ノークリサーチ Quarterly Report 2015年 春版

ノークリサーチは中堅・中小市場における2015年春のIT投資に関する定点観測調査を行った。

<DI値が改善しつつある中、有望セグメントの正しい選択が重要な局面に>
▼ IT投資DI値は「5.3」、経常利益DI値は「8.3」と共に改善するも、まだ楽観視はできない状況
▼ 年商5億円未満の小規模企業においては大幅な改善、IT投資DI値もようやくプラスに転換
▼ 「経常利益DI:増加、IT投資DI:減少」の区分にこそ、有望な顧客が存在する可能性がある
▼ 同じ「IT投資DI値増加」でも、流通業(運輸業)と小売業では背景となる事由が大きく異なる

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2015年6月1日

ノークリサーチ Quarterly Report 2015年 春版

調査設計/分析/執筆: 岩上由高

2015年春の中堅・中小企業のIT投資指標


株式会社ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1 東京芸術センター1705:代表伊嶋謙ニ 03-5244-6691 URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小市場における2015年春のIT投資に関する定点観測調査を行った。(定点観測調査は4月/7月/10月/1月の年4回実施)本リリースは「ノークリサーチQuarterly Report 2015年春版」のダイジェスト(サンプル)である。 ※「ノークリサーチQuarterly Report 2015年春版」の詳細については本リリースの末尾を参照


調査対象企業: 年商500億円未満の国内民間企業1000社の経営層/管理職/社員
調査対象地域: 日本全国
調査対象業種: 組立製造業/加工製造業/建設業/流通業/卸売業/小売業/IT関連サービス業/サービス業
調査実施時期: 2015年4月


<DI値が改善しつつある中、有望セグメントの正しい選択が重要な局面に>
▼ IT投資DI値は「5.3」、経常利益DI値は「8.3」と共に改善するも、まだ楽観視はできない状況
▼ 年商5億円未満の小規模企業においては大幅な改善、IT投資DI値もようやくプラスに転換
▼ 「経常利益DI:増加、IT投資DI:減少」の区分にこそ、有望な顧客が存在する可能性がある
▼ 同じ「IT投資DI値増加」でも、流通業(運輸業)と小売業では背景となる事由が大きく異なる


▼ IT投資DI値は「5.3」、経常利益DI値は「8.3」と共に改善するも、まだ楽観視はできない状況
以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業全体におけるIT投資DIと経常利益DIの変化をプロットしたものである。
[IT投資DIの定義]
今四半期以降のIT投資予算額が前四半期と比べてどれだけ増減するかを尋ね、「増える」と「減る」の差によって算出した
「IT投資意欲指数」を指す。2015年4月時点のIT投資DIは2015年1月~2015年3月と比べた時の2015年4月以降のIT投資意向を示す「先行指数」である。(IT投資の「実績値」ではなく、投資意向を反映した「見込み値」である点に注意)
[経常利益DIの定義]
前回調査時点と今回調査時点を比較した場合の経常利益変化を尋ね、「増えた」と「減った」の差によって算出した「経常利益増減指数」 を指す。2015年4月時点での値は2015年1月時点と比較した場合の経常利益増減の実績値となる。
2015年4月時点のDI値は2015年1月時点と比較して、IT投資DIが3.1から5.3へ2.2ポイントの改善、経常利益DIが2.8から8.3へと5.5ポイントの改善となった。内閣府が5月20日に発表した2015年1~3月期GDP速報値でも、実質GDPは前期比0.6%、民間最終消費支出(※1)が0.4%、民間企業設備投資(※2)が0.4%といずれもプラスとなっている。ただし、※1については前四半期と伸び率が変わらず、今後は増税や円安に起因する物価上昇に賃金上昇が追随できないことによる停滞も懸念される。※2についても内閣府ではソフトウェアなどへの支出項目についてはGDP値の減少要因と見ており、設備投資の伸びがそのままIT投資に直結しているわけではない点に注意する必要がある。また、今回の内閣府速報値では民間在庫品増加がGDP値の増加に寄与しているが、第1次速報では仕掛在庫品の項目が推計値となっているため、6月初旬の第2次速報ではGDP値が若干変更される可能性もある。以下のグラフに示す動きは大枠ではこうしたGDP推移と符合しているが、上記に述べたように必ずしも「全ての企業の業績が改善し、IT投資も上向いていく」とは限らない点に注意する必要がある。次項以降では本リリースの元となる調査レポートから一部を抜粋する形で、年商別および業種別に見た場合の詳しい動向について紹介している。


▼ 年商5億円未満の小規模企業においては大幅な改善、IT投資DI値もようやくプラスに転換
以下のグラフは経常利益DIおよびIT投資DIの変化を年商別にプロットした結果である。
特に留意すべきなのは年商5億円未満の小規模企業において、IT投資DI値が-14.0から1.5へ大幅に改善してプラス値となり、経常利益DI値についても現時点では-4.0と依然としてマイナス値であるものの、今後の見込み値(調査対象企業に今後の経常利益予測を尋ねた結果)としては4.0のプラス値となっている点である。大企業に近い傾向を示す年商300億円以上~500億円未満の中堅上位企業と比べると依然として厳しい状況ではあるが、裾野の広い小規模企業においても改善の兆しが少しずつ見え始めているものと考えられる。
次頁ではこうした年商別の傾向をさらに詳しく見ていくことにする。


▼ 「経常利益DI:増加、IT投資DI:減少」の区分にこそ、有望な顧客が存在する可能性がある
以下のグラフは前回調査(2015年1月実施)と今回調査(2015年4月実施)を比べた際、経常利益DI値の増減を横軸、IT投資DIの増減を縦軸にとり、両者の結果を年商区分別にプロットした結果である。
2つのDI値の増減によって、各年商帯は以下の4つのグループのいずれかに分類できる。
[経常利益DI値:増加、IT投資DI値:増加]
年商5億円未満
年商300億円以上~500億円未満
[経常利益DI値:増加、IT投資DI値:減少]
年商50億円以上~100億円未満
[経常利益DI値:減少、IT投資DI値:増加]
該当なし
[経常利益DI値:減少、IT投資DI値:減少]
年商5億円以上~50億円未満
年商100億円以上~300億円未満
ここで留意すべきなのは年商50億円以上~100億円未満の中堅下位企業である。経常利益DI値は改善している(=IT投資に必要な原資を以前よりも確保しやすくなっている)にも関わらず、大幅な下落ではないもののIT投資DI値は前回調査時点と比べ減少している。
この傾向を詳しく集計/分析すると(詳しいデータ内容はここでは割愛する)、経常利益DI値が改善した企業の中でIT投資を削減しようとしている割合が高いわけではなく、「経常利益は改善したが、IT投資には踏み出していない」(※)という企業が多いことが一因であることがわかる。したがって、ITソリューションを提供するベンダや販社/SIerとしては(※)のような企業を選別することが重要となってくる。
また同年商帯において経常利益DI値が改善した企業に対し、経常利益がプラスとなった要因を尋ねた結果では 「商品/サービスの販売量が増えている」「商品/サービスの単価が上がっている」といった事由に続いて、「業態の拡大や転換が成功している」が多く挙げられている。つまり、業態の拡大や転換に取り組もうとする企業は将来的に経常利益の改善を実現できる可能性があり、さらにその先のIT投資増も期待できる。
このように「現時点でIT投資が活発な企業セグメント」だけでなく、「今後、IT投資が活発になる可能性のある企業セグメント」はどこになるか?といった視点で先手を打っていくという取り組みも重要と考えられる。


▼ 同じ「IT投資DI値増加」でも、流通業(運輸業)と小売業では背景となる事由が大きく異なる
以下のグラフはIT投資DIの推移を業種別にプロットした結果である。
前頁では年商別に見た場合の有望セグメントを経常利益DI値とIT投資DI値の増減を元に考察する例を示したが、有望セグメントを探索する際には「業種」の観点も欠かせない。(さらに「地域/所在地」、「企業のIT管理運用体制」、「拠点数」なども重要な要素となってくる)
例えば、以下のグラフを見ると「流通業(運輸業)」と「小売業」においてIT投資DI値が大きく改善していることがわかる。だが、その背景となる要因は必ずしも同じではない。ここではグラフを省略しているが、流通業は前回調査時点と比べ経常利益DI値が大きく減少している。一方、小売業の経常利益DI値は前回調査時点から大きく改善している。
流通業に対してIT投資を増やす理由を尋ねた結果では「競合他社の取り組みに追随する必要がある」が最も多く挙げられており、「販路の創出や拡大にITが必要である」「従業員の減少をITでカバーする必要がある」などといった項目も見られる。つまり、経常利益が減少する厳しい状況の中でも自社の競争力を維持するために必要なIT活用には取り組むという姿勢がうかがえる。
一方、小売業に対してIT投資を増やす理由を尋ねた結果では「売上が向上して、IT投資費用が捻出できた」が最も多く挙げられ、「競合他社の取り組みに追随する必要がある」 「スマートフォンやタブレットを前提とした顧客接点での構築が必要」といった項目見られる。経常利益が増加している状況を受けて、スマートフォンやタブレットを活用することなどによって競合他社に対する優位性を確保したいと考えている状況がうかがえる。
このように「IT投資DIの増加」という数値的な変化は同じでも、その背景にある要因は業種によっても大きく異なっている。2015年はアベノミクスの真価が試される時期でもあり、中堅・中小企業を取り巻く経済環境も四半期単位で目まぐるしく変わる可能性がある。
そうした状況を踏まえ、「近い将来の有望セグメントはどこなのか?」を常に見つめる一歩先を行く戦略立案が重要になっていくと考えられる。


「ノークリサーチQuarterly Report 2015年春版」のご案内

本リリースの元になっている「ノークリサーチQuarterly Report2015年春版」の概要は以下の通りである。
サンプル件数: 1000件(有効回答件数)
サンプル属性区分:
年商: 5億円未満 / 5億円以上~50億円未満 / 50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 30億円以上~500億円未満
職責: 以下のいずれかに当てはまる職責の経営層または社員のみを抽出
・企業の経営に関わる立場であり、IT関連投資の決裁を下す立場
・企業の経営に関わる立場であるが、IT関連投資の決裁には直接関わらない立場
・ITの導入/選定/運用作業に関わり、社内の経営層に対する提案も行う立場
・ITの導入/選定/運用作業に関わるが、社内の経営層に対する提案は行わない立場
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 流通業(運輸業) / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / IT関連サービス業 / サービス業
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 / 四国地方 / 九州・沖縄地方
※上記の各属性に加えて、「従業員数」と「IT管理人員体制(IT管理/運用を担う人材が専任か兼任かなど)」を軸とした集計データを収録
設問項目:
[Q1系列]経常利益の増減とその要因
Q1-1.2015年1月時点と2015年4月時点を比較した場合の貴社の業績(経常利益)の変化
Q1-2.2015年1月時点と2015年4月時点を比較した場合に貴社の経常利益がプラスとなった要因(いくつでも)
Q1-3.2015年1月時点と2015年4月時点を比較した場合に貴社の経常利益がマイナスとなった要因(いくつでも)
Q1-4.2015年1月~2015年3月と比較した場合の2015年4月以降の貴社の業績(経常利益)の見通し
[Q2系列]IT投資の増減とその要因
Q2-1.2015年4月以降の貴社のIT投資額を2015年1月~2015年3月と比較した場合の増減
Q2-2.2015年4月以降の貴社のIT投資額が2015年1月~2015年3月と比較した場合に増える理由(いくつでも)
Q2-3.2015年4月以降の貴社のIT投資額が2015年1月~2015年3月と比較した場合に減る理由(いくつでも)
内容物:
分析サマリ(pdf形式) 分析の要点を記載したドキュメント(※1)
集計データ(Microsoft Excel形式)(※2)
※1 分析サマリには年商別と業種別のそれぞれについて、各区分の経常利益増減理由およびIT投資増減理由に関する分析コメントが含まれる。
※2 上記の「設問項目」の結果を「サンプル属性区分」に記載した各属性を軸として集計したデータ。(右下に掲載した例を参照)
価格: 150,000円(税別)(CD-ROM版のみ)
備考:
本レポートは四半期毎(1月、4月、7月、10月)に実施しているIT投資意向に関する調査結果のうちで、2015年4月実施分のデータとなります。
また、それぞれのIT分野に関する詳細なレポートについては次頁の案内をご参照ください。


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株式会社 ノークリサーチ
調査設計、分析、執筆:岩上由高
東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705
TEL 03-5244-6691 FAX 03-5244-6692
inform@norkresearch.co.jp
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お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。

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