2011年中堅・中小企業における「給与管理」の利用実態とユーザ評価

ノークリサーチは2011年の国内中堅・中小市場における「給与管理」の利用実態とユーザ評価に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。

<シェア上位二製品の堅調さが目立つが、OSSも見えない競合として留意が必要>
■「給与奉行」と「弥生給与」が上位を堅持、三位以降のシェアは僅差で変動しやすい状態
■運用アウトソース増加の兆しが見られるが、業務自体の委託は中堅上位企業に限られる
■製品/サービス間だけでなく、OSSベースの独自開発システムとの評価比較に留意すべき

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2011年10月21日

2011年中堅・中小企業における「給与管理」の利用実態とユーザ評価

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニTEL:03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)は2011年の国内中堅・中小市場における「給与管理」の利用実態とユーザ評価に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。本リリースは「2011年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の「給与管理」カテゴリに関する速報である。


<シェア上位二製品の堅調さが目立つが、OSSも見えない競合として留意が必要>
■「給与奉行」と「弥生給与」が上位を堅持、三位以降のシェアは僅差で変動しやすい状態
■運用アウトソース増加の兆しが見られるが、業務自体の委託は中堅上位企業に限られる
■製品/サービス間だけでなく、OSSベースの独自開発システムとの評価比較に留意すべき


調査対象: 日本全国の年商500億円未満の中堅・中小企業(有効回答件数1400件)に属し、以下いずれかの権限を持つ社員
「情報システムの導入や運用/管理の作業を担当している」
「情報システムに関する製品/サービスの選定または決裁の権限を有している」
調査実施時期: 2011年8月
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照リンク


■「給与奉行」と「弥生給与」が上位を堅持、三位以降のシェアは僅差で変動しやすい状態

以下グラフは年商500億円未満の国内中堅・中小企業全体における導入済の「給与管理」製品/サービスの導入社数シェアを示したものである。※調査対象となった製品/サービスの一覧は末頁の「調査対象製品/サービス一覧」を参照
2010年のシェア上位は「給与奉行(21/iシリーズ)」「弥生給与」「GLOVIAsmart人事給与」の順だったが、2011年は「給与奉行(21/iシリーズ)」「弥生給与」「PCA給与」の順となっている。「給与奉行(21/iシリーズ)」「弥生給与」の上位二製品と比較すると三位以降の製品はシェアにほとんど差がなく、三位以降のシェア順位は変動しやすい状態といえる。
「PCA給与」については2010年から2011年にかけて目立って導入件数が伸びたわけではないが、旧来からの顧客を失うことなく着実に実績を積み上げてきたことが今回の結果につながったと考えられる。


■運用アウトソース増加の兆しが見られるが、業務自体の委託は中堅上位企業に限られる

以下のグラフは「給与管理」製品/サービスの運用形態および端末形態について、導入済みと新規導入予定を比較したものである。
新規導入予定の製品/サービスの運用形態を導入済みの運用形態と比較すると、パッケージと独自開発の比率に大きな変化はなく、パッケージへの遷移は一段落した状態と見ることができる。ただし、パッケージの中で運用をアウトソースする割合は増加しており、ユーザ企業が外部委託による運用/管理コスト削減を図ろうとする動きが見られる。
ASP/SaaS形態については導入済みが2.2%であるのに対し、新規導入予定が3.8%と若干の増加が見られる。これらはITアプリケーションのASP/SaaS形態による利用というよりは、給与業務そのものをアウトソースしようとする年商300億円以上の中堅上位企業などに限定された動きである点に注意する必要がある。
端末環境についてはスマートフォン、タブレット端末いずれも割合は極めて低い。新規導入における数値の低さも踏まえると、給与管理においてこれらのモバイル端末が活用される可能性は今後も極めて低いと考えられる。


■製品/サービス間だけでなく、OSSベースの独自開発システムとの評価比較に留意すべき

本調査では
「導入/サポートの価格は妥当か」
「機能が足りているか」
「動作が軽快かどうか」
「自社の要件に合致しているか」
「初めてのユーザもすぐに操作を習得できるか」
「慣れたユーザにとって操作が煩わしくないか」
「他システムとの連携手段が整っているか」
「不具合や誤動作はないか」
「プログラミングによる機能の追加/変更(カスタマイズ)がしやすいか」
「設定変更などプログラミングを伴わない形での機能の追加/変更がしやすいか」
といった数多くの項目について五段階評価で製品/サービス別にユーザ企業による評価を行っている。
以下から次頁にかけてのグラフはそのうちの「導入/サポートの価格は妥当か」「自社の要件に合致しているか」「プログラミングによる機能の追加/変更(カスタマイズ)がしやすいか」についてのシェア上位の製品/サービスにおける評価結果である。※評価ポイントの算出方法は次頁末尾を参照
「導入/サポートの価格」はいずれの製品/サービスにおいても比較的良好な評価結果となっている。一方、「ERPを構成する機能モジュールの一つとして利用」の評価が低い。これは「給与管理モジュールを含むERP製品/サービスの機能が低い」ということではなく、「ユーザ企業側が給与管理の個別評価を事前に十分に行わないままERPに含まれる給与管理モジュールを利用した場合の評価が低い」ということを示している点に注意が必要である。この傾向は「機能の充足度」「カスタマイズの容易性」についても当てはまる。
一方で留意すべきなのはOSSベースの独自開発システムとの比較である。いずれの項目においても完全なスクラッチの独自開発との比較では、各ベンダの製品/サービスの方が概ね高い評価を得ている。だが、OSSベースの独自開発システムとの比較では同程度もしくはベンダの製品/サービスよりも高い評価を得ているケースもある。昨今ではOSSに対するユーザ企業側の抵抗感も薄れつつある。また、ユーザ企業だけでなく販社/SIerもソリューションの質を下げずに価格を抑えるための手段として再びOSSに注目しつつある。ベンダ側としては商用製品だけでなく、OSSベースについても競合として状況を注視しておく必要がある。

【評価ポイント算出方法】
五段階評価結果を「大変不満:-5ポイント」「多少不満:-3ポイント」「どちらでもない:0ポイント」「まあまあ満足:3ポイント」「大変満足:5ポイント」と重み付けし、ある評価項目「項目a」について、「A社の「大変不満」という回答件数= H1」「A社の「多少不満」という回答件数= H2」「A社の「どちらでもない」という回答件数= H3」「A社の「まあまあ満足」という回答件数= H4」「A社の「大変満足」という回答件数= H1」と定義した場合に、以下の計算式によって算出している。
A社の項目aに関する評価ポイント
= ( H1×(-5) + H2×(-3) + H3×0 + H4×3 + H5×5) ÷ A社の項目aに関する回答件数合計
(各製品/サービスの利用件数自体が少ない場合には、その点に留意が必要である)


■調査対象製品/サービス一覧

今回の調査対象として導入シェアや評価における選択肢として挙げた製品/サービスは以下の通りである。

弥生給与弥生
SMILE α 給与管理/OSK(大塚商会)
SMILE ie 人事・給与/OSK(大塚商会)
SMILE BS/is 人事給与/OSK(大塚商会)
SMILE es 人事給与/OSK(大塚商会)
給与奉行(21シリーズ) / OBC
給与奉行i (iシリーズ) /OBC
PCA給与/ピー・シー・エー
給与大臣/応研
TimeProシリーズ/アマノ
MJSLINKⅡ給与大将, Galileopt人事給与大将,ACELINK Navi CE給与/ミロク情報サービス
Socia給与システム/内田洋行, エフエム
NC給くん, GrowOne Cube給与/ニッセイコム
PRO_STAFF-α,ePro_St@ff /アイテックス
BizインテグラルePro_St@ff, SCAW人事管理システム/NTTデータビズインテグラル, NTTデータビジネスシステムズ(NTTデータシステムズ)
SuperStream CORE/ エス・エス・ジェイ
COMPANY人事・給与/ワークスアプリケーションズ
OBIC7人事情報システム/オービック
GLOVIA smart 人事給与/富士通
POSITIVE / STAFFBRAIN/ 電通国際情報サービス(ブレイニーワークス)
Generalist/ 東芝ソリューション
MONEY給与/ワークスプロダクツ
CYBER XEED /アマノビジネスソリューションズ
PayrollPro/ クロスヴィジョンインターナショナル
きずな/キズナジャパン
ERPを構成する機能モジュールの一つとして利用
上記以外のパッケージ製品またはサービス
独自開発システム(オープンソースをベースとしたもの)
独自開発システム(ベースとなるものがない完全なスクラッチ開発)


本調査では給与管理の定義を「給与支払いに関する管理機能を担うアプリケーション」と定義している。ERP製品/サービスの中にはベンダ側がERPと称していても、ユーザ企業側では特定の機能(会計管理など)しか利用しておらず、自社ではERPを導入していないと認識していることも少なくない。逆に単に基幹系業務システムを並べて、会計を中心とした簡易な連携機能を備えたものをERPと捉えている場合もある。
本調査では「ユーザ企業がERPと認識している製品/サービスは何か?」を把握することも調査の一環と捉え、「何をERPとするか?」の判断自体をユーザ企業に任せるという手法を取っており、「COMPANY」や「SuperStreamCORE」のようにユーザ企業によって「ERP」と「給与管理」に認識が分かれる可能性のある製品/サービスについてはERPと給与管理の両方のカテゴリに選択肢を設けている。それぞれのカテゴリでどれだけシェアがあるか?などを見ることで年商や業種に応じたユーザ企業側のカテゴリ認識の違いを確認することができる。

本リリースの元となっている「2011年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の詳細は下記URLを参照
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当調査データに関するお問い合わせ
株式会社ノークリサーチ担当:岩上由高
東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705
TEL 03-5244-6691 FAX 03-5244-6692
inform@norkresearch.co.jp
www.norkresearch.co.jp

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