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新日鉄、国内初6インチ口径炭化ケイ素単結晶ウェハの開発に成功

新日本製鉄株式会社 2011年12月06日 17時01分
From Digital PR Platform


新日本製鐵株式會社(社長:宗岡正二)は、このたび技術開発本部先端技術研究所において、今後の高性能パワー半導体デバイスの量産・普及のキー材料である6インチ口径の炭化ケイ素(以下、SiC)単結晶ウェハ(*1)の開発に国内で初めて成功いたしました。


1.SiCウェハは低炭素社会を実現する革新的材料

SiCウェハは、現在、ダイオード(*2)やトランジスタ(*3)などの半導体デバイス(*4)の製造に用いられているシリコンウェハに比べ、デバイスでの電力変換損失を半分以下に抑えることができます。また耐電圧性や耐熱性にも優れるため、太陽光発電や自動車(EV/HEV等)など、高電圧・高温で使用されるパワーエレクトロニクス分野に適した材料です。
このような優れた特性を持つSiCウェハを用いたパワー半導体デバイスが広く社会に普及することにより、各分野において大幅な電力損失低減が実現でき、大きな省エネルギー・CO2削減効果が期待されています。

2.6インチ口径SiCウェハの効果
  ~SiCデバイスの製造コスト低減と適用分野の拡大~

現在市販されている高品質SiCウェハは、3インチおよび4インチ口径が主流となっており、これらのSiCウェハを前提とした半導体デバイスの開発・商品化が各半導体メーカーにより進められていますが、デバイス生産の効率化および大電流・高電圧分野のSiCデバイスの開発・商品化に対するニーズが非常に強く、これらのニーズに対応する大口径のSiCウェハが求められていました。
SiCウェハの6インチ化により、現在、商品化されている家電用インバーター(*5)、IT用電源、太陽光発電用パワーコンディショナー(*6)向けのSiCデバイスの生産効率が向上し、デバイスの製造コストの低下が期待されます。
また、6インチウェハの実現により、より大電流・高電圧を制御する大面積デバイスの製造が可能となり、自動車(EV/HEV等)、高速鉄道など、さらに広い分野にSiCデバイスを適用することが可能になります。
このため6インチSiCウェハは、これまで経済産業省国家プロジェクトにおいても、省エネ技術を基幹とする産業競争力強化を推進する次世代材料として研究開発が進められてきました。

3.6インチ口径SiCウェハの開発
  ~独自の設備機構・操業条件の開発により、大口径の課題を克服~

SiC単結晶は、通常、昇華再結晶法と呼ばれる方法により製造されます。この方法では、摂氏2500度以上の超高温に加熱された製造装置中で、粉末状のSiC原料から昇華させた蒸気を、種結晶上に再結晶化させることによりSiC単結晶の成長を行います。当社は、長年の研究開発により確立した独自の昇華再結晶法により、平成19年に高品質4インチウェハを国内で先駆けて実現し、量産化技術を確立、平成21年度より新日鉄マテリアルズ株式会社においてSiCウェハの販売を行ってまいりました。
昇華再結晶法は超高温での化合物結晶成長であるため、プロセス制御が難しく、結晶口径の拡大に伴い、結晶欠陥(*7)や熱負荷による結晶割れが発生する傾向が大きくなることが課題でした。
当社はこれらの問題を解決する研究開発を加速、数値シミュレーション技術をベースに、6インチ大口径化に適した超高温設備機構およびプロセス操業条件を開発し、大口径の結晶成長における結晶欠陥や結晶割れを抑制し、国内で初めて6インチの開発・製造に成功しました。
なお、本研究開発の一部は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)課題設定型産業技術開発費助成金「低炭素社会を実現する新材料パワー半導体プロジェクト」による助成を受けて実施したものです。


今後、6インチウェハの量産化製造技術確立に向けたさらなる品質安定化および生産性向上技術開発、および6インチSiCエピタキシャル膜(*8)製造技術開発を進めていき、事業体である新日鉄マテリアルズ株式会社での製造販売による6インチSiC単結晶ウェハ製品の市場供給を実現し、ワールドワイドでのSiCデバイスの本格普及化に向けて貢献していく予定です。



【お問い合わせ先】
新日本製鐵株式會社 総務部 広報センター  鈴木 TEL:03-6867-2135
同 技術開発本部 先端技術研究所  矢野 TEL:0439-80-2679  藤本 TEL:0439-80-3180



【用語解説】
(*1) SiC(Silicon carbide)・SiC単結晶ウェハ
SiCは炭素とケイ素が1:1で結合した化合物。ダイヤモンドとシリコンの性質を併せ持ち、硬度、耐熱性、化学的安定性に優れた素材。
SiC単結晶ウェハは炭素とケイ素が原子レベルで規則正しく並んだもの(単結晶)を円盤状に切り出したもの。半導体用途で使用される。

(*2) ダイオード
半導体デバイスの一種。一方向のみに電流を流すことのできる高効率・高耐電圧整流器。

(*3) トランジスタ
半導体デバイスの一種。高効率・高耐電圧な高速スイッチング素子であり、電界効果トランジスタ(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:MOSFET)や、より大電力を制御可能なバイポーラートランジスタ(Bipolar Junction Transistor:BJT)が代表例。

(*4) 半導体デバイス
半導体による電子部品、または電子部品の根幹である機能中心部の素子。半導体デバイスにはトランジスタ、ダイオード、集積回路(IC・LSI)、抵抗、コンデンサなどがある。テレビ、携帯電話、コンピュータといった電気製品(電子機器)のほとんどに内蔵され、さらに自動車や各種産業機器などにもコンピュータなどの形で組込まれている。特に、SiC単結晶ウェハを用いて作製されたものを、SiC半導体デバイスと呼ぶ。

(*5) インバーター
直流電力から交流電力を生成する、電力変換機器の一種。生成する交流電力の周波数を制御することにより、組み込んだシステムのエネルギー効率を高めることが可能となる。

(*6) パワーコンディショナー
太陽光発電システム等で太陽電池が発電した直流電気を家庭で利用できるように交流電気に変換する機器。

(*7) 結晶欠陥
SiC単結晶中の原子配列の乱れを広く示す。半導体デバイスの特性劣化の一因になる。

(*8) SiCエピタキシャル膜
SiC単結晶ウェハの表面上に成膜したSiC単結晶薄膜。


以 上


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