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2013年秋の中堅・中小企業のIT投資指標

株式会社ノークリサーチでは中堅・中小市場における2013年秋の定点観測調査を行った。

OSサポート終了などの特需のみに依存せず、経済環境変化に強いIT活用提案を模索することが重要
▼経常利益DIは引き続き改善する一方でIT投資DIは若干の下落、企業の慎重姿勢が表れる
▼ 「賃上げが伴わない中の販売力確保」や「金利/物価の上昇への対応」はIT投資抑制要因
▼IT投資は製造/卸売/小売でやや堅調、流通と建設は原資不足、サービスは売上減が影響

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2013年10月17日

ノークリサーチ Quarterly Report 2013年 秋版 (Vol 023)

調査設計/分析/執筆: 岩上由高

2013年秋の中堅・中小企業のIT投資指標

株式会社ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1 東京芸術センター1705:代表伊嶋謙ニ 03-5244-6691 URL:http//www.norkresearch.co.jp)では中堅・中小市場における2013年秋の定点観測調査を行った。本リリースはその結果速報をまとめたものである。(定点観測調査は4月、7月、10月、1月の年4回実施)
調査対象企業: 年商500億円未満の国内民間企業1000社の経営層および管理職
調査対象地域: 日本全国
調査対象業種: 組立製造業/加工製造業/建設業/流通業/卸売業/小売業/IT関連サービス業/一般サービス業/その他
調査実施時期: 2013年10月初旬(政府による2014年4月の消費税率引き上げ表明後)


OSサポート終了などの特需のみに依存せず、経済環境変化に強いIT活用提案を模索することが重要
▼経常利益DIは引き続き改善する一方でIT投資DIは若干の下落、企業の慎重姿勢が表れる
▼ 「賃上げが伴わない中の販売力確保」や「金利/物価の上昇への対応」はIT投資抑制要因
▼IT投資は製造/卸売/小売でやや堅調、流通と建設は原資不足、サービスは売上減が影響


▼経常利益DIは引き続き改善する一方でIT投資DIは若干の下落、企業の慎重姿勢が表れる
以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業全体におけるIT投資DIと経常利益DIの変化をプロットしたものである。
[IT投資DIの定義]
今四半期以降のIT投資予算額が前四半期と比べてどれだけ増減するかを尋ね、「増える」と「減る」の差によって算出した「IT投資意欲指数」を指す。2013年10月時点でのIT投資DIは2013年7月~2013年9月と比べた場合の2013年10月以降のIT投資意向を示す「先行指数」。(IT投資の「実績値」ではなく、投資意向を反映した「見込み値」である点に注意)
[経常利益DIの定義]
前回調査時点と今回調査時点を比較した場合の経常利益変化を尋ね、「増えた」と「減った」の差によって算出した「経常利益増減指数」 を指す。2013年10月時点での値は2013年7月時点と比較した場合の経常利益増減の実績値となる。
2012年11月から経常利益DIの値は徐々に改善し、2013年10月は2013年7月から2.4ポイント改善して6.1となった。
IT投資DIについても2012年11月から2013年7月にかけて改善を続けてきたが、2013年10月は2013年7月と比べて1.3ポイント減少して1.0となった。経常利益について改善傾向が見られるものの、それがIT投資の増加には結びつかず中堅・中小企業の多くがIT投資に対してやや慎重な姿勢になっている状況がうかがえる。次頁以降ではこの結果に関する年商別および業種別の傾向を俯瞰し、こうした状況下においても訴求可能なIT活用提案とは何かを探っていくことにする。
また、本調査は10月初旬の消費税率改正(5%から8%)に関する政府の正式発表後にアンケートを実施したものであり、2014年4月の消費増税に対する意識が織り込まれた結果となっている。(消費増税がIT投資全般に与える影響と対策については別途そのテーマに特化した調査レポートが近日中に発刊される)


▼ 「賃上げが伴わない中の販売力確保」や「金利/物価の上昇への対応」はIT投資抑制要因
以下のグラフは経常利益DIおよびIT投資DIの変化を年商別にプロットしたものである。
年商5億円未満:
経常利益DIは-2.5ポイント、IT投資DIは-6.0ポイントといずれも下落する結果となった。経常利益減少の理由では「消費者の購買意欲は依然として低い」が約4割と他の年商帯と比べて多く、広い裾野の消費がまだ好転していない状況といえる。IT投資減少の理由では「物価や金利の上昇に備えて投資は控えておきたい」が他の年商帯と比べて多い。多少の収益を得たとしても今後の経済環境変化に備えておきたいと考えている状況といえる。
年商5億円以上~50億円未満:
経常利益DIは11.5ポイントと大幅な改善、IT投資DIも2.5ポイントの改善となった。経常利益改善の理由としては多くの事柄が挙げられているが、他の年商帯と比べると「消費増税を見越した駆け込み需要がある」が多く挙げられている。IT投資増加の理由では「売上が向上して、IT投資費用が捻出できた」が約3割だが、「Windows XPのサポート終了に伴い各種システムを刷新する予定がある」が約4割と最も多くなっている。DI値は改善しているが、一時的な要因に依存している傾向に注意する必要がある。
年商50億円以上~100億円未満:
経常利益DIは1.5ポイントの改善だが、IT投資DIは-12.0の大幅な下落となった。経常利益の増加理由では年商5億円以上~50億円未満と比べると消費増税による駆け込み需要を挙げる回答は減り、「在庫調整や生産調整が進んでいる」といった回答が多くなっている。IT投資減少の理由では「売上が低迷し、IT投資費用を捻出できない」が5割超と最も多い。売上増ではなく、在庫調整や生産調整によって収益を確保している状況のため、IT投資を絞らざるを得ないものと考えられる。
年商100億円以上~300億円未満:
経常利益DIは-1.0ポイントの下落、IT投資DIは8.0ポイントの改善となった。経常利益減少の理由は多岐の項目が挙げられている一方で、IT投資増加の理由では「売上が向上して、IT投資費用が捻出できた」と「Windows XPのサポート終了に伴い各種システムを刷新する予定がある」がともに4割弱で最も多くなっている。様々な要因によって経常利益はやや減少したものの収益は改善してきており、当面はOSサポート終了に関連するIT投資が主体になる状況と予想される。
年商300億円以上~500億円未満:
経常利益DIは2.5ポイント、IT投資DIは1.0ポイントの改善となった。年商が高くなるにつれて消費者の購買意欲は改善していると捉える回答が増えており、資本力の差が本格的な賃金上昇が起きていない中での商品販売力の差となっている可能性がある。
この差は結果的に中堅・中小企業の広い裾野におけるIT投資の抑制要因となりうる。この年商帯のIT投資については年商100億円以上~300億円未満と類似の傾向を示しているが、OSサポート終了をIT投資の増加理由とする 割合が4割を超えている。
対応終了後のIT投資が縮小しないように、他のIT活用についても今から提案を練っておく必要がある。

▼IT投資は製造/卸売/小売でやや堅調、流通と建設は原資不足、サービスは売上減が影響
業種毎の傾向は以下の通りとなる。経常利益DIおよびIT投資DIの遷移グラフは次頁に掲載している。
組立製造業:
経常利益DIは1.8ポイント、IT投資DIは8.6ポイントの改善となった。経常利益増加理由では「円安で輸出販売が増えている」と比べて「新たな製品やサービスが好調である」が多く、円安効果が中小も含めた広い裾野に伝播した結果というよりは、新規商材投入に注力してきた一部の企業がDI値の改善を牽引している状況が続いている。IT投資DIの改善についても、業績改善を実現している企業において「売上が向上して、IT投資費用が捻出できた」という状況になった結果といえる。
加工製造業:
経常利益DIは4.9ポイントの改善、IT投資DIは0.1ポイントとほぼ横ばいとなった。経常利益増加理由では他の業種と比べると「在庫調整や生産調整が進んでいる」が多い。IT投資については、増加理由として「Windows XPのサポート終了に伴い各種システムを刷新する予定がある」が最も多い一方、減少理由では「景気が本当に回復するかをもう少し見極めたい」が組立製造業と比べて多くなっている。OSサポート終了といった不可避なIT投資は対応するが、それ以外については慎重な姿勢であることがIT投資DIの横ばいという形で表れていると考えられる。
流通業(運輸業):
経常利益DIは10.8ポイントと大きく改善したが、IT投資DIは-8.9ポイントと大幅な下落となった。経常利益については「円安で原材料や燃料のコストが上がっている」というマイナス要因がある中、一部の企業における「業態の拡大や転換が成功している」という状況が経常利益DI値を改善させる結果となった。しかし、業績を改善させた企業の中にも更なる調達コストの上昇を懸念する見方があるため、IT投資DIは逆に大きく下落する結果となっている。
建設業:
経常利益DIは-7.4ポイント、IT投資DIは-10.0ポイントといずれも下落となった。経常利益DIは下落したものの、14.8と全業種の中で最も高い値を示している。政府方針によって公共事業が増加しており、経常利益の増加理由としてもその点を挙げる回答が目立つ。だが公共事業のみでは建設業全般の業績を押し上げるには十分でなく、経常利益減少の理由として「企業の設備投資は依然として少ない」といった回答も多い。その結果、IT投資についても十分な原資を得られずにDI値が下落する結果となっている。
卸売業:
経常利益DIは7.1ポイント、IT投資DIは3.1ポイントの改善となった。経常利益増加理由では「消費者の購買意欲が高まっている」や「在庫調整や生産調整が進んでいる」、「新たな製品やサービスが好調である」に加えて、「消費増税を見越した駆け込み需要がある」「物価上昇を見越した消費の前倒しがある」といった直近の経済環境に関する選択肢が他業種と比べて多く挙げられている。IT投資増加の理由としては「Windows XPのサポート終了に伴い各種システムを刷新する予定がある」が3割強と最も多いものの「販路の創出や拡大にITが必要である」といった攻めのIT投資に該当する項目も3割弱挙げられている。
小売業:
経常利益DIは32.4ポイント、IT投資DIは16.1ポイントといずれも大幅な改善となった。経常利益の増加理由としては「在庫調整や生産調整が進んでいる」が最も多いが、「新たな製品やサービスが好調である」や「消費者の購買意欲が高まっている」といった売上自体を向上させる要因も挙げられている。卸売業と比べて消費増税や物価上昇を見越した消費の増加については回答が少ないが、小売業においても今後は同様の回答が増えると予想される。IT投資増加理由では「Windows XPのサポート終了に伴い各種システムを刷新する予定がある」が6割弱と他業種と比べても多い。そのためOSサポート終了対応後の反動に注意しておく必要がある。
IT関連サービス業:
経常利益DIは8.2ポイントの改善、IT投資DIは0.6ポイントとほぼ横ばいとなった。経常利益増加理由としては「企業の設備投資が増えている」や「新たな製品やサービスが好調である」といった回答が4割強と多く挙げられている。この中にはWindows XPのサポート終了に伴うプラス効果も含まれていると考えられるが、それだけに頼らず他のIT活用提案も今から進めておくことが重要と考えられる。IT投資の増加理由ではIT関連サービス業自身におけるOSサポート終了への対応に加え、「業態の拡大や転換にITが必要である」といった回答が他の業種と比べて多くなっている。一方で、IT投資の減少理由では「人件費が上がり、IT投資費用を捻出できない」が他の業種と比べて多く挙げられている。ハードウェアやソフトウェアの販売を主体としていた業者がクラウド形態のサービスやアウトソーシングの領域に業態を拡大/転換するといった取り組みも見られるようになってきている。その際には新たなシステム基盤の導入も必要だが、新しい技術を扱える人材の確保も重要なポイントとなる。「新たな製品やサービスが好調である」が経常利益の増加要因として多く挙げられると同時に「人件費が上がり、IT投資費用を捻出できない」がIT投資の減少要因として多く挙げられている結果にはこうした背景があるものと考えられる。
サービス業:
経常利益DIは-5.7ポイント、IT投資DIは-8.9ポイントといずれも下落する結果となった。経常利益減少理由では「消費者の購買意欲は依然として低い」が4割強と最も多く、他の業種と比べても高い値となっている。円安による影響で食料品を始めとする生活必需品の値段が上がる中で、サービス関連支出を抑制する消費者が出てきているなどの理由が考えられる。その結果、IT投資においても「売上が低迷し、IT投資費用を捻出できない」といった回答が多く挙げられ、IT投資DI下落の要因となっている。


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株式会社 ノークリサーチ 調査設計、分析、執筆:岩上由高
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