2011年中堅・中小企業におけるBI活用の実態と展望に関する調査報告

ノークリサーチは2011年の国内中堅・中小市場におけるBI活用の実態と展望に関する調査報告を実施し、その分析結果を発表した。

<中堅・中小企業に潜在している「現場レベルのBI活用」を発掘すべき>
■基幹系業務システムに対してアドホックな集計/分析を手軽に行えるツール提供が有効
■BI関連の投資額が比較的高いと想定されるのはERP連携、会計、CRM/SFA、ECサイト
■全社的なKPI設定より、部門単位の小さなPDCAサイクルを回すコンサルティングが必要
■データ統合課題は業務システム自体の入れ替えで対処、MDM製品は軽量なものが無難
■汎用的なツールで個々の社員が集計や分析の結果を出力できる仕組みが求められる
■クラウド形態のBI活用では業務システム自体のクラウド移行が必須というわけではない

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2011年10月4日

2011年中堅・中小企業におけるBI活用の実態と展望に関する調査報告

調査設計/分析/執筆: 岩上由高

ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニTEL:03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)は2011年の国内中堅・中小市場におけるBI活用の実態と展望に関する調査報告を実施し、その分析結果を発表した。本リリースは「2011年版中堅・中小企業におけるBI活用の実態と展望レポート」のダイジェスト版である。
※図表は下記URLをご参照ください
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<中堅・中小企業に潜在している「現場レベルのBI活用」を発掘すべき>
■基幹系業務システムに対してアドホックな集計/分析を手軽に行えるツール提供が有効
■BI関連の投資額が比較的高いと想定されるのはERP連携、会計、CRM/SFA、ECサイト
■全社的なKPI設定より、部門単位の小さなPDCAサイクルを回すコンサルティングが必要
■データ統合課題は業務システム自体の入れ替えで対処、MDM製品は軽量なものが無難
■汎用的なツールで個々の社員が集計や分析の結果を出力できる仕組みが求められる
■クラウド形態のBI活用では業務システム自体のクラウド移行が必須というわけではない


対象企業: 年商5億円以上~500億円未満の中堅・中小企業
対象地域: 日本全国
対象業種: 全業種
有効サンプル数: 750件
調査実施時期: 2011年7月


本リリースの元となっている「2011年版中堅・中小企業におけるBI活用の実態と展望レポート」の詳細は以下を参照
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■中堅・中小企業に対しては業務システム視点に立った「現場レベルのBI活用」訴求が有効

従来、BI活用はデータウェアハウス構築を伴う高コストのソリューションであり、中堅・中小企業にとっては敷居の高いものだった。
だが、近年では日本IBMの「Cognos Express」、日本オラクルの「Business Intelligence SE One」、SAPジャパンの「SAP BusinessObjects Edge」、日本マイクロソフトの「SQL Server 2008」などといったようにコストのかかるデータウェアハウス構築が不要であり、ブラウザやMicrosoft Excelをインターフェースとした「セルフサービスBI」を訴求する製品が数多く登場してきている。
さらにサーバ性能の向上やメモリの大容量化を背景に、インメモリ処理を特徴とする製品やソリューションも注目を集めている。(QlikTechの「QlikView」をベースとした大塚商会、日立製作所、アシストによる共同ソリューションなど) このようにBIはIT関連の予算や人員が限られている中堅・中小企業においても普及可能な素地を整えつつある。
ただし、中堅・中小企業におけるBI活用は経営層を対象としたものだけでなく、むしろ「現場レベルのBI活用」に注目すべきである。「現場レベルのBI活用」とは、様々な部門単位でデータの収集と分析を行い、業務改善に役立てようとする取り組みを指す。

「現場レベルのBI活用」の例
・生産ラインにビデオやパトランプを設置し、ログ記録と分析によって生産ラインの一次停止を予防する(生産管理+BI)
・経費精算における部署別/時期別の傾向を分析し、無駄な出張などがないか経理部門がチェックする(ワークフロー+BI)
・営業部門が顧客属性と案件獲得率との相関を分析し、優良顧客となりうる企業が持つ特性を洗い出す(SFA+BI)

ユーザ企業はこうした「現場レベルのBI活用」を業務システムの一部として捉えているため、『BI』というキーワードで検索をしても実態を掴むことは難しい。そこで本調査では「業務システム内のデータを有効活用する」という観点で、集計/分析を行うシステムの構成や設置形態、データを選定/抽出/出力する際の課題と解決策、クラウド形態でのBI活用の可能性などをユーザ企業に尋ね、その結果を集計/分析している。


■基幹系業務システムに対してアドホックな集計/分析を手軽に行えるツール提供が有効

以下のグラフは「見える化や集計/分析を伴うデータ活用に取り組む予定のある業務システムは何か?」を年商5億円以上~500億円未満の中堅・中小企業に尋ねた結果である。
業務システムを問わず、データベース内に格納されたデータを直接取得して集計や分析に役立てるというニーズが最も高いことが分かる。業務システムを介したデータ活用では業務システム側の改変が必要になることも多い。臨機応変で迅速なデータ活用を行うため、Microsoft Excelなど社員が使い慣れたツールをインターフェースとしてデータベース内のデータへアクセスできる手段を求める動きが今後増えていく可能性がある。
データベース以外では人事/給与システム、財務会計システム、販売管理システム、管理会計システムといった基幹系業務システムが比較的多く挙げられている。基幹系業務システムパッケージにはオプションとして集計/分析ツール(ウイングアークテクノロジーズの「Dr.SUMEA」やエヌジェーケーの「DataNature」など)と連携が可能なものも少なくない。これらの専用ツールを活用した比較的高度な集計/分析に加え、ユーザ企業は基幹系業務システム内のデータベースを必要な時に直接参照するといった安価で手軽な手段も選択肢の一つと考えている状況がうかがえる。
ただし、データベースの直接参照は基幹系業務システム内のデータをアドホックに集計/分析できる安価な手段ではあるが、データ整合性やセキュリティの観点では細心の注意が必要となる。それらの点を踏まえると、ユーザ定義によるアドホックな集計/分析を行えるツールが基幹系業務システムパッケージのオプションとして提供されるのが理想といえる本リリースの元となる「中堅・中小企業におけるBI活用の実態と展望レポート」では年商別や業種別の傾向など、さらに詳細なデータを掲載している。


■BI関連の投資額が比較的高いと想定されるのはERP連携、会計、CRM/SFA、ECサイト

以下のグラフは「見える化や集計/分析を伴うデータ活用に取り組む予定のある業務システムでのシステム構成」をデータ活用の対象となる業務システム別に年商5億円以上~500億円未満の中堅・中小企業に対して尋ねた結果である。
業務システム内のデータを活用する際に
・データ格納場所からのデータ取得は自動で行うのか、手動で行うのか?
・データの集計/分析は専用システムを用いるのか、Microsoft Excelなどの汎用ツールを利用するのか?
といった観点で選択肢を設定している。
新たなシステム投資の規模が大きくなりやすいのは「データ格納場所からデータを自動的に取り出し、専用システム上でデータ活用を行う」という選択肢が多く挙げられている業務システムである。
「ERPとの連携」「財務会計システム」「管理会計システム」といった会計を中心とした基幹系業務システムに加えて、「CRMおよびSFA」「ECサイト」といった顧客データに関連するものがこれに該当する。
また、独自開発システムについても「データ格納場所からデータを自動的に取り出し、専用システム上でデータ活用を行う」を挙げる割合が比較的高い。汎用的なデータ連携インターフェースや分析対象データを手軽に定義/指定できる仕組みを持ち、独自開発システムにBI機能を付加できるツールを提供するといったアプローチも検討の価値がある。
本リリースの元となる「中堅・中小企業におけるBI活用の実態と展望レポート」では年商別や業種別の傾向など、さらに詳細なデータを掲載している。


■全社的なKPI設定より、部門単位の小さなPDCAサイクルを回すコンサルティングが必要

「現場レベルのBI活用」を実践する際にも対象となる業務システムに格納されたデータの中でどれを対象にするかを決めるデータの「選定」、適切な形でデータを取り出す「抽出」、グラフや数表といったヒトが目で見てわかる状態に整形する「出力」の三つのプロセスを踏む必要がある。
以下のグラフは「見える化や集計/分析を伴うデータ活用に取り組む予定のある業務システムにおけるデータ選定に関する課題とその解決策」を年商5億円以上~500億円未満の中堅・中小企業に尋ねた結果である。(本リリースの元となる「中堅・中小企業におけるBI活用の実態と展望レポート」では業務システム別の課題など、さらに詳細なデータを掲載している)
ここで注目すべきなのは「活用目的が不明確であるため、そもそもどんなデータが欲しいのかがわからない」という課題が20%に達している点だ。大企業向けのBI活用では業績を左右する要因となる項目をKPIとして設定し、目標値の達成度に応じた業務改善を行うといったアプローチも多い。だが、中堅・中小企業がKPIを自ら設定することは容易でないことを上記の結果は示している。そのため、企業規模でのKPI設定ではなく、冒頭に述べた「現場レベルのBI活用」の例のように現場単位での小さなPDCAサイクルを回すことからまず始めることが有効である。
「活用目的が不明確であるため、そもそもどんなデータが欲しいのかがわからない」という課題に対する解決策としては「経営や業務改善に関するコンサルティングサービスを活用する」が約60%と最も多く挙げられている。このことから、中堅・中小企業におけるBI活用においてもコンサル面が重要な位置付けを占めることがわかる。たが、ここでのコンサルティングとはKPI設定といった高度なものではなく、部署単位で短期間に効果を確認できる取り組みを指すという点に注意が必要だ。


■データ統合課題は業務システム自体の入れ替えで対処、MDM製品は軽量なものが無難

以下のグラフは「見える化や集計/分析を伴うデータ活用に取り組む予定のある業務システムにおけるデータ抽出に関する課題とその解決策」を年商5億円以上~500億円未満の中堅・中小企業に尋ねた結果である。
セキュリティ、文字コードやデータ形式、業務システムの仕様や運用に起因する課題、マスタデータや顧客情報の重複など、課題は多岐に渡っていることがわかる。
セキュリティ面の課題についてはEAIやETLなど抽出に用いるツール側でアクセス制御などの対策を施すという発想を持つユーザ企業が多いと考えられる。
MDMについては複数個所に分散したデータを統合するという役割よりも、文字コードやデータ形式の違いを解決する手段として挙げられる割合が高い。一方、複数個所データが分散する課題に対しては業務システム自体の入れ替えを挙げる割合が高い。中堅・中小企業では業務システムの規模が大企業ほど大きくないため、データ統合に特化した手段を講じるよりも、業務システム自体の様々な課題の解決と併せて入れ替えを検討する方がコスト面で有利になりやすものと推測される。
これら結果を踏まえると、中堅・中小企業向けのMDM製品については文字コードやデータ形式の違いを吸収するといったライトな機能を持つものに抑えておくのが無難である。
一方、基幹系業務システムの製品群については会計、販売、人事、給与などの複数モジュール間のマスタデータ共有をさらに進めるといった取り組みが必要となってくる。
本リリースの元となる「中堅・中小企業におけるBI活用の実態と展望レポート」では業務システム別の課題など、さらに詳細なデータを掲載している。


■汎用的なツールで個々の社員が集計や分析の結果を出力できる仕組みが求められる

以下のグラフは「見える化や集計/分析を伴うデータ活用に取り組む予定のある業務システムにおけるデータ出力に関する課題とその解決策」を年商5億円以上~500億円未満の中堅・中小企業に尋ねた結果である。(本リリースの元となる「中堅・中小企業におけるBI活用の実態と展望レポート」では業務システム別の課題など、さらに詳細なデータを掲載している)
「活用したい切り口でデータを見るためには、その都度専任の担当者による作業が必要である」という課題の回答率が40%を越えている。キューブの生成を伴うBI活用における課題を中堅・中小企業も強く意識しており、このことは中堅・中小企業におけるBI普及の障害の一つとなっていると考えられる。
この課題への解決策としては「高度な機能を備えた専用のデータ出力ツールを新たに導入する」と「Excelなどのオフィスで使われる汎用的なツールを活用する」がほぼ同じ割合で挙げられている。いずれにしても、専任の担当者による作業を必要とせず、クライアント側でデータの切り口などをその都度指定できるツールが求められているといえる。
また、全般的に「Excelなどのオフィスで使われる汎用的なツールを活用する」や「個々の社員が活用したいデータへ直接アクセスできる環境を作る」が多く挙げられている点にも注目すべきである。
この結果から、「汎用的なツールを使って一般の社員がデータに触れることを通じ、これまで見落としていた業務上の課題などを見出したい」といった期待も少なからずあるものと推測される。


■クラウド形態のBI活用では業務システム自体のクラウド移行が必須というわけではない

以下のグラフは年商5億円以上~500億円未満の中堅・中小企業に対し、「クラウド形態のBI活用が有効と思われるシステム形態」を尋ねた結果である。ここでの「クラウド形態のビジネスインテリジェンス活用」とはデータの集計、分析、出力に必要なハードウェアやソフトウェアを所有せず、インターネット上で提供されるサービスに対して処理したいデータをアップロードする、社内の既存システムと連携させるなどの形態でデータを渡し、インターネット上のサービス側で集計/分析/出力を行うものを指す。
業務システムへの適用については「社内で運用している業務システム」と「クラウド形態の業務システム」とで回答率にあまり大きな差はない。このことから、クラウド形態のBI活用の際に業務システムのクラウド化は必須でないとユーザ企業が考えているといえる。
「PC内に格納されたデータ活用」も隠されたナレッジの共有や活用という観点では有望な分野ではあるが、いずれの年商帯においても15%前後に留まっており、ユーザ企業側でのニーズはまだ顕在化していない状態となっている。
年商50億円未満では「活用する予定はない」が約半数に達していることを踏まえると、クラウド形態のBI活用の訴求下限は年商50億円、より確実には年商100億円が区切りの目安と考えられる。
本リリースの元となる「中堅・中小企業におけるBI活用の実態と展望レポート」ではクラウド形態のBI活用において望ましいと考えられる課金体系や各課金体系毎の妥当な金額、BI関連の製品/サービスのシェアといったさらに詳細なデータを掲載している。


本リリースの元となっている「2011年版中堅・中小企業におけるBI活用の実態と展望レポート」の詳細は以下を参照
リンク

当調査データに関するお問い合わせ
株式会社ノークリサーチ担当:岩上由高
東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705
TEL 03-5244-6691 FAX 03-5244-6692
inform@norkresearch.co.jp
www.norkresearch.co.jp

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