2011年中堅・中小企業における「CRM」の利用実態とユーザ評価

ノークリサーチは2011年の国内中堅・中小市場における「CRM」の利用実態とユーザ評価に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。

<ASP/SaaS形態やモバイル端末活用といったシステム面の変化だけでなく、
導入済みユーザ企業が成果を得られる教育/サポートの充実化が重要>
■多様な製品/サービスでシェアを少しずつ分け合う状況下、「Salesforce CRM」が首位
■ASP/SaaS形態の伸長は一段落の兆し、スマートフォンの企業内利用の増加も緩やか
■導入済みユーザに製品/サービスの更なる使いこなしを教育/サポートする必要がある

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2011年11月8日

2011年中堅・中小企業における「CRM」の利用実態とユーザ評価

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニTEL:03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)は2011年の国内中堅・中小市場における「CRM」の利用実態とユーザ評価に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。本リリースは「2011年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の「CRM」カテゴリに関する速報である。


<ASP/SaaS形態やモバイル端末活用といったシステム面の変化だけでなく、
導入済みユーザ企業が成果を得られる教育/サポートの充実化が重要>
■多様な製品/サービスでシェアを少しずつ分け合う状況下、「Salesforce CRM」が首位
■ASP/SaaS形態の伸長は一段落の兆し、スマートフォンの企業内利用の増加も緩やか
■導入済みユーザに製品/サービスの更なる使いこなしを教育/サポートする必要がある


調査対象: 日本全国の年商500億円未満の中堅・中小企業(有効回答件数1400件)に属し、以下いずれかの権限を持つ社員
「情報システムの導入や運用/管理の作業を担当している」
「情報システムに関する製品/サービスの選定または決裁の権限を有している」
調査実施時期: 2011年8月
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照リンク


■多様な製品/サービスでシェアを少しずつ分け合う状況下、「Salesforce CRM」が首位

以下グラフは年商500億円未満の国内中堅・中小企業全体における導入済の「CRM」製品/サービスの導入社数シェアを示したものである。※調査対象となった製品/サービスの一覧は末頁の「調査対象製品/サービス一覧」を参照
2010年のシェア上位は「SiebelCRM」「PeopleSoftEnterpriseCRM」「顧客奉行21」の順であった。2011年は「SalesforceCRM」「Microsoft DynamicsCRM/CRMOnline」「顧客奉行21」の順となり、シェア順位が大きく変わっている。
元々、CRMについては導入率が低く、CRMが注目された初期の段階で導入を行った中堅企業に採用された製品/サービスがシェア上位を維持する状態が続いていた。しかし、こうした初期段階での導入された製品/サービスが老朽化する一方で、「SalesforceCRM」「Microsoft DynamicsCRM/CRMOnline」といった新しい製品/サービスの存在感が増してきている。
「SalesforceCRM」については2010年の段階でシェア四位に位置付けており、その伸びを持続した結果、2011年にはシェア首位になったという状況である。


■ASP/SaaS形態の伸長は一段落の兆し、スマートフォンの企業内利用の増加も緩やか

以下のグラフは「CRM」製品/サービスの運用形態および端末形態について、導入済みと新規導入予定を比較したものである。
新規導入予定の製品/サービスの運用形態を導入済みの運用形態と比較すると、パッケージが導入済みでは65.5%、新規導入予定では80.0%となっている。逆に、独自開発は導入済みでの24.5%から新規導入予定では22.9%と減少しており、パッケージへの遷移が継続している状況がうかがえる。
一方、ASP/SaaS形態に関しては導入済みの10.0%に対して新規導入予定は5.7%の若干の減少が見られる。サンプル数が少ない点に留意する必要があるが、昨年から続いたASP/SaaS形態の採用については、アーリアダプタでの採用が一巡している可能性がある。
CRMは一般消費者との接点となることも多いため、携帯電話やスマートフォンを端末環境として想定する割合は元々高い。だが、スマートフォンについては導入済みでの10.0%から新規導入予定での11.4%と急激には伸びず、ユーザ企業自身がCRMを利用する際の端末環境としてのスマートフォンの増加は比較的緩やかといえる。


■導入済みユーザに製品/サービスの更なる使いこなしを教育/サポートする必要がある

本調査では
「導入/サポートの価格は妥当か」
「機能が足りているか」
「動作が軽快かどうか」
「自社の要件に合致しているか」
「初めてのユーザもすぐに操作を習得できるか」
「慣れたユーザにとって操作が煩わしくないか」
「他システムとの連携手段が整っているか」
「不具合や誤動作はないか」
「プログラミングによる機能の追加/変更(カスタマイズ)がしやすいか」
「設定変更などプログラミングを伴わない形での機能の追加/変更がしやすいか」
といった数多くの項目について五段階評価で製品/サービス別にユーザ企業による評価を行っている。
以下から次頁にかけてのグラフはそのうちの「導入/サポートの価格は妥当か」「機能が足りているか」「プログラミングによる機能の追加/変更(カスタマイズ)がしやすいか」について、シェア上位の製品/サービスにおける評価結果を運用形態別に集計したものである。※評価ポイントの算出方法は次頁末尾を参照
「導入/サポートの価格」についてはASP/SaaS形態における評価が低い。これは「ASP/SaaS形態は自社内運用よりもはるかに低コストである」といったユーザ企業側の過剰な期待の裏返しである可能性が高い。ASP/SaaS形態であっても、自社の要件や社内システム構成に合わせた導入/運用時の最適化が必要である点をユーザ企業に引き続き啓蒙する必要がある。
また「機能の充足度」や「カスタマイズ容易性」についてはパッケージの評価が高い。その中でも「顧客奉行21」など、どちらかといえば旧来型に属する製品が高い評価を得る傾向にある。一方、「SalesforceCRM」に代表されるASP/SaaS形態でも項目やロジックの追加といった独自開発並みの作り込みをユーザ企業が自ら行うことも可能である。さらに「SalesforceCRM」の場合には必要があればPaaS基盤である「Force.com」とも併用できる。にもかかわらず、ASP/SaaS形態におけるこれら二つの項目の評価は高くない。
このことから、「機能の充足度」や「カスタマイズ容易性」を求める比較的新しいユーザ企業が各製品/サービスの持つ機能を十分に使いこなせていない状況がうかがえる。ベンダ側としては既に導入済みのユーザ企業に対する教育やサポートの強化といった取り組みを検討すべきと考えられる。

【評価ポイント算出方法】
五段階評価結果を「大変不満:-5ポイント」「多少不満:-3ポイント」「どちらでもない:0ポイント」「まあまあ満足:3ポイント」「大変満足:5ポイント」と重み付けし、ある評価項目「項目a」について、「A社の「大変不満」という回答件数= H1」「A社の「多少不満」という回答件数= H2」「A社の「どちらでもない」という回答件数= H3」「A社の「まあまあ満足」という回答件数= H4」「A社の「大変満足」という回答件数= H1」と定義した場合に、以下の計算式によって算出している。
A社の項目aに関する評価ポイント
= ( H1×(-5) + H2×(-3) + H3×0 + H4×3 + H5×5) ÷ A社の項目aに関する回答件数合計
(各製品/サービスの利用件数自体が少ない場合には、その点に留意が必要である)


■調査対象製品/サービス一覧

今回の調査対象として導入シェアや評価における選択肢として挙げた製品/サービスは以下の通りである。

PeopleSoft Enterprise CRM/日本オラクル
Siebel CRM/日本オラクル
Vantive/三井物産
BroadVision/ブロードビジョン
eMplex/エンプレックス
SMILE α 顧客管理/OSK(大塚商会)
SMILE ie CRM/SFA /OSK(大塚商会)
SMILE BS CRM/OSK(大塚商会)
顧客奉行21/OBC
PCA顧客/ピー・シー・エー
弥生顧客/弥生
COMPANY CRMシリーズ/ワークスアプリケーションズ
T-SQUARE/東芝ソリューション
eセールスマネージャー/ソフトブレーン
コムチュアCRMセレクト/コムチュア
desknet’s CAMS/ネオジャパン
desknet’s SSS/ネオジャパン
Microsoft Dynamics CRM/日本マイクロソフト
サイボウズドットセールス/サイボウズ
ひびきSALES/ドリーム・アーツ
ウェブハロー/アシスト
BizBase/アズベイス
顧客創造日報シリーズ/NIコンサルティング
NC営業サポートくん/ニッセイコム
CIRCULATE CRM/JFEシステムズ
ワンズ営業日報/ワンズファクトリー
Salesforce CRM/セールスフォース・ドットコム
Microsoft Dynamics CRM Online/日本マイクロソフト
Oracle CRM On Demand/日本オラクル
GRIDY SFA/ブランドダイアログ
上記以外のパッケージ製品またはサービス
グループウェアに付属のワークフロー機能を利用
ERPを構成する機能モジュールの一つとして利用
独自開発システム(オープンソースをベースとしたもの)
独自開発システム(ベースとなるものがない完全なスクラッチ開発)

本調査ではCRMを「顧客情報を管理/分析するアプリケーション」と定義している。
顧客情報を格納し、それを営業活動やマーケティング分析に生かすという点で営業支援システム(SFA)や顧客情報分析システムも含まれる。
ただし、顧客にメールを配信することに特化したものやコンタクトセンタ向けシステムに付随する製品/サービスは含まれない。


本リリースの元となっている「2011年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の詳細は下記URLを参照
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当調査データに関するお問い合わせ
株式会社ノークリサーチ担当:岩上由高
東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705
TEL 03-5244-6691 FAX 03-5244-6692
inform@norkresearch.co.jp
www.norkresearch.co.jp

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