顧みられない熱帯病への現在の関心度は95%と高く、理由として「昨年のエボラ、デング熱の話題」「グローバルヘルス向上への貢献から」「大村智博士ノーベル賞受賞から」が主にあげられました

特定非営利活動法人DNDi Japan 2015年12月22日 20時40分
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DNDi Japan(理事長:山田陽城)は、第30回日本国際保健医療学会学術大会ミニシンポジウム「グローバルヘルスの潮流:三大感染症、エボラ出血熱、そして顧みられない熱帯病」の参加者アンケート結果を発表しました。約120名の参加者は企業、大学、各種研究機関、医療機関、政府機関など多岐にわたりました。
<顧みられない熱帯病への現在の関心度は95%>
約40名によるアンケート回答結果から、「顧みられない熱帯病を以前から知っていましたか?」の質問に「知っていた」80%、「知らなかった」20%でしたが、「顧みられない熱帯病への現在の関心度は?」ほぼ全員に近い95%が興味あり(65%非常に興味あり、30%が少し興味あり)と回答し、関心の高さがうかがえました。
<78%が以前と比較して顧みられない熱帯病への関心度を増す>
「以前と比較して関心の度合いは増しましたか?」の質問に、78%が「増した」と回答しました。その理由として(複数回答可)「昨年のエボラ、デング熱の話題から」(15人)、「グローバルヘルス向上への貢献から」(15人)、「官民パートナーシップGHIT Fund(グローバルヘルス技術振興基金)の設立から」(9人)、「大村智博士のノーベル賞受賞から」(9人)となりました。
<顧みられない熱帯病への低い理解度>
また、顧みられない熱帯病とはWHOが指定した17の疾病注1であることを知っていた人は57%と約半数、さらに、2012年採択の「顧みられない熱帯病に関するロンドン宣言」注2を知っていた人はわずか38%でした。顧みられない熱帯病に関する関心度は高まったものの、具体的な理解度がまだまだ不足していることが感じられました。
<「シンポジウムで一番印象に残ったこと(自由回答)」から代表的な意見を抜粋紹介>
★皮膚リーシュマニア症の写真。致命的でなくてもQOL(Quality of Life‐生活の質)が下がる点。シリア難民にも多く出現しはじめている事実★國井先生の「イノベーションは医薬品だけではない」という一言★実際の医療現場で起きていること(エボラの診療所の現状、患者の症状の多様性など)の深刻さ。グローバルヘルスの議論においては、マクロな視点になりがちだが、ミクロにも焦点を当てなければならない点★効果的な介入による疾病負荷の軽減★グローバルヘルスは一部の人々の興味、関心事ではなく、産官学全ての人々に関連した問題となっている★皮膚リーシュマニア症は86カ国で発症しているにもかかわらず、また多くの国々で治療可能なのに分配の問題が未だにあること。「顧みられない」を解決する為には強力なリーダーシップが必要とされる★シリアやトルコ、アフガニスタンにある難民キャンプでの新規発症。流行国から非流行国への発症者の流入★保健衛生や教育分野、医療分野、経済、文化などすべてが結びついていると改めて感じた★かつてギニアワーム撲滅で長年尽力してきて、米国のリーダーシップの力強さを感じざるを得ない。日本でも対象国でプレゼンスの高いプロジェクトがもっとあれば日本人の活躍の場が増えるのかなと感じる。
注1:WHOが顧みられない熱帯病と指定した17の疾病とは
リンパ系フィラリア症(象皮病)、シャーガス病、リーシュマニア症、ギニア虫感染症、アフリカ睡眠病、失明に至るトラコーマ、ハンセン病、住血吸虫症、オンコセルカ症(河川盲目症)、土壌伝播寄生虫症(腸内寄生虫)、ブルーリ潰瘍、デング熱、嚢尾虫症、狂犬病、包虫症、食物媒介吸虫類感染症、風土性トレポネーマ症
注2:2012年採択の「顧みられない熱帯病に関するロンドン宣言」とは
2008年第34回主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)において顧みられない熱帯病に感染した人々に支援を届ける宣言がなされ、2012年1月30日、世界の製薬会社、WHO、各国政府、世界銀行などが集まって、顧みられない熱帯病の10の疾病を2020年までに撲滅・抑制するために寄付や研究などで協力する「顧みられない熱帯病に関するロンドン宣言」が採択されました。
以上

参考
2015年11月21日開催の第30回日本国際保健医療学会学術ミニシンポジウム:「グローバルヘルスの潮流:三大感染症、エボラ出血熱、そして顧みられない熱帯病」    

プログラム内容
◎座長
北 潔(東京大学大学院医学系研究科、長崎大学大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科)
平林 史子(特定非営利活動法人DNDi Japan)
◎演者
1. クララ・ファン ヒューリック(特定非営利活動法人国境なき医師団 人道問題担当 代表)Clara Van Gulik –Medecins Sns Frontieres (MSF)
「疾患の流行を防ぐ:エボラ出血熱・髄膜炎・HIVの挑戦より-Challenges in Responding to Epidemics: Ebola, Meningitis and HIV」
2. バイロン アラナ(DNDi‐本部ジュネーブ 皮膚リーシュマニア担当部長)Byron Arana-DNDi
「皮膚リーシュマニア症:グローバルな課題と治療薬開発の挑戦-Cutaneous leishmaniasis: Global burden and treatment’s challenges」
3. 國井 修(世界エイズ・結核・マラリア対策基金‐世界基金 戦略・投資・効果局長)
「2030年までにHIV・結核・マラリアを制圧する-本当にできるの?-End epidemics of HIV, tuberculosis and malaria by 2030-ambitious or attainable?」

【DNDi (Drugs for Neglected Diseases initiative:顧みられない病気の新薬開発イニシャティブ)について】
1990年代後半、発展途上国の現場で医療活動に従事していた国境なき医師団のチームは、顧みられない病気に苦しむ患者を治療できないことに苛立ちを募らせていました。患者の治療に使用する医薬品の効果がなかったり、強い副作用があったり、あるいは製造中止になって使用ができないなどの問題があったためです。そこで、国境なき医師団は、1999年に受賞したノーベル平和賞の賞金の一部を、患者のニーズを重視して、顧みられない病気に対する治療薬の研究開発(R&D)に取り組むための革新的な組織の設立に充てることに決定し、スイス・ジュネーブに本部を置く非営利財団として2003年7月に正式に発足しました。DNDiはヨーロッパを中心とした多くの政府機関および私設財団から資金援助を受けて活動しています。2013年度からは日本政府も参画する公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)による資金援助も受けています。また、WHOの熱帯病医学特別研究訓練プログラム(WHO-TDR)が常任オブザーバーとして参加しています。www.dndi.org/
【DNDi Japanについて】
DNDi Japanは、2003年に日本の活動を開始し、2009年に特定非営利活動法人として東京都の認証を受けました。顧みられない熱帯病(NTDs)に苦しむ途上国の人々を援助するために日本の窓口として、DNDi本部のプロジェクトを支援し日本国内外の協力先と協働して、NTDsの治療薬開発、それに関連する能力開発、ならびに啓発活動など、発展途上国の人々の保健医療、福利厚生に貢献することを目的とした活動を行っています。www.dndijapan.org/

お問合せ:広報担当 松本眞理(mmatsumoto@dndi.org/ TEL03-4550-1195)

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