2011年中堅・中小企業におけるクライアントPC環境の実態と展望に関する調査報告

ノークリサーチは2011年の国内中堅・中小市場におけるクライアントPC環境の実態と展望に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。

<OSライフサイクルの長期化を踏まえつつ、多様な施策の啓蒙が必要>
■OS環境については、WindowsXPが年商規模を問わず多くのユーザ企業でいまだに残存
■Windows7への移行は順調に進むが、3~4年先まで旧OSサポートが必要となる可能性も
■シンクライアント以外の様々な課題解決手段をユーザ企業に啓蒙することが極めて重要

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2011年12月22日

2011年中堅・中小企業におけるクライアントPC環境の実態と展望に関する調査報告

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニTEL:03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)は2011年の国内中堅・中小市場におけるクライアントPC環境の実態と展望に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。本リリースは「2011年版中堅・中小企業におけるクライアントPC環境の実態と展望レポート」のダイジェストである。


<OSライフサイクルの長期化を踏まえつつ、多様な施策の啓蒙が必要>
■OS環境については、WindowsXPが年商規模を問わず多くのユーザ企業でいまだに残存
■Windows7への移行は順調に進むが、3~4年先まで旧OSサポートが必要となる可能性も
■シンクライアント以外の様々な課題解決手段をユーザ企業に啓蒙することが極めて重要

対象企業: 日本全国/全業種の年商5億円以上~500億円未満の中堅・中小企業および年商500億円以上の大企業
対象職責: 企業経営もしくはITインフラの導入/選定/運用作業に関わる社員
調査実施時期: 2011年1月~2月
有効回答件数: 1000件
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照リンク


■OS環境については、WindowsXPが年商規模を問わず多くのユーザ企業でいまだに残存

以下のグラフは年商5億円以上~500億円未満の中堅・中小企業および年商500億円以上の大企業に対し、「導入済みクライアントPCのOS」を尋ねた結果である。
複数回答の形で尋ねているため、以下のグラフは「WindowsXPを主に利用する企業が8~9割に達する」ということを意味するわけではない点に注意が必要だ。だが、Windows7への移行は進みつつあるものの、年商規模を問わず非常に多くの企業でWindowsXPが部分的に残っていることがわかる。次頁ではクライアントPCのOS選択の実態と今後について詳しく見ていく。


■Windows7への移行は順調に進むが、3~4年先まで旧OSサポートが必要となる可能性も

以下のグラフは年商5億円以上~500億円未満の中堅・中小企業および年商500億円以上の大企業に対し、「導入済みクライアントPCのOSに関する購入/導入方法」を尋ねた結果である。
「OSがプレインストールされたPCを購入し、そのOSをそのまま利用している」が最も多い。ここで注目すべきなのは「OSがプレインストールされたPCを購入し、OSをダウングレードしている」という回答が少なくない点だ。
WindowsXP搭載PCの販売は既に終了しているが、個別に開発したシステムの動作検証や改修が間に合わないなどの理由で、クライアントPCハードウェアは入れ替えるもののOSはWindowsXPを継続利用せざるを得ないといったケースもある。その際はWindows7搭載PCを購入してダウングレード権を行使するといった対処方法を採ることになるが、それを実施しているユーザ企業が少なからず存在していることがわかる。
一方で、以下のグラフは「新規導入や入れ替えを予定しているクライアントPCのOS」を尋ねた結果である。今後導入されるクライアントPCのOSではWindows7が多くを占める。しかし、WindowsXPを挙げる回答も依然として3~4割存在しており、WindowsXPが完全になくなるまでには最長で3~4年の期間が必要となる可能性もある。クライアントPC向けの運用管理、資産管理、セキュリティなどのソリューションを提供する側としては今後もWindowsXPをサポート対象に含めておく必要が生じる可能性もある。


■シンクライアント以外の様々な課題解決手段をユーザ企業に啓蒙することが極めて重要

以下のグラフは年商5億円以上~500億円未満の中堅・中小企業および年商500億円以上の大企業に対し、「最も活用したいクライアントPC関連ソリューション」を尋ね、それぞれのソリューションを実現する際に最も望ましいと考える手段とクロス集計したものである。
回答件数が多いソリューションとその実現手段の状況は下記の通りとなっている

「自宅や社外でも自社内の同じOSやアプリケーションを利用できるようにする」
大企業においては在宅勤務などによる人的リソース管理の効率化、パンデミックや自然災害における事業継続、中堅・中小企業においては自ら営業現場に出向きつつも部下の管理責任も担うプレイングマネージャの業務効率改善などの観点から自宅や社外でも社内と同様のPC環境を実現したいというニーズが存在している。
こうしたニーズを実現する手段としては「シンクライアント専用端末」「デスクトップ仮想化」などが存在する。だが、こうしたソリューションの導入はクライアントPCの台数が多く、それらを集約することで運用コストの大幅な削減が見込める大企業や、情報漏洩を厳格に防止したい業種(金融など)、PC環境を毎回クリアにする必要性が高い文教関係などに限られる。
スマートフォンやタブレット端末も今後注目されるが、モバイル端末経由で利用可能な業務アプリケーションはまだ少数である。こうした背景から、自宅や社外で業務を行う確実な方法としてはノートPCを持ち出すという手段が取られやすい。(ただし、自社のコンプライアンス方針において許可されている場合)その結果、ニーズを実現する手段としてもノートPCに備わったハードウェア機構を利用して情報漏洩を防ぐというアプローチが多く回答されるという結果になっている。

「クライアントPC内のデータを安全な場所へ自動保存する」
このニーズに対する実現手段は数多くの手法に分散している。「安価なノートPCをシンクライアント専用端末として活用する」は自宅や社外でのPC環境におけるデータ保護を想定したものであるが、この際の「シンクライアント」とはサーバ上にPC環境を集約する形ではなく、社内のPCと持ち出したノートPCを1対1で接続し遠隔操作する「リモートアクセス」である点に注意が必要である。
一方、「ソフトウェア的手段で既存クライアントPCをシンクライアント化する」は主に社内におけるデータ保護を想定した対策だ。PC環境全体ではなく、データのみをサーバ上に保存し、個々の社員はそれを意識することなくローカル保存と同じように利用できるソリューションも既に存在している。
このように前提とする状況によってソリューションも異なってくるが、いずれにも共通するのは「高額なハードウェア投資を新たに行う必要がない」「既存の利用環境を大きく変更しない」という点が重視されているといえる。

「クライアントPCを紛失した場合でもデータ漏洩しないようにする」
このニーズにおいては他と比較した場合に「ハードディスクを暗号化する」といった手段が多く挙げられており、「安価なノートPCをシンクライアント専用端末として活用する」「シンクライアント専用端末を導入する」がそれに次いで多い。
既存PCに対してはハードディスク暗号化が選ばれ、既存PCの持ち出しができないまたは社外で利用するために専用端末を新規に導入する場合はソフトウェアないしハードウェアでシンクライアント環境を実現するといった対策が採られていることがわかる。

「複数のクライアントPCに一括してアプリケーションなどのインストール作業を行う」
このニーズにおいては「ソフトウェア的手段で既存クライアントPCをシンクライアント化する」「シンクライアント専用端末を導入する」といったシンクライアントによる対策に加え、「運用管理ソフトウェアを既存のクライアントPCにインストールして活用する」が多く挙げられている。昨今の運用管理ソフトウェアはアプリケーションのインストール/起動の許可まで細かく設定できる。アプリケーションの配布機能を持つものもあり、複数のPCに対する一括インストールも可能となっている。

このようにクライアントPC関連ソリューションの実現手段としては、「シンクライアント」に関するものが幾つか挙げられている。だが、クライアントPCの筺体に関するデータではシンクライアントの導入が増える兆しは見えていない。このことは、ユーザ企業はクライアントPC関連ソリューションの実現手段として「シンクライアント」を想起するものの実際の導入には至っていないという課題があることを示している。
上記で見たように同じニーズに対しても様々な実現手段が存在する。「ニーズはあるが、ユーザ企業がシンクライアントしか手段がないと思いこんでしまう」ということが起きないよう、クライアントPC関連ソリューションを提供する側は数多くのニーズ実現手段があることをユーザ企業に対して啓蒙することが重要になってくる。


本リリースの元となっている「2011年版中堅・中小企業におけるクライアントPC環境の実態と展望レポート」の詳細
は右記URLを参照リンク

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TEL 03-5244-6691 FAX 03-5244-6692
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