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世界初カプセル内視鏡の認定制度と教育システムの有用性

一般社団法人日本カプセル内視鏡学会(JACE) 2013年12月12日 17時31分
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2013年7月26日(金)、日本カプセル内視鏡学会(JACE)による第1 回メディアセミナー「世界初カプセル内視鏡の認定制度と教育システムの有用性」が大手町サンケイプラザ(東京都千代田区)にて開催されました。小腸用に続いて大腸用※が7月に製造販売承認され、ますます注目度の高まるカプセル内視鏡について、同学会理事長の寺野彰先生(獨協学園理事長)と理事の中村哲也先生(獨協医科大学医療情報センターセンター長・教授)による講演が行われました。
※大腸用は、2014年1月1日に保険適用を取得予定です。

■カプセル内視鏡について
 内視鏡検査とは、消化管や気管・気管支、胸腔・腹腔などの体内に機器を直接挿入して観察する検査です。現在は電子内視鏡が中心なので、簡単に言えば体の中にビデオカメラを入れて調べる検査で、ほとんどの場合、処置・治療をすることが可能です。

 内視鏡は筒型の硬性鏡とチューブ型の軟性鏡に大別されます。硬性鏡は例えば胸腔鏡、腹腔鏡などで、いわば第一世代の内視鏡です。第二世代にあたるチューブ型の軟性鏡は、いわゆる胃カメラなどの上部消化管内視鏡や大腸内視鏡などが相当します。第三世代となるのがカプセル内視鏡です。それは内部に小型のビデオカメラが内蔵されたカプセル型の内視鏡で、これを飲み込んで消化管内の画像を撮影・検査します。飲み込むだけで検査ができ、低侵襲であることが最大の特徴です。1981年、イスラエルのI d d a n博士らによって開発が始められ、2001年に米国、欧州で小腸用カプセル内視鏡が承認されました。
 
 日本では、2007年4月に小腸用カプセル内視鏡が製造販売承認され、10月に保険適用となっています。さらに2012年にはパテンシーカプセルが保険適用になりました。それは、消化管の狭窄部開通性を評価するためのダミーのカプセルです。これにより適用が大きく広がり、それまでは上部・下部内視鏡検査をしても原因がわからない消化管出血だけだったのが、小腸疾患が既知または疑われる患者さんすべてに保険が適用できるようになりました。これはとても画期的なことで、世界で一番適用が広いのが日本ということになります。

 そして今年7月、大腸用カプセル内視鏡が製造販売承認され、近々、保険認可される見込みです。
 
 小腸は消化管領域の“暗黒大陸”といわれていました。口からも肛門からも遠く、しかも非常に長く、バルーン内視鏡とカプセル内視鏡が登場するまでは内視鏡検査が難しかったからです。

 バルーン内視鏡は軟性内視鏡にバルーン(風船)をつけたもので、入院が必要で、口からと肛門からの2回検査しなければならないというデメリットがある半面、検査と同時に処置・治療ができるというメリットがあります。一方、カプセル内視鏡は外来で検査可能ですが、画像診断のみで処置はできません。それぞれにメリットのある2種類の内視鏡が普及したことで、小腸はもはや暗黒大陸ではなくなってきています。

 小腸用カプセル内視鏡の現在のモデルは外径11ミリ、長さ26ミリで消化管内を蠕動運動により移動しながら、内蔵された小型イメージセンサが腸内の画像を撮影していきます。撮影は1方向のみで、1秒間に2回、画像が撮影されます。撮影された画像データはカプセル内のアンテナから、腰に装着されたデータレコーダ(記録装置)に送信されて記録されます。

 検査に必要な機材はカプセル内視鏡本体、センサ(アンテナ)、体外の記録装置であるデータレコーダ、ワークステーションです。通常は前日からの絶食のみで検査を受けることができます。アンテナ(センサ)は8個で、腹部の所定の位置に貼り付け、センサと記録装置を接続し、腰に専用ベルトで巻きつけて固定します。カプセル内視鏡を少量の水とともに飲みこんだら、その後は病院内にとどまる必要はありません。運動や食事の制限は多少ありますが、普段どおりに仕事や家事をしていただいてかまいません。

 検査時間は施設により異なりますが、7~8時間ぐらいです。入院患者さんでは動きが少ないため、カプセル内視鏡の通過が遅くなり、もっと時間がかかることもあります。

 データレコーダに記録されたデータはワークステーションに転送されるとビデオ画像に変換されるので、専用の読影ソフトでビデオ画像として読影・診断することができます。検査の偶発症としては唯一、「滞留」といって、消化管の狭窄部の口側にカプセルが2週間以上とどまって排出されないことがありました。しかし、今は開通性を評価するパテンシーカプセルがあり、パテンシーカプセルが通過すれば、問題なく検査を行うことができます。

 小腸用に続いて今年7月、大腸用カプセル内視鏡が承認されました。大腸内視鏡検査が必要でも、施行が困難な場合や、大腸内視鏡検査を受けられない患者さまの大腸疾患の診断を目的として承認を受けています。これは非常に大きなトピックスです。検査対象者が世界で最も広いからです。今後、消化器内視鏡は日本を中心に劇的に変化していくことが予想され、世界的にも注目されています。

 そのシステムは基本的には小腸用と同じです。異なる点としては、小腸用は1方向ですが、大腸用は2方向で画像を撮影することができます。また、データレコーダの性能が向上して、これまではデータ送信が内部から外部への1方向でしたが、双方向に変わりました。読影用ソフトウェアもバージョンアップして、画質が一段ときれいになりました。2方向の撮影ができるのは大きなポイントです。通常の大腸内視鏡でも、反転させてひだの裏側を撮影する医師もまれにいるようですが、基本的には肛門側から見た1方向しか撮影していません。

 これまではフレームレートが固定されていましたが、カプセルの移動速度に応じて変化し、1秒間に最小で前後方向あわせて4枚、最大で35枚撮影することができます。視野角も広がっています。また、標準作動時間は10時間ですが、小腸などをスリープモードにして撮影せずに通過させることができます。

 日本で一番適用が広くなった背景には、大腸がん検診受診率の問題があります。平成19年の国民生活基礎調査によると、日本における大腸がん検診の受診率は25%程度です。米国は約52%、韓国は34%とのデータもあり(図1)、国際的に見ても非常に低い受診率であることを厚労省も問題視して、平成19年の「がん対策推進基本計画」において、受診率50%という目標値が立てられました。
 
 要精密検査となった場合の受診率も問題です。2012年の学会集計のデータを見ると、要精密検査となる人は約110万人ですが、実際に検査を受けるのはそのうちの57.9%で、4割以上の人が受診していません(図2)。精密検査で病気が見つかる人は少なくありません。4.7%もの人ががんと診断されています(図2)。米国
のデータですが、大腸がん検診を受けるべき年齢層(50歳以上)で大腸内視鏡検査を受けない割合が米国50%、欧州75%、日本90%という数字も報告されています。 
 
 一方で、大腸がんの罹患率も死亡率も上がっています。逆に胃がんは減っていますが、これは早期診断・治療が進んでいるからです。大腸がんは検診を受ける人が少ないため早期診断・治療が難しく、進行してから見つかり、治療しても転移してしまうようなケースが多いのが現状です。
 
 大腸内視鏡検査を受けない理由として、「自覚症状がない」ことが考えられますが、大腸がんは自覚症状がないうちに見つけなければ、低侵襲な内視鏡治療をすることができません。大腸がんの早期診断・治療には、検診が欠かせないのです。
 
 カプセル内視鏡のメリットとしては、飲むだけで検査ができ、怖い、恥ずかしいなどの心理的負担がないことなどが挙げられます。通常の大腸内視鏡は施設によって鎮静剤が使用されたり、放射線被曝を受けることもありますが、カプセル内視鏡にはありません。

 ただし、治療や精査をすることはできません。したがって、カプセル内視鏡検査が検診に導入された場合の役割は、精密検査の前段階の“1.5次検査”ということになると思います。つまり、大腸1次検診である便潜血検査で陽性の結果が出た人は“1.5次検査”のカプセル内視鏡検査を受け、もし陽性であれば2次検査(精密検査)の大腸内視鏡検査を受けるという流れになるわけです(図3)。

 前述の通り、2次検診の受診率は57.9%です。カプセル内視鏡の導入で、これが何%まで引き上げられるのか。当学会でも大腸用カプセル内視鏡普及のため、さまざまな活動を行っていきたいと考えています。

■学会の認定制度とeラーニングによる教育活動
 当学会ではカプセル内視鏡の認定医、指導医、指導施設の認定制度を2012年より行っていますが、2013年春から、新たにコメディカルを対象とした認定制度「読影支援技師制度」をスタートしました。カプセル内視鏡の専門知識と読影技術を備えた「カプセル内視鏡読影支援技師」を養成し、一定の成績を収めた人を資格認定して、カプセル内視鏡検査及び研究の円滑を図ることが今回の制度の目的です。
 
 カプセル内視鏡の撮影画像は1症例につき数万枚、場合によっては10万枚以上に及びます。これを読影支援技師(看護師や検査技師など)が“下見”をして、診断に重要な画像を選び出し、医師は選び出された画像だけを見て診断します。読影支援技師の役割は、小腸用カプセル内視鏡検査の医師による画像診断を支援することです。
 
 カプセル内視鏡は、検査に技術は求められませんが、撮影された画像の読影が非常に重要で、読影の方法や精度がバラバラでは困ります。このため、以前から学会の開催に併せて医師向けのセミナーを行ってきましたが、読影支援技師制度を始めるにあたり、資格取得希望者やセミナーを受講できない学会員の学習ツールとして、eラーニングシステムの運用を開始しました。

 トータルの想定学習時間は10時間で、「STEP1:概要編」「STEP2:操作編」「STEP3:読影編」「STEP4:症例編」「STEP5:ケーススタディ」という構成になっています。eラーニングなので、インターネットに接続できる環境であれば、職場でも自宅でも、どこでも勉強できますし、一度に全部を勉強しなくても、STEPごとに分けて学んでいくこともできます。

 各STEPごとに理解度テストがあり、テストに合格して初めて次のSTEPに進めます。80点以上で合格ですが、何度でも受けられますので、合格するまでやり直すことが可能です。

 STEP1~3は基礎編で、カプセル内視鏡検査の概要、操作方法、読影方法(図4)について基本的なことを学びます。
 
 STEP4(図5)では、実際の症例の画像を見て学びます。患者さんの所見も出ていて、例えば「上部小腸に~の病変が認められる」といった所見がある場合、クリックすると該当箇所の画像を確認することができます。
 
 STEP5(図6)はケーススタディです。小腸の腫瘍、出血、炎症など20症例の読影トレーニングで、受講者がビデオを見ながら病変が疑われる画像を選択し、チェックをつけていくと、正解に○、不正解には×がつきます。そのようにして受講者に実際に読影してもらうのが、この教育システムの最大の特徴であり、実
際に病変であるものを正確に識別する能力が養われるようになっています。解説も詳細で、その後の経過なども書かれているので、重要な症例について、実際に経験する以上に深く学べるシステムになっています。
 
 運用に向けて、2012年末に学習効果を評価しました。調査方法は、カプセル内視鏡読影経験がまったくない獨協医科大学病院の看護師12名にeラーニングシステムで学習してもらい、読影力がどのくらい上がったかをチェックするというものです。12名のうち最後まで修了したのは11名、学習時間は7時間でした。前述の通り想定の学習時間は10時間でしたが、初心者なのに想定よりも短時間で終わっています。

 理解度テストまで正しく受講したのは8人で、そのうち6人が受講後、発見病変数も正解数も増加しており、読影能力が向上したと考えられます。

 発見病変数や正解数が増加しただけでなく、受講によって、読影時に不要なサムネイルを選ばなくなる、つまり偽陽性が減る傾向もみられました。本当に必要なものを選ぶ能力が向上したと考えられます。読影支援技師に求められる役割は“下見”であり、偽陽性を多く選ぶと医師の診断に時間がかかってしまいますので、これはとても大事なことだと思います。
 
 認定基準については、当初、日本消化器内視鏡技師学会から本学会と日本消化器内視鏡学会の両方にこのような制度をつくってほしいとの要望が出されたことを契機に、日本消化器内視鏡学会とも相談をして、国家資格を持つコメディカル(看護師、臨床検査技師、診療放射線技師、薬剤師、衛生検査技師、臨床工学技士)と日本消化器内視鏡学会認定技師資格を持つ准看護師としました。クオリティを担保するため、eラーニング受講修了を必須としています。
 
 本制度は2013年4月に制定・施行、eラーニングの運用もスタートしています。申請開始は2014年1月からで、7月には認定審査を終了して8月に認定証発行というスケジュールを予定しています。
 
 これまでお話ししてきたように、カプセル内視鏡は日本で世界に先駆けて進化を遂げようとしています。当学会では、認定医・指導医・指導施設の認定制度に加え読影支援技師制度を設けるとともに、セミナーやeラーニング等の教育活動にも尽力し、カプセル内視鏡の普及と臨床応用、検査精度の向上を目指していきたいと思っています。

●日本カプセル内視鏡学会について
 カプセル内視鏡が日本に上陸したのは2003年で、じつは私が日本で初めてカプセル内視鏡検査を体験しました。以来、日本でもこの検査を普及させるべく治験をスタートさせ、承認を目指して努力を続けましたが、承認が下りるまでに4年もかかってしまいました。安全性の問題もありますが、小腸用カプセル内視鏡はデバイスラグの典型となり、日本は各国に大きな遅れをとってしまいました。その後、皆様の努力により急速に日本でも普及し、現在では世界のトップランナーになってきました。日本カプセル内視鏡学会も世界で初めての、そして唯一のカプセル内視鏡に特化した学会であり、認定制度なども日本がリードする形で進んでいます。大腸用カプセル内視鏡が承認されましたので、現在約1000名の会員もあっという間に2~3倍の規模になることが予想されます。
 
 活動は学術集会などの開催、雑誌や書籍の発行、認定制度事業、国際交流などです。前述の通り、日本はカプセル内視鏡の世界でトップランナーとなり、国際的にも活躍できるようになってきましたので、ぜひ若い人材に参入してもらいたいと思っています。
 
 最大の特徴は、読影トレーニング委員会や読影支援技師制度委員会があることです。カプセル内視鏡は飲むだけで撮影・記録できますので、問題は読影です。間違えると大変なことになりますが、1症例につき数万枚撮影されますので、読影にはかなりの時間を要します。医師がそれだけの時間を確保するのは難しいだろう、コメディカルの人に頑張ってもらい、医師は監督的な立場で診断をするシステムが必要だろうということでスタートしたのが読影支援技師制度です。家庭に入った女性医師に活躍してもらうといった方法も考えられますが、やはりコメディカルの力が欠かせないと思います。
 
 今後の課題としては、第一に大腸用の保険適用が挙げられます。小腸用も最初は原因不明の出血のみで、適用拡大には時間がかかりました。大腸がんが中心になるとは思いますが、他の疾患もありますので、どのような形で保険適用になるかは重要です。
 
 次に手技料の問題があります。できるだけ安価にという方向でしょうが、ある程度の手技料がなければインセンティブにならないので、これから議論の的になるだろうと思います。技術的課題としては、今は蠕動運動にしたがって進むだけなので、将来的には外から動きをコントロールできるようなカプセル内視鏡が望まれます。また、カプセル内視鏡を使って精査をする方法も考える必要があります。ポリープがあったとき、その組織を採取してきて病理検査をするのは難しいとしても、細胞をこすりとってきて遺伝子検査するなど、やりかたはあるのではないかと思います。処置・治療までできるようにはなかなかならないので、あくまで検査・診断の手技として何ができるかを考えていく必要があります。

 私も大腸内視鏡検査を受けますが、2リットルもの下剤を飲むのはつらいし、肛門からの検査というのは、やはり抵抗があるものです。カプセル内視鏡は飲むだけでいいので、これまで大腸内視鏡検査を敬遠していた多くの患者さんがカプセル内視鏡検査を受ける可能性があります。
 
 カプセル内視鏡検査は年々、増加しています。前述の通り、撮影枚数が多く、読影時間が1症例につき45~90分ともいわれています(図7)。今後、大腸用も含めて、カプセル内視鏡検査はさらに増加することが予想されるため、その対応は大きな課題です。当学会としては、先ほどからお話ししている認定医や読影支援技師などの読影者の教育・育成が急務であると考えています。

■日本カプセル内視鏡学会について
日本カプセル内視鏡学会(JACE;The Japanese Association for Capsule Endoscopy) は、カプセル内視鏡検査の臨床応用とその普及、および関連の研究・教育の発展を目的として、2008年より活動してきた日本カプセル内視鏡研究会を発展させる形で、2012 年4 月に設立されました。カプセル内視鏡に特化した学会としては、世界初で唯一の学会です。認定医や読影支援技師など読影者の認定制度も世界に先駆けたもので、大きな注目を集めています。

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