2015年世界平和度指数、世界の格差拡大が明らかに

経済平和研究所(Institute for Economics and Peace) 2015年06月18日 09時30分
From 共同通信PRワイヤー

2015年世界平和度指数、世界の格差拡大が明らかに

AsiaNet 60788

2015年世界平和度指数、世界の格差拡大が明らかに

ヨーロッパの平和度指数が過去最高に
中東で暴力の悪循環が深刻化

・昨年度、暴力が世界経済に及ぼした影響は、世界のGDPの13.4%にあたる14兆3千億ドルに達しており、これは、ブラジル・カナダ・フランス・ドイツ・スペイン・イギリスの経済を合わせた規模に相当する。

・多くのOECD(経済協力開発機)加盟国の平和は、殺人発生率や軍事費・武力紛争レベルが低下したことで、歴史的高水準に達している。

・アイスランドが世界で最も平和な国として平和度指数トップとなり、シリアが最下位。

・MENA(中東・北アフリカ)の平和度指数は、2008年以降最低となり、初めて最下位に。

・テロ行為の増加がMENAからサハラ以南のアフリカへと拡大し、ナイジェリア・カメルーン・ニジェールでは過去最大の増加を示している。

・武力紛争は著しく激しさを増しており、紛争での死亡者数は、2010年の4万9千人から2014年の18万人へと世界的に3.5倍増。

・2014年には、テロによる死者は、前年より9%増加して推定2万人。

・現在、世界人口のほぼ1%が難民または国内避難民(IDP)であり、これは1945年以来の最高水準で、その数は増加する見込み。

ロンドン、2015年6月17日/PRニュースワイヤー/ --
グローバルシンクタンクである経済平和研究所(Institute for Economics and Peace)が本日発表した2015年世界平和度指数によると、内戦の拡大とそれに伴う難民危機は、世界暴力の封じ込めにかかる費用の増加の重要な要因の一つとなっています。

暴力が経済に及ぼした影響の総額は、1兆9千万ドル(15.3%増)増えています。難民と国内避難民の支援費用だけを見ると、2008年以降267%増加しており、現在1,280億ドルに達しています。しかし、軍事・殺人・警察関連費が、最も費用のかかるカテゴリーであり、合計で全費用の68.3%を占めています。

IEPの設立者兼経営執行役会長であるSteve Killelea (リンク )氏は、次のような意見を述べています。「紛争を減らすことは、継続的な世界経済の回復を確実にするための極めて重要な施策です。もし世界的な暴力が一様に10%減るとしたら、さらに1兆4,300万ドルの経済効果が世界経済にもたらされるでしょう。大局的に見ると、この額は、IMF、ECBおよびその他ユーロ圏諸国によるギリシャに対する救済や融資を合わせた総額の6倍以上に当たります。」

全体的に、世界平和水準は、2014年には安定した状態を維持したものの、2008年より低下しています。しかし総合評価では、最も平和な国と最も平和ではない国との格差拡大は見えてきません。昨年以降、81の国は平和水準を改善していますが、一方で78の国では低下しています。
多くのヨーロッパ諸国が、殺人発生率の低下、軍事予算の減額、イラク・アフガニスタンからの軍の撤退により、歴史的レベルの平和を味わっています。対照的に、イラク・シリア・ナイジェリア・南スーダン・中央アフリカ共和国など伝統的に平和度指数の最下位にいる国は、そろって平和水準がさらに低下しています。今年最も深刻な悪化を示している国はリビアで、162ヶ国中149位に落ちています。6千人以上が紛争によって死亡し、100万人以上が難民となっているウクライナは、過去2番目に大きい落ち込みを記録しています。

ヨーロッパ、北米、サハラ以南のアフリカ、中米・カリブ海の4つの地域の平和は、昨年以降改善しています。宗派の争いおよび内戦により、MENAの平和水準はさらに低下しており、これまでで最悪の評価となっています。一方、南米も、民衆の抗議行動の増加や犯罪行為に対する認識の高まりが主な要因となり、評価が悪化しています。

多くの国で平和が改善しているにもかかわらず、武力紛争の数と度合は著しく増加しており、2010年以降、紛争による死者数は267%増えています。その結果、これまで例がない規模の難民を生み出しています。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)による最新の推測では、難民と国内避難民は現在の世界人口の約0.75%を占めており、5千万人以上に上るとしています。10年足らずの間に131%も増加したのは、MENA地域での紛争だけが原因ではなく、コンゴ民主共和国およびコロンビアでの絶え間ない紛争にも起因しており、2013年の出生国別国内避難民のそれぞれ23%と13%を占めています。

2014年には、69ヶ国においてテロによる死者が出ており、前年の60ヶ国から増加しています。これは、ますます多くのテロ戦術が用いられていることを浮き彫りにしています。テロ行為の増加は、MENAからサハラ以南のアフリカに広がり、ナイジェリア・カメルーン・ニジェールで最大の増加を記録しています。ナイジェリアは、イラクに次いで2番目にテロによる死者が多い国となっており、140%増の4,392人が死亡しています。隣国のカメルーンでは、死者数ゼロだった前年度と比べると、2014年には191人の死者を記録しています。2014年のテロによる死者数は、OECD加盟国では1%未満でした。2015年1月にナイジェリアのバガで起きた2千人以上のボコ・ハラムの大虐殺は、9.11以来最もひどいテロ行為でしたが、翌月のフランスの新聞「シャルリー・エブド」のジャーナリスト11名の殺害によってその出来事は影が薄れてしまいました。

Steve Killelea 氏(リンク )は次のように述べています。「2014年は、2つの相反する傾向を示しています。つまり、OECD加盟国の多くが歴史的レベルの平和を達成した一方で、特に中東など紛争の起きている国は、さらに暴力的になっています。このような傾向は、これらの紛争が手に負えなくなるにつれてテロ行為は他の国に波及していくこともあり、非常に気がかりです。」

隣国との組織された外部紛争や戦争のレベルの低下が、今年最も改善を示した国における共通のテーマであり、アフリカがこの傾向から恩恵を受けており、ギニアビサウ・コートジボワール・エジプト・ベナンが、最も改善した上位国でした。ヨーロッパも組織化された外部紛争による死者が減少しました。

地域別注目点
ヨーロッパは、世界で最も平和な地理的地域に留まっており、世界平和度指数では上位3位を確保しています。その平和は、この4年間毎年改善しています。アイスランドは、第1位です。ギリシャは、22位上がってこの地域最大の改善を示しています。イギリスは、アフガニスタン退去後8位上がっています。

北米の評価はわずかに改善しています。これは、アメリカがアフガニスタンとイラクでの駐留軍の規模を徐々に縮小したため、外部紛争における数・期間・役割に対する評価が改善したことで、2位上がったことが主な要因です。

アジア太平洋は、世界平和度指数でヨーロッパと北米に続き第3位です。しかし、3カ国が上位10位に入る一方で唯一北朝鮮が下位10位にいるなど、どの地域よりも多様性を示しています。南シナ海は、依然として紛争の可能がある地帯であり、議論に巻き込まれている全ての国で評価が低下しています。

南アメリカの地域別の全体評価は下がっており、現在では世界平均を下回っています。事実、改善している国もあります。ペルーは、組織された内部紛争による死者数の減少によって最も改善しています。チリは、武器移転に対して評価が良くなったために改善しており、エクアドルでは、内部紛争の数と期間に連動して政治テロの程度において改善を示しています。南アメリカのその他の国では評価が下がっており、特にウルグアイ・ベネズエラ・ブラジルで著しく悪化しています。

中米・カリブ海は、わずかに評価が改善していますが、依然として世界平均を下回っています。コスタリカとジャマイカが最も評価が良くなっています。コスタリカは、殺人事件数に対する評価が改善しており、ジャマイカでは、国連平和維持活動によって未払い負債が減少したために改善しています。評価が最も下がったのは、政治的テロの程度の高まりが原因のエルサルバドルと、暴力犯罪の増加が原因のニカラグアでした。

サハラ以南のアフリカの評価は、2015年には改善しており、ロシア・ユーラシア・南アジア・MENAよりもさらに上位にいます。この全体的な改善は、国によって評価結果に際立ったばらつきがあります。サハラ以南の国の中には、ブラスおよびネガティブな評価両方で最も急激な変化を示している国もあります。ギニアビサウとコートジボワールの評価が世界最大の改善を記録した一方で、ジブチの順位は42位下がっており、これは、社会不安、犯罪および政府の独裁的支配への反感を反映しています。

ロシア・ユーラシアは、今年全体的評価で穏やかな低下を示していますが、地域別順位に変化はありませんでした。国によって著しい違いがあり、ウクライナは、国内平和に対して総評価が今年最も下がった国の一つでした。

南アジアの順位は、地域別で2014年に最下位から一位だけ上がりましたが、これは、もっぱら状況がMENAよりも速いペースで悪化したためでした。全体としてこの地域の大半の国の評価が悪化し、ブータン・ネパール・バングラデシュのみが改善を示しました。

MENAは、依然として紛争による破壊が続いており、世界平和度指数では地域別で最低評価を記録しています。今年の評価は、エジプトとチュニジアが穏やかに改善したものの、特にリビア・イエメン・イラク・シリアでの評価悪化がそれを上回ったために、昨年の指数よりも下がっています。
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編集注記
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世界平和度指数(GPI)について
GPIは経済平和研究所(IEP)(リンク )が作成した、世界平和に関する広く認められた尺度です。23の指標を考慮に入れ、現在進行中の国内および国際紛争、社会における治安・安全、軍備の状況を162カ国について評価しています。

経済平和研究所(Institute for Economics and Peace)について
IEPは、人類に幸福と進歩をもたらす上で、「平和」というポジティブで達成可能、かつ実際的な方法に世界が注目するよう導く使命を持つ、国際的な独立系シンクタンクです。

情報元: 経済平和研究所(Institute for Economics and Peace)


(日本語リリース:クライアント提供)

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