アフリカ自動車市場:2025年に向けて成長拡大が期待

フロスト&サリバンは、アフリカの自動車市場についての見通しを新たにまとめました。一次産品依存が高いアフリカ経済は、原油や一次産品の価格下落により現状では停滞していますが、アフリカ自動車市場は2025年に向けて成長が期待されています。フロスト&サリバンの最新の分析では、アフリカ*の新車販売台数(乗用車及び商用車)は2016年の162万台から、2025年までに326万台規模に成長する見通しとなっています。*本分析では、アフリカ大陸の28カ国を対象。

「2015年における新車市場規模では、南アフリカが突出(41.3万台)し、次点をエジプト、アルジェリア、モロッコ(約28万、27台、12万台)が追っています。2021年頃まで、南アフリカにおいては大きな成長性は見られず、年成長率1~2%程度の成長にとどまるとみられます」と、フロスト&サリバンのモビリティ部門シニアコンサルタントの森本尚は述べています。「これに対し、次点グループの成長は5~10%のペースで伸長する可能性があり、その中でもエジプト、アルジェリアは伸びが大きいとみられます。一人あたりGDP(国内総生産)で見ても、2021年にはアルジェリアは4,500米ドル、モロッコやエジプトも4,000米ドルは超えてくる見通しとなり、乗用車の普及が始まると言われる2,500米ドルラインよりはかなり上方に向けて成長を続ける見通しであり、これらの国々の成長は期待が大きいでしょう。」

フロスト&サリバンは製造業が将来的にアフリカで主要な産業になると見ており、中でも自動車製造及び車両組立が今後最も有望な産業として見込まれています。アフリカの製造業は資本や労働力、インフラ面での課題が存在しますが、将来的には政策の改善や民間セクターによる投資の拡大、ビジネス環境の改善が見込まれています。また、ナイジェリアやケニアといった国々は「ローカルコンテント政策(国内産品の調達優遇)」を導入し、中古車の輸入制限や輸入新車への関税を課しています。この様な政府による現地生産の推奨は、国内の車両組立工場の設置拡大にもつながっています。さらに、アフリカ東部では輸送回廊プロジェクトの拡大によって、交通・物流におけるビジネス機会の拡大や、同地域における商用車の需要拡大が今後5年間で期待されています。

自動車メーカーは自動車製造拠点の設置をアフリカに近い地域で進めつつあり、中でもナイジェリアはアフリカでの主要な自動車製造拠点の一つとなっています。ナイジェリアでは、日産自動車やフォード・モーター、フォルクスワーゲン(VW)が現地パートナーと現地車両組立工場の稼動を既に開始しているほか、三菱自動車も同国進出計画について言及しています。この様な動きの多くは、ナイジェリア政府が導入した、大幅な関税引き上げによる中古車の輸入台数の制限を目的とした「自動車産業開発計画(NAIDP)」が背景にあります。

また、南アフリカでは、BMWやトヨタ自動車、VW、フォードが国内自動車セクターに向けた投資を拡大し、稼動や生産能力の増強を図っています。同国での自動車メーカーによる投資拡大の背景には、国内経済の停滞に伴う需要減退による輸出市場の拡大があります。南アフリカからの自動車輸出台数は現在増加しつつあり、自動車メーカーは南アフリカを自動車製造拠点として活用することを進めつつあります。この様な主要メーカーによる投資拡大は、南アフリカのみでなく、アフリカ大陸全土における進出拡大も示唆しています。

一方で、アフリカの自動車市場は現状では発展途上の段階であることに加えて、国内経済が同産業に直接的な影響を及ぼすという特徴もあります。「アフリカの経済は原油価格や鉱物資源の価格の変動に大きく左右されるため、経済状況の変動に応じて、自動車市場も大きく影響を受けることになります。エジプトは現状での自動車普及率が1000人あたり43台と成長余地が大きい(アルジェリアは114台、日本は476台)が、アルジェリアやナイジェリア等に比較して、税制に関連したコスト高から、現地車両組立工場の減少が続いており、これも国内消費に少なからずマイナスの影響を与える可能性があります」と、森本シニアコンサルタントは話します。
2016年から2017年にかけて、アフリカの多くの国々における経済成長の鈍化は、自動車市場にもマイナスの影響を及ぼすと予測されます。しかし、ナイジェリアやケニアにおけるローカルコンテント政策によって、国内の車両組立事業の拡大が進み、2017年以降には特に高級車やハッチバック及びピックアップトラックのセグメントにおいて、さらに多くの自動車メーカーがアフリカ市場に進出していくことが期待されます。


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