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中堅・中小企業の「ERPカスタマイズ」が抱える課題とその解決策に関する調査報告

ノークリサーチは国内中堅・中小市場における「ERPカスタマイズ」が抱える課題とその解決策に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。

<カスタマイズはクラウド移行の前にERPパッケージ自身が解決すべき重要課題>
■価格/機能/自社要件適合性ではERPパッケージよりもスクラッチ開発の評価が高い
■パッケージ本体改変やアドオン開発以外の新たなERPカスタマイズ手法が求められる
■「GUIによる画面/項目の作成」「オブジェクト階層化」「独自テンプレート」が有望な手段

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2011年10月28日

中堅・中小企業の「ERPカスタマイズ」が抱える課題とその解決策に関する調査報告

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニTEL:03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)は国内中堅・中小市場における「ERPカスタマイズ」が抱える課題とその解決策に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。本リリースは「2011年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の「ERP」カテゴリに関する速報である。


<カスタマイズはクラウド移行の前にERPパッケージ自身が解決すべき重要課題>
■価格/機能/自社要件適合性ではERPパッケージよりもスクラッチ開発の評価が高い
■パッケージ本体改変やアドオン開発以外の新たなERPカスタマイズ手法が求められる
■「GUIによる画面/項目の作成」「オブジェクト階層化」「独自テンプレート」が有望な手段

調査対象: 日本全国の年商500億円未満の中堅・中小企業(有効回答件数1400件)に属し、以下いずれかの権限を持つ社員
「情報システムの導入や運用/管理の作業を担当している」
「情報システムに関する製品/サービスの選定または決裁の権限を有している」
調査実施時期: 2011年8月
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照リンク


■価格/機能/自社要件適合性ではERPパッケージよりもスクラッチ開発の評価が高い

以下のグラフは年商500億円未満の国内中堅・中小企業全体における導入済みの「ERP」製品/サービスに関し、「導入/サポートの価格は妥当か?」「機能が足りているか?」「自社の要件に合致しているか?」の三点の評価を五段階で尋ね、それらの結果を「パッケージ/サービス」「独自開発システム(OSSベース)」「独自開発システム(完全なスクラッチ)」の導入形態別にポイント換算したものである。(ポイント算出方法は末頁に記載)
スクラッチによる独自開発では自社の要件に合わせて機能を作り込める。そのため、パッケージと比べると機能の充足度や自社要件適合性の評価は高くなりやすい。一方、価格面においてはパッケージの方が優位であるはずだ。
だが以下のグラフが示すように、価格面の評価においてもスクラッチによる独自開発がパッケージを若干上回っている。これはパッケージのカスタマイズが大きく関係している。(ここでの「カスタマイズ」とは何らかの手段によってパッケージを自社が求める仕様に改変することを指す)中堅・中小企業でもERPパッケージで要件を満たすことは難しく、カスタマイズを施すケースが少なくない。その結果、パッケージ本体がバージョンアップする度にカスタマイズ部分を再度適用しなければならなくなる。こうしたERPパッケージのカスタマイズに伴う課題を解決するため、昨今では各ベンダにおける取り組みが進んでいる。以下ではこうした取り組みの内容、およびその効果についてまとめている。


■パッケージ本体改変やアドオン開発以外の新たなERPカスタマイズ手法が求められる

ERPパッケージをカスタマイズする際の手段や仕組みには以下のように幾つかの選択肢がある。
[ERP本体部分にプログラムを伴う開発作業を直接行う方法]
ERPパッケージのプログラムを直接変更する方法である。
[追加モジュールの形で作成した部品を本体に組み込む仕組み]
ERPパッケージ本体のプログラムは極力変更せず、独自作成したモジュールを付加する方法である。「SAP ERP」におけるアドオン開発などが代表例である。
[既存のテンプレートを自社向けに変更する方法]
業種別などで提供されているテンプレート(プログラム開発を伴わない設定項目を集めたもの)を自社向けに修正する方法である。
[独自のテンプレートを自社向けに個別作成する方法]
テンプレート(プログラム開発を伴わない設定項目を集めたもの)を自社向けに独自作成する方法である。ただし、ERPパッケージ自体がある程度の自由度を持った機能設定(コンフィギュレーション)の能力を持っていることが前提となる。
[カスタマイズ部分と本体のオブジェクト階層を分ける方法]
オブジェクトを階層化し、コア部分/業種共通部分/テンプレート部分/個別カスタマイズ部分といった複数階層に分離することで、個別カスタマイズがパッケージ本体のバージョンアップなどに影響を与えないようにする仕組みである。「Microsoft Dynamics AX」などで採用されている。
[ユーザ自身がグラフィカルに画面や項目を追加/作成できる仕組み]
ERPパッケージが自身の機能を変更できる機能を持ち、ユーザ企業がWYSWIG形式で画面や項目を追加/作成できる仕組みである。「SMILEシリーズ」の「Custom AP Builder」などが代表例である。
以下のグラフは「導入/サポートの価格は妥当か?」に関する評価ポイント算出結果を上記のカスタマイズ手段別に集計したものである。「ユーザ自身がグラフィカルに画面や項目を追加/作成できる仕組み」「カスタマイズ部分と本体のオブジェクト階層を分ける方法」「独自のテンプレートを自社向けに個別作成する方法」における評価が高いことがわかる。
以降の頁ではさらに別の評価項目に関する結果も掲載し、理想的なERPカスタマイズ手段について述べている。
以下のグラフは「機能が足りているか?」に関する評価ポイント算出結果を前頁のカスタマイズ手段別に集計したものである。
「ユーザ自身がグラフィカルに画面や項目を追加/作成できる仕組み」「カスタマイズ部分と本体のオブジェクト階層を分ける方法」「独自のテンプレートを自社向けに個別作成する方法」における評価が高いが、「ERP本体部分にプログラムを伴う開発作業を直接行う方法」も同程度の評価を得ていることがわかる。
以下のグラフは「自社の要件に合致しているか?」に関する評価ポイント算出結果を前頁のカスタマイズ手段別に集計したものである。
「ユーザ自身がグラフィカルに画面や項目を追加/作成できる仕組み」「独自のテンプレートを自社向けに個別作成する方法」における評価が高いが、「ERP本体部分にプログラムを伴う開発作業を直接行う方法」も同程度の評価を得ていることがわかる。
以下の頁ではこれら三つの観点からの評価を元に望ましいERPカスタマイズ手段について考察している。


■「GUIによる画面/項目の作成」「オブジェクト階層化」「独自テンプレート」が有望な手段

ERPカスタマイズにおける「価格評価」は『パッケージ本体のバージョンアップと個別カスタマイズを如何に分離するか?』がカギとなる。ERPパッケージ本体の改変やアドオン開発はバージョンアップ時に不整合が生じる可能性があり、コストが増加しやすいといえる。既存テンプレートの活用はプログラム的な影響がほとんどないが、既存テンプレートで要件が充足されるケースは少なく、本体改変やアドオン開発と併用されることが多い。そのため、「価格評価」が低いものと推測される。「価格評価」が高い三つの手段はいずれも大きな差がなく、『パッケージ本体のバージョンアップと個別カスタマイズの分離』という観点では「ユーザ自身がグラフィカルに画面や項目を追加/作成できる仕組み」「カスタマイズ部分と本体のオブジェクト階層を分ける方法」「独自のテンプレートを自社向けに個別作成する方法」のいずれかが有効な選択肢といえる。
「機能の充足度」と「自社要件適合性」の評価においては『機能の追加/変更が容易か?』がカギとなる。柔軟性という点ではERPパッケージ本体にプログラム改変を施す方法が有利であり評価も高いが、前述の「価格評価」とは両立しない。そのため、「価格評価」が高い三つの手段の中で、「機能の充足度」と「自社要件適合性」の評価も高い手段を選ぶのが得策ということになる。
「ユーザ自身がグラフィカルに画面や項目を追加/作成できる仕組み」はプログラミングスキルが不要な点や、項目単位の細かい機能変更が可能な点などから、「機能の充足度」と「自社要件適合性」のいずれも高い評価となっている。
「独自のテンプレートを自社向けに個別作成する方法」は機能そのものが不足していた場合の追加が難しいが、設定項目を調整することで自社要件に合わせることができればコスト面でも優位な手段となる。
「カスタマイズ部分と本体のオブジェクト階層を分ける方法」はユーザ側が個別にカスタマイズしたいと考える改変がユーザによる変更が許されるオブジェクト階層で可能かどうか?が大きく影響する。要件内容によってはSIパートナに対してのみ変更が許されるオブジェクト階層での改変が必要となる場合もある点に注意が必要だ。
一部のユーザ企業の中にはERPパッケージのカスタマイズに起因する課題がクラウド移行によって解決するといった誤解も見られる。だが、クラウドはあくまで情報システムを運用する形態の一つに過ぎず、設置場所を自社内からデータセンタへ移したとしても課題は解消されない。幸いにして、これまで述べたようなERPパッケージ本体の改変やアドオン開発に留まらない様々なカスタマイズ手段が登場してきている。クラウド移行の前に、まず「価格/機能/自社要件への適合性」の三つを両立させるためのERPパッケージの改善/選定を検討することが重要である。


【評価ポイント算出方法】
五段階評価結果を「大変不満:-5ポイント」「多少不満:-3ポイント」「どちらでもない:0ポイント」「まあまあ満足:3ポイント」「大変満足:5ポイント」と重み付けし、ある評価項目「項目a」について、「Aにおける「大変不満」という回答件数= H1」「Aにおける「多少不満」という回答件数= H2」「Aにおける「どちらでもない」という回答件数= H3」「Aにおける「まあまあ満足」という回答件数= H4」「A社における「大変満足」という回答件数= H1」と定義した場合に、以下の計算式によって算出している。
Aにおける項目aに関する評価ポイント
= ( H1×(-5) + H2×(-3) + H3×0 + H4×3 + H5×5) ÷ Aの項目aに関する回答件数合計
(Aが選択された件数自体が少ない場合には、その点に留意が必要である)

本リリースの元となっている「2011年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の詳細は下記URLを参照
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