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ベイジアンネットワークを用いた中堅・中小企業における業績とIT投資意向の関連調査

ノークリサーチは中堅・中小市場における2015年秋のIT投資に関する定点観測調査のデータを元にベイジアンネットワークを用いた中堅・中小企業における業績とIT投資意向の関連に関する調査を行った。

<IT投資が期待できるユーザ企業の選定においては確率推論モデルの活用も検討すべき>
■ユーザ企業を対象とした明示的なアンケート設問だけでは得られない予測/推論が必要
■分析の対象となる項目については、必要に応じて独立性のチェックなどを行うことが大切
■IT投資が見込めるのは「販売量が伸びた企業」より「新しい製品/サービスが好調な企業」

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2015年11月13日

ベイジアンネットワークを用いた中堅・中小企業における業績とIT投資意向の関連調査

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


株式会社ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1 東京芸術センター1705:代表伊嶋謙ニ 03-5244-6691 URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小市場における2015年秋のIT投資に関する定点観測調査のデータを元にベイジアンネットワークを用いた中堅・中小企業における業績とIT投資意向の関連に関する調査を行った。


調査対象企業: 年商500億円未満の国内民間企業700社の経営層/管理職/社員
調査対象地域: 日本全国
調査対象業種: 組立製造業/加工製造業/建設業/流通業/卸売業/小売業/IT関連サービス業/サービス業
調査実施時期: 2015年10月


下記のリリース内容は以下のURLにも掲載されております。
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<IT投資が期待できるユーザ企業の選定においては確率推論モデルの活用も検討すべき>
■ユーザ企業を対象とした明示的なアンケート設問だけでは得られない予測/推論が必要
■分析の対象となる項目については、必要に応じて独立性のチェックなどを行うことが大切
■IT投資が見込めるのは「販売量が伸びた企業」より「新しい製品/サービスが好調な企業」


■ユーザ企業を対象とした明示的なアンケート設問だけでは得られない予測/推論が必要
中堅・中小企業においても、IT投資意向は企業の業績と密接に関係している。だが、業績が改善した結果としてIT投資が増えたのか?逆にIT投資を行ったことで業績改善を実現したのか?さらに、その際の要因とは何なのか?を把握することは容易ではない。
こうした「業績とIT投資意向の関係性」を自ら把握し、自己分析できている中堅・中小企業は限られる。そのためITソリューションを提供する側が業績状況を踏まえたIT活用提案を行うためには単にユーザ企業に尋ねた結果を集計するだけでなく、データから導出される隠れた関係性を明らかにしていく取り組みが必要となってくる。
左図は中堅・中小企業を対象として実施した定点観測調査データを元に、確率推論モデルの一種であるベイジアンネットワークを用いて業績とIT投資意向の関連性を表したものだ。次頁以降では左図の分析概要とその結果に関する考察について紹介している。


■分析の対象となる項目については、必要に応じて独立性のチェックなどを行うことが大切
ベイジアンネットワークとは、確率変数が割り当てられたノード(Node/Vertex)とエッジ(Edge/Arc)によって表現される有向非巡回グラフ(各エッジに向きが付いており、あるノードからグラフを辿った時に元のノードに戻らない)と、ノード間に定義された条件付確率によって表現される確率推論モデルである。(実際には上記に加えて、「マルコフ条件」(※)が加わる)
※エッジの先にあるノードを子ノード、元にあるノードを親ノードとした場合、あるノードAの親ノードの値を指定すると、Aの確率分布はAの子ノードを除いた他のノードと独立となるという条件付独立性を指す。
ノークリサーチでは四半期ごとに中堅・中小企業の業績とIT投資意向に関する定点観測調査を行っている。この調査では前四半期と比べた時の経常利益の増減とIT投資意向の増減、さらにそれぞれの増減における理由を尋ねている。一般的に経常利益が改善している企業においてはIT投資意向も前向きとなるケースが多い。だが、冒頭にも述べたように両者の関係性についてはユーザ企業も明示的に意識できているわけではない。
そこで、年商/業種/所在地といった基本属性、経常利益増加要因として上位に挙げられた項目、IT投資意向といった項目をノードとし、調査結果データを学習することによってベイジアンネットワークを構築する。結果として得られたベイジアンネットワークの構造を俯瞰すると共に、IT投資意向のノード値を「投資を増やす」と指定した(エビデンスを与えた)時に他のノードの確率がどう変化するか?を見ることによって、ITソリューションを提供する側が特に留意すべき経常利益増加要因は何かを探索する。
ノードとなる項目は以下の通りである。
【基本属性】 A1:年商(6区分)、A2:業種(9区分)、A3:所在地(9区分)
【経常利益増加要因】 B1:商品/サービスの販売量が増えている(Yes/No)
B2:商品/サービスの単価が上がっている(Yes/No)
B3:新たな製品やサービスが好調である(Yes/No)
B4:企業の設備投資が増えている(Yes/No)
B5:業態の拡大や転換が成功している(Yes/No)
【IT投資意向】 D:今後IT投資を増やすかどうか?(増やす/変化なし/減らす)
ベイジアンネットワークの学習に入る前に経常利益増加要因として上位に挙げられた項目(B1~B5)のうち、確率的な観点で見た時に全く同じ要因である
(共通する別の真の要因があり、2つの項目が確率的にほぼ同じ分布になっているなど)といった状態になっていないことを念のため確認しておく必要がある。左図はB1~B5の結果を業種別に集計したデータに対して主成分分析を行った結果のうち、第1主成分と第3主成分をそれぞれ横軸、縦軸としてB1~B5との関係をプロットしたものだ。
左図は複数得られた主成分の1番目と3番目における例だが、他の主成分との関連性を見た場合にもB1~B5が非常に近接したベクトルとしてプロットされることはなく、B1~B5は互いに別個の経常利益増加要因として問題ないことが確認できる。
上記を踏まえた上で、調査結果データの学習を行い、得られたベイジアンネットワークに対し、次頁にて様々な考察を行うことにする。


■IT投資が見込めるのは「販売量が伸びた企業」より「新しい製品/サービスが好調な企業」
今回の調査結果データから得られたベイジアンネットワークは以下の通りである。(冒頭に記載したものと同様) ベイジアンネットワークの学習方法には条件付独立性に適合するかどうかを元にノードの連結状態を検証する制約ベース(Constraintbased)の方法や、ノードの結合状態から算出されるスコア(対数尤度等)を算出して最適な連結状態を探索するスコアベース(Score-based)などの方法があるが、ここでは「Akaike Information Criterion」をスコアとした「Hill-Climbing Algorithm」による学習(スコアベースに該当)を行っている。
中堅・中小企業を対象とした業績とIT投資意向に関する定点観測調査は四半期毎に行っており、今回は2015年10月に実施した調査結果をデータとして用いている。業績とIT投資意向の関係性における恒久的な推論を得るためには時間軸の変化も取り入れた更なる学習や分析が必要となる。したがって、以下に述べる内容は数多く存在する可能性の一つである点に留意しておく必要がある。
まず、A1~A3とB1~B5のノードのつながりを見ると、年商や所在地よりも業種の方が経常利益の増加要因と深く関連していることが読み取れる。実際、今回の定点観測調査における他のデータを集計/分析した結果においても業種における差異が他の基本属性と比べて強く表れている。
また、IT投資意向(ノードD)とはノードB3とノードB1が「Head-to-Tail」のグラフ構造でつながっている。この結果を踏まえると、IT投資意向が高まる流れとしては『新しい製品/サービスの投入によって業績が改善することでIT投資が可能となり、それによって販売量の増加を実現した』といったケースが有力である可能性がある。
ここで、ノードDの値を指定する前後でノードB1とノードB3の確率分布がどう変化するか?を見てみることにする。
値を指定しない状態(IT投資を減らすというケースも混在する状態)では
ノードB1: Yesの確率 39.6%
ノードB3: Yesの確率 15.9%
「IT投資を増やす」をエビデンスとして与えた場合には
ノードB1: Yesの確率 34.9%
ノードB3: Yesの確率 21.3%
となっている。つまり、IT投資を増やすという事象が生じたという前提に立った場合には新たな製品/サービスが好調である可能性がより高まるということになる。
逆に言えば、ITソリューションを提供する側が「今後、IT投資を期待できる企業」を選定する際は「販売量が伸びている企業」よりも、「新しい製品/サービスを投入し、それが順調である企業」を優先した方が有効である可能性がある。
このように中堅・中小企業のIT活用調査においても、様々な予測/推論の手法などを織り交ぜていくことが重要と考えられる。


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