企画委員会「提言検討チーム」が、特許庁運営基盤システム開発失敗事例を踏まえて提言
平成24 年11 月、会計検査院は平成23 年度決算検査報告書の中で、会計法令などに違反した「不当事項」として、特許庁運営基盤システム構築の支払額54 億51 百万円を指摘。
支払先及び金額は、設計作業を受託した東芝ソリューションが24 億8,700 万円、プロジェクト管理支援のコンサルテーションを受託したアクセンチュアが29 億6,400 万円。
この大規模な特許庁運営基盤システム開発が失敗に終わった経緯から失敗の原因の一端を明らかにし、他の業界などに学び、政府のソフトウェア調達でこのような失敗を繰り返さないようにする方策が今回の提言です。
なお提言の全文はリンクで公表。各章の見出しは次の通りです。
【提言内容】
■特許庁運営基盤システムの開発と失敗の経緯
※平成16 年10 月の特許庁「特許庁業務・システム最適化計画」策定から、平成24 年 1月の技術検証委員会「技術検証報告書」における特許庁の情報システム開発中断の提言と当時の枝野経済産業大臣による中断発表までの経緯を説明。
■開発失敗の原因
※開発失敗の責任は、施主としての特許庁と、開発の契約を締結したにも関わらずその責任を全うしえなかった東芝ソリューションにあることは明らかですが、プロジェクト管理の支援業務について契約したアクセンチュアの責任はなかったのか。
■アクセンチュアに期待された「プロジェクト管理」とは何か
※「プロジェクト管理」の重要な作業にはリカバリー・マネジメントがあるが有効に発揮されなかった。アクセンチュアに期待されていたことは、「プロジェクト管理」において「失敗」が起きないようにすることだったはず。
■プロジェクト管理者としてのアクセンチュアの説明を求める
※アクセンチュアの説明責任に言及。
■建設業界とソフトウェア業界の違い
※建物などの建築に似ているといわれるソフトウェアの開発。しかし両業界における最大の相違点は、「設計を行う人が責任を持つかどうか」「不適格業者を排除する仕組みがあるかどうか」。ソフトウェア業界において資格試験合格者以上のスキルの必要性を訴求。
■技術者個人の資格についての提案
※建築士のような資格を情報システム開発で考えた場合の具体的資格提案。
■組織についての提案
※政府のソフトウェア調達について、参加する企業の条件をより厳しくするための具体的提案。
■今後のソフトウェアの調達の重要性
※情報システム学会「提言検討チーム」は次のように結論しています。
「今後コンピュータのソフトウェアは、社会の重要インフラシステムとして人類の生活に大きくかかわってくる。いままで以上に産業としての発展が期待されているソフトウェアの将来に対して、品質とコスト、納期をそれぞれ充足する調達の仕組みを確立することは急務である。
日本の政府調達を通じてまず調達の標準を確立し、それを基に世界に先駆けて日本が率先して変革し、他国の追随を許さないレベルまでこれを高め、それをグローバル化することに意義がある。」
【情報システム学会(Information Systems Society of Japan)について】
設立は2005年。2011年4月1日より一般社団法人として活動を開始。
学会の主要なテーマとして、情報システム人材の育成、実務家と研究者の交流、これからの情報システムのあり方、人間中心の情報システムの追究が挙げられます。
事務局所在地:〒102-0083 東京都千代田区麹町4-6-10 麹町青木ビル3F
会長:杉野 隆(国士舘大学教授)
電話:03-5357-1262(事務局員不在時は留守番電話)
FAX:03-3222-0743
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