「FEIBA」(ファイバ)の定期投与療法に関する試験結果がThe New England Journal of Medicine誌に掲載

バクスター株式会社 2011年11月16日 12時00分
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この資料は、米バクスターインターナショナルインクが2011年11月2日に発表しましたプレスリリースを日本語に翻訳再編集し、皆様のご参考に供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。

2011年11月2日、米国イリノイ州ディアフィールド発

「FEIBA」(以下、「ファイバ」)(乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体)の定期投与療法に関する医師主導試験の結果が「The New England Journal of Medicine」誌に本日掲載されました。本試験は、「ファイバ」の定期投与療法がオンデマンド療法(出血時投与)に比べ、インヒビターを保有する重症血友病A患者における関節内およびその他の部位の出血頻度を低減できるかを評価したものです。インヒビターを保有する重症血友病A患者は、重篤な出血性合併症のリスクが高く、出血に対する有効な予防策はいまだ確立されていません。定期投与療法とは、それが承認されている場合、出血を予防するために治療薬を予防的に投与するものです。一方、オンデマンド療法とは、出血時のみ治療薬を投与するものです。

「血友病治療における最大の課題は、インヒビターの発生です。インヒビターの発生は若年患者にしばしば見られ、出血のコントロールを困難にし、生命を脅かす場合もあります。本医師主導試験は、『ファイバ』の定期投与による出血事象を低減する効果を評価することを目的とし、前向き無作為化対照臨床試験としてはじめて実施されたものです。現状では血友病インヒビター治療の選択肢が限られていることから、本試験結果に期待が持たれます」と、バクスターのバイオサイエンス事業部臨床担当バイスプレジデントであるブルース・ユーエンスタイン博士(Bruce Ewenstein, M.D., Ph.D)は述べています。

本試験「Pro-FEIBA」(Prophylaxis with Factor Eight Inhibitor Bypassing Activity:第VIII因子インヒビター迂回活性による定期投与)では、「ファイバ」を6ヵ月間定期投与された重症血友病A患者の定期投与期間中の出血は平均5回だったのに対し、オンデマンド療法を受けた患者の出血は平均13.1回であり、「ファイバ」の定期投与により出血傾向が62%抑制されたことが確認されました。プロトコールでは、定期投与による治療成果を出血傾向の50%以上の抑制と定義し、定期投与療法群の62%(26例中16例)の患者がそれに該当しました。この高い治療効果が得られた患者においては、出血頻度は84%抑制されました。一方、定期投与期間中の出血傾向の抑制が50%に満たなかった患者は、定期投与療法群の38%(26例中10例)にあたり、これらの患者においては、出血頻度は28%抑制されました。2例においては定期投与期間中、出血事象の増加が認められました。

副次的評価項目は関節内出血および標的関節内出血としました。定期投与期間中、定期投与療法群の関節内出血は平均4.2回だったのに対し、オンデマンド療法群の関節内出血は平均10.8回であり、「ファイバ」の定期投与により関節内出血が61%抑制されたことが確認されました。標的関節(肘、膝、足首などの最も出血しやすい部位)の出血は、72%抑制されました。標的関節内出血が認められた患者は18例から11例に減少しました。出血事象の減少が認められた患者はすべて、週3回の「ファイバ」(85 U/kg ± 15%)の投与を受けていました。

試験薬に関連する有害事象としてアレルギー反応が認められました。また、3例(9%)において、中心静脈内投与用のデバイスに関連する複数の有害事象(感染、出血、ラインの留置および抜去を含む)が認められました。

本試験では、6ヵ月という比較的短い投与期間において関節内出血を含む出血傾向の抑制が確認されましたが、より長期間かつ大規模の並行群間比較試験において、インヒビター保有血友病A患者における「ファイバ」の定期投与の安全性と有効性をさらに検討する必要があります。また、本試験から、患者の年齢と定期投与療法のベネフィットの関連性について結論を導き出すことはできないと報告されています。現在バクスターが実施している臨床試験「FEIBA PROOF」では、高力価インヒビターを保有する血友病患者を対象に、オンデマンド療法と比較した「ファイバ」の定期投与療法の有効性および安全性を評価しています。

本医師主導試験「Pro-FEIBA」は、米国・ニューオーリンズののシンディ・レッシンガー博士(Cindy Leissinger, M.D., Louisiana Center for Bleeding and Clotting Disorders, Tulane University Medical Center)およびイタリア・ミラノのアレッサンドロ・グリンゲリ博士(Alessandro Gringeri, M.D., Department of Medicine and Medical Specialties, Fondazione IRCCS Cà Granda, Ospedale Maggiore Policlinico and Università degli Studi di Milano)の試験責任医師により実施されました。試験責任医師は、試験デザイン、データ収集および解析、論文の執筆および提出を含む、試験のあらゆる側面を監督しています。バクスターは、試験薬「ファイバ」の提供とともに、試験実施と論文執筆を支援するための資金提供を行いました。論文はその後、著者により修正され、精度と完全性が担保されています。

■試験デザインについて

本医師主導試験「Pro-FEIBA」では、インヒビターを保有する重症血友病A患者における関節内およびその他の部位の出血傾向の抑制について、6ヵ月間の定期投与と出血時投与を比較した「ファイバ」のの安全性と有効性を検討しました。投与開始6ヵ月後(オンデマンド療法群12例、定期投与療法群14例)、3ヵ月のウォッシュアウト期間を経て、それぞれの治療群がもう一方の療法を受けるクロスオーバー方式により実施されました。クロスオーバー試験は、並行群間試験に比べ少ない症例で実施することができ、妥当性のある結果を得ることができます(※1)。本試験には34人の患者が登録され、26人の患者のデータが最終解析されました。


■血友病A・Bおよびインヒビターについて

血友病は、主として男性に発症する遺伝性の血液凝固異常症であり、血液が凝固するために必要な凝固たん白を十分に産生することができない、または凝固たん白が欠乏している疾患です。血液凝固第VIII因子が欠乏しているのが血友病A、第IX因子が欠乏しているのが血友病Bです。血友病患者の出血量と出血速度は健常者と変わりませんが、止血に時間がかかるのが血友病の特徴です。

血友病Aの罹患率は出生男子5,000人に1人とされています。血友病は遺伝性の疾患ですが、患者の約30%は家族歴がなく、患者本人またはその母親の遺伝子の突然変異に起因します。世界血友病連合によると、全世界に40万人以上の血友病患者がいるとされ、人種や経済圏に関係なく発症します。日本には、4,394人の血友病A患者および952人の血友病B患者がいると報告されています(※2)。

インヒビターの発生は、血友病治療に関連する最も重篤な有害事象のひとつとされています。インヒビターの発生率は重症血友病A患者の10人に3人、血友病B患者の20人に1人と示唆されています。インヒビターは、血液凝固因子製剤の補充療法を受けている血友病患者に発生しうる抗体で、凝固因子製剤の作用を阻害し、出血のリスクを上昇させます。インヒビターを保有する血友病患者は、保有しない患者に比べ、コントロールできない出血のリスクが高く、止血がより困難になります。その結果、手術の必要性や手術の複雑性が増す合併症を発症する可能性があります。

本ステートメントは、科学情報として提供するものであり、それ以外の一切の目的はありません。


■「ファイバ」について

米国において「ファイバ」の定期投与は承認されていません。また、カナダ、イタリア、オランダ、イスラエル、オーストラリア、ニュージーランド、日本、韓国、台湾においても、定期投与の適応は承認されていません。


■バクスターについて

バクスターインターナショナルインク(NYSE: BAX)は、血友病や免疫不全、感染症、腎疾患、外傷などに対する医薬品・医療機器を開発および製造販売し、患者さんの救命や生命維持に貢献しています。多様性に富んだグローバルヘルスケア企業として、医薬品、医療機器、およびバイオテクノロジーの専門技術を活用し、世界の医療の向上に寄与する製品を創出します。


■バクスター株式会社について

バクスター株式会社は、腎不全、血友病、輸液、麻酔、疼痛管理の領域に特化した世界的なヘルスケアカンパニー、米バクスターインターナショナルインクの日本法人です。医薬品、医療機器、バイオサイエンステクノロジーを中心とした医療サービスを患者さんや医療現場に提供し、医療に新たな価値を創造します。

バクスターおよびファイバはバクスターインターナショナルインクおよびその子会社と関連会社の登録商標です。


1. Louis TA, Lavori PW, Bailar JC, 3rd, Polansky M. Crossover and self-controlled designs in clinical research. N Engl J Med 1984;310:24-31.
2. 2010年度厚生労働省委託事業「血液凝固異常症全国調査」

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