第24回「中堅企業経営者『景況感』意識調査」~世界36カ国同時調査~を発表

太陽グラントソントン株式会社 2015年05月27日 13時40分
From 共同通信PRワイヤー

2015年5月27日

太陽グラントソントン

・世界36カ国の景況感平均DI 33。前期(DI35)から2ポイント低下。
・米国はDI 43で前期より16ポイント低下。英国はDI 65で前期より3ポイント低下。
・日本の景況感は前期より5ポイント低下のDI -17(マイナス17)となり、4期連続の悪化。

■世界36カ国の景況感平均DI 33と3期連続で低下。
世界36カ国の自国経済の今後一年の見通しに関する2015年第1四半期(調査実施期間2015年2月、以下今回)景況感平均DI*1 は33で、前期(同2014年11月)から2ポイント減少し、3期連続で低下した。前期と比較すると、減少幅は小さくなったものの、過去最高値(DI 46)を記録した2014年第2四半期以降、緩やかながら長期的に低下傾向にあることが明らかにった。

■日本のDIは4期連続で悪化しDI -17。米国、英国も共に低下。
【日本、中国、米国、英国比較】
日本の景況感DIは、前期比5ポイント減のDI -17となり、四半期毎の景況感の調査を開始して以来*2 、初めて4期連続で低下した。また、米国も前期比16ポイント減となるDI 43となり3期連続の低下、英国も前期比3ポイント減となるDI 65 で2期連続の低下となるなど、日米英の中堅企業の景況感の低下傾向が明らかになった。一方、中国は前期比9ポイント増のDI 34となった。

(※1 DI: バランス統計手法Diffusion Index の略。景気判断DI「良い」との回答比率から「悪い」との回答比率を引いた景況感を示す指数。 ※2  四半期毎の調査: 2010年までは年1回の発表。2011年以降、四半期毎に発表。)

■景況感DIがマイナスの国が増加。/G7の景況感も3期連続で悪化。
今回の調査で、調査対象国36カ国(左表)のうち景況感DIが高い国はアイルランド92、インド89、フィリピン86などとなった。一方、景況感DIがマイナスのDIを示した国は、ロシア -4、フィンランド -12、フランス -15、日本 -17、ブラジル -18、マレーシア -32、アルゼンチン -38など11カ国にのぼり、前回調査の5カ国を大きく上回った

DIが対前期比で大きく改善した国は、インドネシア(前期比54ポイント増)、フィンランド(同44ポイント増)などとなった。
景況感DIが前期比で大きく悪化した国を見ると、マレーシア(前期比 46ポイント低下)、シンガポールおよびアルメニア(共に同44ポイント低下)などであった。
 
G7各国を見ると、イタリアとフランスが大幅に改善(前期比でそれぞれ、34ポイント増と21ポイント増)し、ドイツも小幅ながら改善したものの、日本、米国、カナダ、英国のDI値が悪化したため、 結果としてG7平均は前期比5ポイント減のDI 32となり、3期連続での悪化となった。

EU 加盟国平均はDI 38と前期比14ポイント増、アジア太平洋地域平均はDI 31と前期比4ポイント増となった。
 
BRICs各国では、中国が前期比9ポイント増となったものの、インド、ブラジル、ロシアのDIが低下、 BRICs平均DIは29となり前期比1ポイント低下した。

<調査実施期間>(インターナショナル)
2015年第1四半期:2015年  2月(36カ国)
2014年第4四半期:2014年11月(35カ国)
2014年第1四半期:2014年  1月(45カ国)

■今後一年間の自社の見通し:
日本は「販売価格」「輸出」「収益性」が改善するも「雇用」が大きく低下
米国は「売上高」「収益性」が大きく改善し、「雇用」も調査開始以来の最高DI値

日本の中堅企業の今後1 年の自社の見通しについては、全8項目中、「販売価格」「輸出」「収益性」の3項目での見通しでDI値が改善した。特に「輸出」は2期連続で改善した。一方「雇用」と「設備投資」は3期連続で低下し、特に「雇用」は前期比17ポイント減と大きく落ち込んだ。
逆に米国では、全8項目中「新建築」「設備投資」の2項目の見通しが悪化したものの、5項目が改善される結果となった(残り1項目の「調査研究」は前期と同DI値)。特に「売上高」と「収益性」のDI値が大幅に向上し、それぞれ前期比で36ポイントと34ポイントの増加、また「雇用」も前期比25ポイント増のDI 56となり、調査開始以来最も高いDI値となった。

■日本における動向:
今後一年間の日本経済の見通しを「楽観的」と考える理由として前期と同様、最も多くの人が「現政権の政策」を挙げる。「円安の進行」も半数の人が「楽観的」と考える要因に。

【今後一年間の日本経済の見通し】
日本の調査対象者に、今後一年間の日本経済の見通しについて尋ねたところ、 「たいへん楽観的だ」は1.3%と前期から1.4ポイント減少し、 「少し楽観的だ」と回答した人も17.3%と前期から8ポイント減少した。
一方、「たいへん悲観的だ」は10.7%と9.4ポイント増加、「少し悲観的だ」は24.0%で前期から14.7ポイント減少した。

「たいへん楽観的だ」「少し楽観的だ」と回答した人に「楽観的だ」と考える理由(複数回答)を尋ねたところ、前期と同様「現政権の政策」が最も多く64.3% となった。
また「円安の進行」(50.0%)と「米国の景気回復」 (42.9%)を挙げる人が前期より大幅に増える一方、「賃金の上昇」(28.6%)や「個人消費の回復」 (21.4%)を挙げる人は減少した。

同様に「たいへん悲観的だ」「少し悲観的だ」と回答した人に、その理由(複数回答)を尋ねた。前期の調査では「内需縮小」 (70.0%)と「消費税の増税」 (63.3.%)の2項目に回答が集中したが、今回の調査では同2項目は上位に挙げられたものの、相対的には前期より減少した(前期比でそれぞれ、 14ポイント減と7.3ポイント減)。
一方で「為替の変動」 (40.0%)や「現政権の政策」(28.0%)、 「世界経済の影響」 (24.0%)などを挙げる人が増加した。また、新たに追加された項目「少子高齢化」も40.0%と多くの人から挙げられた。

【経営課題】
自社の事業で過去一年間において達成された事項(複数回答)について尋ねたところ、最も多く挙げられたのは「5%以上の増収」(60.8%)で前年同期(2014年1月)比で4.5ポイント上昇した。次いで「重要な再編、リストラが行われた」(23.5%)で同比で5.2ポイント上昇した。 一方で3番目に挙げられた「職員(人員)水準を5%以上増加した」は19.6%で、同比では18.4ポイントの低下となった。

今後一年間の主な経営課題について尋ねたところ、「5%以上の増収」が最も多く62.9%で、前年同期比で4.4ポイント低下した。次いで「市場における新製品・新サービスの開発」(32.9%)で、同比で7.9ポイントの減少となった。

理想の為替相場水準に関する質問では、前期と同様「1ドル=100円以上105円未満」との回答が26.0%で最も多く、これに「1ドル=105円以上110円未満」(20.5%)と「1ドル=115円以上120円未満」(11.0%)が続いた。また加重平均では前期比で1.1円の円安方向に推移しており、前年同期の加重平均値(102.2円)からは5.0円の円安方向の推移を示した。
なお今回の調査から、実際の相場の推移に合わせて、前期調査まで「1ドル=120円以上」 としていた相場水準の区分を、「1ドル=120円以上125円未満」と 「1ドル=125円以上」の2区分に分けた。

TPP交渉で貿易の自由化が進むことによる収益への影響について尋ねたところ、「収益力が高まる」「どちらかといえば収益力が高まる」の合計20.0%が、「収益力が低下する」「どちらかといえば収益力が低下する」の合計9.4%を10.6ポイント上回る結果となったが、回答が最も多かったのは「わからない」(70.7%)であった。

また、政府に実施してもらいたい経済活性化の推進施策について質問したところ、前期と同様「法人税の引き下げ」(72.2%)や「設備投資減税」(47.2%)が多く挙げられたが、これに加え「電力の安定供給」(20.8%)が前期比12.7ポイント増、「新産業の育成」 (31.1%)が同比11.3ポイント増と大幅に増加した。他方、政府が注力する 「女性の登用拡大」は1.4%にとどまった。

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第24回「中堅企業経営者の意識調査」コメント
太陽グラントソントン広報担当パートナー 田中 秀治

今回の2015年第1四半期調査(2015年2月)では、対象36カ国の今後一年の景況感DI平均値は33となり、前回2014年第4四半期調査(2014年11月)から2ポイント減少し、3期連続で低下した。前年同期(2014年2月)からは11ポイント減少し、過去最高値(DI46)を記録した2014年第2四半期以降、長期的に低下傾向にある。

日本において、同DIは前期比5ポイント低下のDI-17と、4期連続の悪化となった。今後1年の自社の見通しに関する質問において、「販売価格」「輸出」「収益性」の項目ではDI値が改善した。2月に120円台となった円安の進行が「輸出」のDI値改善に影響を与えたものと考えられる。また、昨年秋から続く原油価格の下落が、「収益性」のDI値改善に影響を与えたものと考えられる。

一方で、今後1年の日本の経済の見通しについて「楽観的だ」と考える理由を尋ねたところ、「円安の進行」や「米国の景気回復」、「デフレの解消」を挙げる人が前期より大幅に増える一方で「賃金上昇」の項目はDI値が前回より悪化して28となった。 これは36カ国中34位である。
昨年2014年の春闘では、政府が大企業に対しての賃上げ要請行い、高水準での賃上げが実現した。今年の春闘でも、自動車や電機など大手企業の多くが昨年を上回るベースアップを回答しているが、2015年5月1日に厚労省が発表した毎月勤労統計調査では、2014年の所定内給与は前年比-0.4%と、賃金の下降傾向が示されている。
大企業の賃上げニュースが続くなか、最近の国が発表した統計を見てみると、給与がマイナスになっているという結果となっている。中小企業での昇給が進んでいないことがうかがえる。
また、毎月勤労統計調査では、2014年の所定外労働時間は前年比4%増と、ここ4年間連続で増加傾向という結果も出ている。賃金が増えない中、労働者の残業時間が増加していることもうかがえる。
今後は、賃金の上昇のみならず労働生産性の向上をどのように実現していくかが、景況感上昇の鍵となるであろう。

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