1(正常)から7(非常に重度の精神疾患)の7段階で評価する尺度です。

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