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震災関連調査報告その3「中堅・中小企業における震災に伴うIT投資規模の変化」

株式会社ノークリサーチは、東日本大震災が中堅・中小企業に与える影響についての包括的な調査を実施した。

2011年に限定した震災関連訴求に固執せず、2012年以降を見越した施策立案が重要
▼2011年は「下地作りの年」、その取り組みを中断させないことが大切
▼業種/業態を意識した提案でサービス分野の鈍化を回避すべき
▼震災前から堅調なIT活用と節電関連対策の組み合わせが有効

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2011年5月30日

ノークリサーチQuarterly Report特別編3

調査設計/分析/執筆: 岩上由高

東日本大震災に関する調査結果報告その3
中堅・中小企業における震災に伴うIT投資規模の変化


株式会社ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1 東京芸術センター1705:代表伊嶋謙ニ03-5244-6691 URL:http//www.norkresearch.co.jp)は、東日本大震災が中堅・中小企業に与える影響についての包括的な調査を実施した。本リリースはそのうちの「中堅・中小企業における震災に伴うIT投資規模の変化」に関する結果をまとめたものである。

調査対象企業: 年商500億円未満の国内民間企業1000社の経営層および管理職
調査対象地域: 東日本大震災の被災地を含めた日本全国
調査対象業種: 組立製造業/加工製造業/建設業/流通業/卸売業/小売業/IT関連サービス業/一般サービス業/その他
調査実施時期: 2011年5月

※図表につきましては下記URLをご参照ください
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2011年に限定した震災関連訴求に固執せず、2012年以降を見越した施策立案が重要
▼2011年は「下地作りの年」、その取り組みを中断させないことが大切
▼業種/業態を意識した提案でサービス分野の鈍化を回避すべき
▼震災前から堅調なIT活用と節電関連対策の組み合わせが有効


▼IT投資全体規模の推移:2011年は「下地作りの年」、その取り組みを中断させないことが大切

以下のグラフは年商5億円以上~500億円未満の中堅・中小企業における2015年までのIT投資規模遷移を震災前と震災後の結果を並べてプロットしたものである。2011年から2015年までのCAGRは震災前が2.4%であるのに対し、震災後は2.1%に低下している。中堅・中小企業における2011年のIT投資は震災前の段階でも既に横ばい状態であり、2008年後半の金融危機以降、「中止/縮小が可能なIT投資があれば、既にそれを行っている」といった状態となっている。そのため、IT投資DI(IT投資を「増やす」とした回答率と「減らす」とした回答率の差分)は-14.0と落ち込んだものの、投資金額規模自体は2010年比で約1.5%減に留まっている。
ただし、2011年はIT投資規模では大きな変化がないものの、ユーザ企業とIT企業の双方がクラウド、PC運用管理/資産管理、仮想化といった様々なソリューションで先行事例とノウハウを蓄積し、2012年以降に向けた市場拡大の下地を作り上げるべき時期でもある。したがって2011年だけでなく、そうした取り組みが震災の影響によって遅延/停滞することでの中長期的な影響をより警戒する必要がある。2012年以降の早期回復を実現するためにも震災関連のソリューションのみに固執せず、本来のIT活用メリットを地道に訴求する取り組みが求められる。
以下の頁では年商別、カテゴリ別のIT投資規模と共に、今後のIT活用提案に関する重要ポイントについて分析している。


▼年商別/カテゴリ別の傾向:業種/業態を意識した提案でサービス分野の鈍化を回避すべき

以下のグラフは年商5億円以上~500億円未満の中堅・中小企業における2010年から2015年までのIT投資規模遷移を年商別、カテゴリ別にプロットした結果である。(グラフの下限をゼロとしているため、前頁のグラフと比べて経年変化の差が視覚上異なっている点に注意)
2011年から2015年までのCAGRを年商別に比較すると、年商が低くなるにつれて震災前後での成長率の鈍化が大きくなっており、震災の間接的要因による景気悪化の影響が大きいものと考えられる。大企業と同様にITリソース統合などに早期に取り組んでいた年商300億円以上の中堅上位企業を除くと、今回の震災が2011年以降の比較的長い期間に渡って中堅・中小企業全般に影響を及ぼす可能性が高いと推測される。
カテゴリ別CAGRを見ると、サービスの成長率がソフトウェアやハードウェアと比べて若干だが鈍くなっている。前項でも述べたように2011年はクラウドに代表されるサービス形態のソリューションにとって重要な準備期間である。サービス分野の成長鈍化を回避するためには、クラウド活用を提案する際にも災害対策など震災に関連したアプローチに限定せず、業種/業態を意識したユーザ企業の視点に立ったメリットの訴求に取り組むことが極めて重要である。

【カテゴリ分類の定義】
ソフトウェア:パッケージ購入費用とパッケージ部分に付随する保守費用を指し、さらに以下の区分を持つ
基幹系システム/ 情報系システム/ 運用管理系システム/ その他
ハードウェア:ハードウェアの購入費用およびそれに付随する保守費用を指し、さらに以下の区分を持つ
サーバ/ ストレージ/ ネットワーク/ パソコン/ その他
サービス:ソフトウェアやハードウェアといったモノ以外の役務への対価を指し、さらに以下に細分化される
受託開発/ 業務アウトソーシング/ IaaS / PaaS / SaaS / その他


▼IT投資を増やす企業の傾向:震災前から堅調なIT活用と節電関連対策の組み合わせが有効

厳しい状況下においても数は極めて少ないがIT投資を増やすと回答する中堅・中小企業も存在する。それらの企業のIT投資意向を分析することで、今後取り組むべき提案のヒントが見えてくる可能性がある。以下のグラフはソフトウェア、ハードウェア、サービスのそれぞれのカテゴリについて今後投資を増やす/減らす/変わらないといった状況を尋ね、「増やす」と回答した企業にその理由をさらに尋ねた結果である。ソフトウェア、ハードウェア、サービスのいずれにおいても「震災とは関係なく、自社の業務改善/コスト削減のためにシステム改変が必要」という理由が突出して多く挙げられていることが分かる。つまり、震災後の状況でもIT投資を増やす中堅・中小企業は継続的な業績改善/コスト削減に取り組んでいることがわかる。逆にいえば、震災前から堅調であった取り組みは何か?を確認しておくことが今後の施策立案においても有効といえる。その次に多く挙げられているのが、地震や電力不足への備えだ。ただし、クラウド活用については年商50億円以上の中堅企業が中心であり、震災に起因するクラウド導入が年商50億円未満の中小企業まで広まっているわけではない点に注意が必要である。(従来からクラウドを検討していた企業が決断を早めるケースはある)
震災に関連したIT投資の中で特に注目すべきなのはサービス関連投資理由で二番目に多く挙げられている「今後想定される電力不足に備え、消費電力の把握/削減ソリューションの実施が必要」である。予算が限られる中小企業や中堅企業の部署単位などの広い裾野をカバーするためには「コストをかけずに、直近で中堅・中小企業が懸念している課題を解決/軽減できる」ソリューションが必要となる。「震災に関する調査報告その2」では節電対策を起点としつつ、平常時にも効果が得られるソリューションが重要であることを述べたが、以下のグラフはIT投資全般という観点からもこのことを確認できる結果といえる。
PCからの情報漏洩防止といったセキュリティ関連投資は企業業績が悪化した中でも比較的堅調を保つことが多く、これらは震災の以前からクラウド活用などの機運が高まってきている。それらと消費電力の把握/削減を併せて提案すれば、中堅・中小企業としても提案を受けやすい。このように震災に関係なく堅調であるソリューションと震災に起因した課題の双方を解決でき、かつ中長期的にもメリットの得られるソリューション立案が今後さらに重要になってくると考えられる。


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株式会社ノークリサーチ
調査設計、分析、執筆:岩上由高
東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705
TEL 03-5244-6691 FAX 03-5244-6692
inform@norkresearch.co.jp
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用語解説

【カテゴリ分類の定義】
ソフトウェア:パッケージ購入費用とパッケージ部分に付随する保守費用を指し、さらに以下の区分を持つ
基幹系システム/ 情報系システム/ 運用管理系システム/ その他
ハードウェア:ハードウェアの購入費用およびそれに付随する保守費用を指し、さらに以下の区分を持つ
サーバ/ ストレージ/ ネットワーク/ パソコン/ その他
サービス:ソフトウェアやハードウェアといったモノ以外の役務への対価を指し、さらに以下に細分化される
受託開発/ 業務アウトソーシング/ IaaS / PaaS / SaaS / その他

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