赤潮の発生を早期検知 「赤潮原因プランクトン検出キット」を提供開始

海水中のDNAから有害な赤潮の原因となるプランクトンを簡単、迅速、正確に検出

株式会社ニッポンジーンは、国立研究開発法人 水産研究・教育機構により確立された有害赤潮原因プランクトン検出技術をもとに、赤潮原因プランクトンをより簡単、迅速、正確に検出できるLAMP法(注1)を用いた世界初の製品を開発しました。株式会社富士通システムズ・イーストは、同社が運営するEC販売サイト「e Genome Order(イーゲノムオーダー)」にて、「赤潮原因プランクトン検出キット1-カレニアミキモトイ-」および「赤潮原因プランクトン検出キット2-シャットネラ属-」の2製品を6月30日より提供開始します。

本検出キットにより、赤潮の原因となるプランクトンを発生のごく初期から高感度で検出できるようになるため、赤潮の発生予測の早期化が可能になり、適切な対策を講じることで赤潮による養殖への甚大な被害の軽減に貢献することが期待されます。

 プランクトンの異常増殖で起こる赤潮の被害は年々深刻化しており、養殖が盛んな日本において、ブリやカンパチなどへの被害総額は年間数十億円に上ることもあります。日本の海域に生息する数百種類もの植物プランクトンの中で水産業に深刻な被害をもたらす有害種は20種類余りです。今回は、それらの有害種の中で特に影響が大きい「カレニア ミキモトイ(注2)」と「シャットネラ属(注3)」について、LAMP法により特異的にDNAを増幅させて検出する製品をそれぞれ販売します。

 赤潮による水産業への大きな被害を防ぐためには、赤潮の発生を早期にモニタリングし、生け簀の移動や餌止めといった対策を講じることが肝心です。これまでは主に顕微鏡観察によって有害種の判定や細胞密度の測定が行われてきましたが、この方法には高度な知識を必要とし、作業や測定に時間がかかる場合があるといった課題がありました。
 そこで、ニッポンジーンと水産機構は、LAMP法を用いて、より簡単かつ迅速に有害種の「カレニア ミキモトイ」や「シャットネラ属」を検出できる「赤潮原因プランクトン検出キット」を開発しました。本検出キットでは、海水から抽出したDNAを検査溶液に加えて62℃ (カレニア ミキモトイ) または66℃ (シャットネラ属) で1時間保温し、UVライトを当てるだけで、迅速かつ簡単に正確な判定が行えます。該当の有害プランクトンがいた場合、反応液が緑色に発光します。


【製品価格】
・「赤潮原因プランクトン検出キット1-カレニアミキモトイ-」(24 テスト用)  3万2,300円
・「赤潮原因プランクトン検出キット2-シャットネラ属-」(24 テスト用)   3万2,300円

【出荷時期】
7月4日

【販売目標】
今後1年間で各々100キット

【EC販売サイト「e Genome Order」について】
 富士通システムズ・イーストが運営する「e Genome Order」は、15年の実績をもつゲノムマーケットサイトです。汎用の検査キットや検出装置を購入できるだけでなく、お客様が検出したいウイルスなどの遺伝子情報をもとに増幅検出のための試薬(プライマー)を作製するサービスも提供しています。そのサービスを利用することでお客様が独自の検出キットを開発することも可能です。

 現在、「e Genome Order」では、「ノロウイルスGⅠ/GⅡ検出試薬キット」をはじめ、コシヒカリを判別する「コシヒカリLAMP判別キット」や、栽培中のトマトの病気を調べる「トマト黄化葉巻病診断キット」など、100種類以上もの検査キットを販売しています。

 ニッポンジーンと富士通システムズ・イーストは、今後も「e Genome Order」を通じて、ライフサイエンス、環境、園芸、農業、食品、畜産、水産など、様々な検査・研究分野で貢献いたします。

このプレスリリースの付帯情報

検査の流れ

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用語解説

(注1)LAMP (Loop-mediated Isothermal Amplification)法:
栄研化学株式会社(本社:東京都文京区)が1998 年、PCR 法に代わる遺伝子増幅技術として、独自に開発した遺伝子増幅法。一定温度で遺伝子増幅反応が進行する画期的な技術であり、温度可変恒温槽や蛍光検出器などの高価な機器を必要としません。従来の方法と比較して特異性に優れ、また、その高い増幅反応効率から、短時間反応および簡易検出が可能など、「簡易、迅速、精確」を特徴とする遺伝子増幅法。

(注2)カレニア ミキモトイ:
渦鞭毛藻の一種である植物プランクトン。有害赤潮プランクトンの1つで、増殖すると魚介類の斃死を引き起こす危険性がある。

(注3)シャットネラ属:
ラフィド藻の一種である植物プランクトン。有害赤潮プランクトンの1つで、少ない個体数であっても魚介類の斃死を引き起こす危険性がある。今回の検査キットではシャットネラ属のうち、シャットネラ マリーナと、その変種であるシャットネラ アンティーカ、シャットネラ オバータの検出が可能。

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