東北大学の研究成果プレスリリース情報『器官を丸ごと作り変える驚きの再生現象の仕組み』

国立大学法人東北大学 2018年01月15日 15時30分
From 共同通信PRワイヤー

2018年1月15日

国立大学法人東北大学

東北大学の研究成果プレスリリース情報
『器官を丸ごと作り変える驚きの再生現象の仕組み -眼が翅に変わるショウジョウバエを使った器官再生研究 』

【発表のポイント】
・ショウジョウバエでは、細胞の分化状態を器官ごと転換する「決定転換」というユニークな現象が50年以上前から知られていますが、その仕組みはよくわかっていませんでした。
・眼が翅(ハネ)に変わってしまうショウジョウバエでは、「Wge」、「Su(var)3-9」という2つのタンパク質がこの転換を担っていることが今回わかりました。
・今回の発見は、器官再生や分化転換などの再生医療分野に繋がる基礎的知見になると期待されます。

【概要】
東北大学大学院薬学研究科の増子恵太研究員、倉田祥一朗教授らの研究グループは、モデル生物の1つであるショウジョウバエを用いて、「決定転換」という仕組みに関わる遺伝子を同定しました。「決定転換」現象とは、傷やストレスに対する応答として、器官を丸ごとつくり変えてしまうという、驚くような器官の再生現象です。同定した遺伝子はヒトにも相同遺伝子があり、この研究成果は器官再生や分化転換などの再生医療分野に繋がる基礎的知見になると期待されます。
この成果は平成30年1月2日(日本時間1月3日)に、Cell Reports誌に掲載されました。


【詳細な説明】
細胞がその性質を転換する能力(分化可塑性)は様々な生物で知られていますが、その仕組みはよくわかっていません。発生生物学のモデル生物としてよく用いられるショウジョウバエは「決定転換」という仕組みを持っており、傷やストレスに対する応答として、器官を丸ごとつくり変えてしまうという、驚くような分化可塑性を持っていることが50年以上も前から知られています。この興味深い現象の仕組みを明らかにすることで、分化可塑性の仕組み、器官の形や機能を決める仕組みといった、器官再生を目指す上での重要な問題に迫ることができるかもしれません。

東北大学大学院薬学研究科の増子恵太研究員、倉田祥一朗教授らの研究グループは、「決定転換」により眼が翅(ハネ)に変わってしまうショウジョウバエ系統について研究を行いました。その結果、「Wge」「Su(var)3-9」という2つのタンパク質がこの転換を担っていることを明らかにしました。特に「Su(var)3-9」はヒストンメチル化酵素(注)に分類されるタンパク質であり、ヒストンタンパク質上にメチル化と呼ばれる化学修飾を施すことで、様々な遺伝子の働きに影響を及ぼすことが知られています。これにより、「Wge」と「Su(var)3-9」は協調的にこの化学修飾を調節することで、「決定転換」現象における分化可塑性に重要な機能を果たしていることが明らかになりました。
「wge」や「Su(var)3-9」と相同な遺伝子はヒトを含む哺乳類に存在していますが、器官再生や分化転換における機能はよくわかっていません。この研究は再生医療分野に繋がる基礎研究であり、器官再生や生体内で起こりうる分化転換の仕組みのさらなる理解につながることが期待されます。

【論文題目】
winged eye induces transdetermination of Drosophila imaginal disc by acting in concert with a histone methyltransferase, Su(var)3-9
Keita Masuko, Naoyuki Fuse, Kanae Komaba, Tomonori Katsuyama, Rumi Nakajima, Hirofumi Furuhashi, and Shoichiro Kurata
本研究成果は、平成30年1月2日(日本時間1月3日)に、Cell Reports誌に掲載されました。

注)ヒストンメチル化酵素
クロマチン(染色体)を主に構成するのはDNAとそれが巻きつくヒストンタンパク質です。ヒストンタンパク質にはメチル化を始めとした様々な化学修飾が施されることが知られています。ヒストンタンパク質上の様々な位置に特定の化学修飾が付与されると、近傍に存在する遺伝子の発現に変化が起こる場合があり、転写が活性化されたり、あるいは抑制を受けたりします(エピジェネティック制御と呼ばれます)。ヒストンメチル化酵素はヒストンタンパク質にメチル化修飾を付与する活性を持っているタンパク質で、様々な生命現象に役割を持っていることが知られています。

【図1】
眼が翅(ハネ)に変わってしまうショウジョウバエ(写真右)では、「Wge」、「Su(var)3-9」という二つのタンパク質がこの転換を担っていることが今回わかりました。

【図2】
左の2枚の写真は通常のショウジョウバエの頭部と、決定転換により眼が翅に変わってしまったショウジョウバエを示しています。異所的にできた翅を拡大して見てみると、本来の翅が持つ三次元的な「かたち」を持っていることが分かります(青で示した部分は翅の基部構造、赤で示した部分は翅の辺縁部前側に特徴的な構造です)。このように、「決定転換」は器官ごと組織が再構成される興味深い現象です。




本プレスリリースは発表元企業よりご投稿いただいた情報を掲載しております。
お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]