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2011年中堅・中小企業の海外展開におけるIT活用の実態と展望調査報告

ノークリサーチは2011年中堅・中小企業の海外展開におけるIT活用の実態と展望調査を実施し、その分析結果を発表した。

<中国を始めとする新興国を市場とした海外展開を踏まえたIT活用提案を検討すべき>
■拠点を伴う海外へのビジネス展開は中小企業で1割、中堅企業では約2~3割存在
■ビジネス展開先は中国が依然突出するも、インドや東南アジアなどへ広がりを見せる
■海外拠点のIT導入には3つの基本ステップが存在、幅広い商材提供への準備も重要
■中国現地企業向けシステムインテグレーションは業務コンサルが差別化となる可能性
■中国現地企業向けソフトウェアパッケージでは現地化やサービス業者との協業が進む
■日本が資本と信用力を提供し、台湾がマネジメント人材を提供する協力関係が有効

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2012年1月18日

2011年中堅・中小企業の海外展開におけるIT活用の実態と展望調査報告

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニTEL:03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)は2011年中堅・中小企業の海外展開におけるIT活用の実態と展望調査を実施し、その分析結果を発表した。本リリースは「2011年版中堅・中小企業の海外展開におけるIT活用の実態と展望レポート」のダイジェストである。


<中国を始めとする新興国を市場とした海外展開を踏まえたIT活用提案を検討すべき>
■拠点を伴う海外へのビジネス展開は中小企業で1割、中堅企業では約2~3割存在
■ビジネス展開先は中国が依然突出するも、インドや東南アジアなどへ広がりを見せる
■海外拠点のIT導入には3つの基本ステップが存在、幅広い商材提供への準備も重要
■中国現地企業向けシステムインテグレーションは業務コンサルが差別化となる可能性
■中国現地企業向けソフトウェアパッケージでは現地化やサービス業者との協業が進む
■日本が資本と信用力を提供し、台湾がマネジメント人材を提供する協力関係が有効


対象企業: 日本全国/全業種の年商500億円未満の中堅・中小企業
対象職責: 企業経営もしくはITインフラの導入/選定/運用作業に関わる社員
調査実施時期: 2011年7月~9月
有効回答件数: 1000件


■拠点を伴う海外へのビジネス展開は中小企業で1割、中堅企業では約2~3割存在

以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業に対し、「海外でのビジネス展開状況」を尋ねた結果を年商別に集計したものである。何らかの形で既に海外拠点を持つ企業の割合は年商5億円以上~50億円未満の中小企業で10%、年商50億円以上~500億円未満の中堅企業で約20~35%に達している。新たなIT投資項目が見出しにくい中、海外拠点設置を伴うビジネス展開は中堅・中小企業に対するIT活用提案においても無視できない要素となってきている。次頁以降ではビジネス展開先地域やITインフラ導入状況などの詳細について分析している。


■ビジネス展開先は中国が依然突出するも、インドや東南アジアなどへ広がりを見せる

以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業に対して、「拠点設置を伴うビジネス展開の地域別状況」を展開済みと展開予定に分けて尋ねて集計したものである。
※全体の傾向を把握しやすくするため、元の設問の選択肢の幾つかを以下のようにまとめている。
北中南米:カナダ、メキシコ、ブラジル、その他の中南米
欧州:イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、その他の欧州
その他アジア:ラオス、カンボジア、ミャンマー、その他アジア
その他:中東、オーストラリア、その他

展開済みと展開予定のいずれにおいても中国(台湾を除く)が最も多くを占めている。しかし、展開予定における中国(台湾を除く)の割合は展開済みと比べて減少しており、インド、ベトナムといった別の新興国へと展開地域が広がっている様子がうかがえる。
ここではグラフは掲載していないが、今後の展開先の傾向を年商別に見ると、中国(台湾を除く)やインドは年商が上がるにつれて割合も高くなる一方、ベトナムは年商が下がるにつれて割合が高くなっている。中国(台湾を除く)やインドは人口が多く経済成長も活発であることを受けて、資本力のある企業が新たな市場開拓の場や豊富な労働力を確保する場として進出する傾向があると考えられる。一方ベトナムについては中小製造業の進出が盛んだ。実際、2011年にベトナム政府が進出を認可した日系企業数は過去最高を記録している。住友商事によるレンタル工場型工業団地の開設やベトナム政府による日本企業専用工業団地の建設計画など、中小企業の進出負担を軽減する施策が進んでいることが背景にある。
同様にここではグラフを割愛しているが、展開済みと展開予定の比較を業種別に見た場合には、組立製造業や加工製造業でインド、インドネシア、ベトナムを今後の展開先とする企業が増加している。いずれも自動車など工業製品の生産が盛んであり、また今後の需要が見込める地域となっている。日系企業の進出増加を受け、日系企業を顧客とするサービス業の進出も見受けられる。サービス業でベトナムを今後の展開先とする企業が増加しているのはその具体例だ。


■海外拠点のIT導入には3つの基本ステップが存在、幅広い商材提供への準備も重要

以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業に対し、「海外拠点におけるITインフラの導入状況」を尋ねた結果である。(海外へのビジネス展開を実施済みまたは実施予定の企業が対象)
導入率の高いITインフラを並べてみると、海外展開に伴うITインフラ整備における一般的なステップが見えてくる。
「PC」および「インターネットアクセス回線」は「既に導入している」の割合が60%を越えている。少人数による海外市場の事前調査段階ではこうした最低限の設備のみで事足りる。この二点が突出していることを踏まえると、こうした事前調査段階にある中堅・中小企業も少なくないものと推測される。[ステップ1]
次に「会計管理」、「グループウェア/メール」、「日本国内事業所との接続回線」(VPNなど)が約45~50%で続いている。これらのみを導入している企業には実ビジネスを開始するためのオフィス開設の段階にあると考えられる。海外展開の進行が早い場合ではここで「サーバおよびストレージ」も導入される。[ステップ2]
実際のビジネスや現地での人員採用などが始まると「販売/仕入在庫管理」「人事/給与」が導入され、製造業においては「生産管理」もこれに含まれることになる。また、それらを稼働させるための「サーバおよびストレージ」も導入される。[ステップ3]
ここまでが海外展開へ取り組む企業の約三割がたどるプロセスと考えられる。一方で、「ワークフロー」「運用管理/資産管理」「マルウェア対策/IPS/IDS」「CRM/SFA」「DWH/BI」「文書管理/ファイル管理」「帳票」「EAI/SCM」といったシステムの導入率は30%未満に留まる。しかし、「必要と考えているが、まだ導入予定はない」がいずれも25%前後に達する。つまり、海外へのビジネス展開の成果によってはこれらのシステムについても導入される可能性が十分あることになる。ITインフラを提供する側としては、初期段階に必要となる基本的な商材に加え、顧客企業の海外ビジネスが軌道に乗った段階を見越した幅広い商材の提案/サポートについても事前に検討しておくべきだろう。


■中国現地企業向けシステムインテグレーションは業務コンサルが差別化となる可能性

ビジネス展開先となる地域データの結果にもあるように中国は日本の中堅・中小企業にとっても引き続き重要な市場である。
ユーザ企業を支えるIT企業にとっても中国展開は検討に値する重要事項だ。本リリースの元となる調査レポートではユーザ企業に対するアンケート調査に加え、中国へのビジネス展開に詳しいIT企業5社に対して取材を行った結果を記載している。
※取材対象企業に関する情報は右記を参照リンク
日本のIT企業による中国へのビジネス展開には「中国へ進出する日本企業を顧客とする」と「中国現地企業を顧客とする」の二通りがある。
「中国へ進出する日本企業を顧客とする」場合:
この場合は中国拠点における顧客のIT活用をまとめて引き受ける「プライム」としてのシステムインテグレーションが主体となる。実際、大手SIerは中国にサポート拠点やデータセンタを次々と設立しており、ユーザ企業側も現地でのサポート拠点設置に対するニーズが高い。しかし、統制管理を強めるなどの目的でサーバを中国ではなく日本やシンガポールに設置する動きも出てきている。IT企業としては現地法人設置が中国でのビジネス確立を保証するものではない点に注意が必要だ。
「中国現地企業を顧客とする」場合:
ハードウェア、OS、ミドルウェアについてはグローバルベンダのブランド力が強く、日本のIT企業がこれから訴求力を強めることは難しい状況となっている。特にミドルウェアについては性能や信頼性といった非機能要件に重点が置かれ、そのノウハウを吸収することは容易ではない。実際、中国現地企業に関しても成功例は極めて少ない。データセンタについては日本の大手ベンダが中国の自治体や政府からの委託を受けてクラウド基盤と併せて構築する例もあるが、一般の商用データセンタでは信頼性よりも価格が重視されており、中国現地データセンタ事業者と比べると日系業者の長所が発揮しづらい。こうした背景から、日本の中堅・中小企業を顧客としていたIT企業が中国現地企業を顧客とするビジネス展開する際の形態はSIerもしくはソフトウェアパッケージベンダが残る選択肢となってくる。
[中国現地企業を顧客としたシステムインテグレーションの可能性]
中国現地企業におけるSIerには
・PCの簡易な運用保守を担う小規模な業者
・用友軟件や金蝶国際軟件といった業務パッケージベンダのパートナとして
パッケージを土台に業務システム開発を行う中堅業者
・神州数碼(デジタルチャイナ)、浪潮集団、東軟集団(Neusoft)といった大手SIer
といった種別がある。実際にはこれ以外に大手ユーザ企業の情報システム部門に相当するものや、医療などバーティカル市場を担うもの(上記の大手SIerと重複することが多い)があるが、日本のIT企業と競合するもしくは協業の可能性があるものは主に上記の三通りとなる。
中国のSIerは日本と異なり、多重下請け構造をとることは少ない。また中国現地企業は日本企業と違い「既存の付き合い」に左右されず、その都度中身を判断してSIerを切り変えることも珍しくない。激しい価格競争も常態化し、相対的に日系SIerは中国では高コストとなってしまう点が大きな障壁となる。
システムの構築/運用といった観点だけでは優位性を見出しにくい状況だが、日本企業が持つ業務ノウハウを伝授するという取り組みは検討する価値がある。中国における中小企業の多くは業務ノウハウがまだ確定しておらず、効率的な業務の進め方を会社として学ぶという点については潜在的なニーズがある。中国現地のSIerとうまく協業しつつ業務コンサルティングとシステムの構築/運用を一体化して提案することで突破口を切り拓ける可能性はある。


■中国現地企業向けソフトウェアパッケージでは現地化やサービス業者との協業が進む

[中国現地企業を顧客としたソフトウェアパッケージ展開の可能性]
中国のIT活用は日本のそれと比べ10~20年ほど遅れているともいわれる。そのため業務システムについてもスクラッチ開発が大半を占めていると思いがちだ。しかし、最近の実情は異なってきている。以前はスクラッチが多く、パッケージも半完成品といえるものが多かった。だが、機能競争による「多機能化」と競合他社にすぐに追いつこうとする「同質化」が短いサイクルで繰り返され、パッケージは急速に進化している。パッケージを土台にSIerがカスタマイズする形態も広まりつつあり、用友などはそうしたパッケージベンダの代表例である。一方、中国の中小企業は業務プロセスがまだ確立できていないことも多く、パッケージをノンカスタマイズで導入し、業務をパッケージに合わせるケースも出てきている。
ノンカスタマイズでのパッケージ導入が増えれば日本のパッケージベンダによる参入の可能性も考えられるが、依然としてその状況は厳しいと予想される。その理由として
・中国現地のパッケージベンダは激しいコスト競争にさらされているため、日本企業は相対的に高コストとなってしまう。(SIerと同様の障壁)
・中国現地企業に対する販売に際してはコンプライアンス違反に相当するようなアプローチが必要となる場合もあり、導入後に価格交渉が始まるようなケース
もある。回収コストもかかるため、ある程度の案件規模がないと採算が取れない。
・中国現地企業は技術の先進性という観点では日本よりも米国に目が向いており、
「日本の技術の高さ」という点でのアピールにはあまり訴求力がない。
といった点が挙げられる。
こうした状況を打開するための取り組みとしては
・日本企業が持つ業務ノウハウのコンサルティングと併せてパッケージを提供する
・大手テレコム企業など契約や料金徴収が確実に行えるサービス提供者のメニュー
として採用してもらう
・現地の人材に製品の企画/ 開発/ 販売を全て任せる
といったものがある。今回取材したIT企業は実際に上記のような取り組みに着手している。


■日本が資本と信用力を提供し、台湾がマネジメント人材を提供する協力関係が有効

[台湾との協力関係]
近年では中国へビジネスを展開する際に台湾との協力が注目されてきている。実際、日本のコンビニエンスストア業界では台湾企業との協力関係を通じ中国への店舗展開を成功させている例もある。一般消費者向けビジネスでは台湾を中国のテストマーケティングの場としても活用することは有効だが、企業向けのIT商材提案という点では企業の絶対数が少ないなどの点からあまり有効ではない。むしろ注目すべきは日本と台湾それぞれの長所を持ち寄ることだ。台湾から見た場合、日本企業は資本力や信用力がある。台湾は文化/言語が中国に近く、中国現地企業をマネジメントできる人材を提供できる。
そこで日本企業が出資して台湾企業と合弁会社を設立し、台湾の人材を中国現地のマネジメントに充てるというわけだ。
実際、Microsoftなどの大手IT企業は中国向けの管理人材の採用活用を台湾で行っている。さらに、台湾との合弁企業を経由することで法制度面の規制が緩和されるといった利点もある。人材育成は中国へビジネスを展開する際の重要課題の一つであるが、この点では台湾との協力が有効な解決策となってくる可能性がある。
以上のポイントを図でまとめると以下のようになる。ここに記載した内容は先進的な取り組みを進めるIT企業への取材結果から得られたものだが、中国以外の地域についてはまたその地域に固有の事情や背景が存在する。海外のビジネス展開に際してはそれぞれの展開先の個別状況を把握することが重要であることはいうまでもない。だが、ここで挙げられた「現地に任せる」という発想や「言語や文化が近い隣接地域との協業を模索する」といったアプローチは他地域へのビジネス展開においても何らかの参考になると考えられる。

日本のIT企業による中国展開のポイント
中国現地企業向けのビジネス形態
[システムインテグレーション]
課題: 中国現地IT企業と比べた時のコスト
対処: 業務ノウハウ提供との組み合わせ
[ソフトウェアパッケージ提供]
課題: 中国現地IT企業と比べた時のコスト
販売や代金回収にかかる負担、米国と比べた時のブランドの低さ
対処: 業務ノウハウ提供との組み合わせ、テレコム等のサービス業者との協業
企画/ 開発/ 販売の現地への移管

日本企業の海外展開支援
システムインテグレーションが主体、「現地法人設立= ビジネス成功」とは限らない点に注意が必要

台湾企業との協力関係
[日本のIT企業]
信用力と資本力を元に台湾企業と合弁会社を設立
[台湾企業]
中国現地法人をマネジメントできる人材の提供
双方の長所を持ちよって、共に中国へ展開してメリットを共有


本リリースの元となっている「2011年版中堅・中小企業の海外展開におけるIT活用の実態と展望レポート」の詳細は右記URLを参照リンク
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