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ノーク伊嶋のSMB短観09年正月版壱の太刀:SMB市場編

株式会社ノークリサーチでは、2009年のSMB市場に対する10の予測を行った。

悪化する景況感の中で、09年がどのような動きを示すのかをベンダ、チャネル、ユーザの各視点からの分析を踏まえ一連の短観での、年初のスコープとして提言するものである。本年も「SMB短観」としてSMB市場に関する様々な定点観測や専門的な分析を継続的に行い四半期毎に発表する(2月、5月、8月、11月の各9日発行予定)。

[09年のSMB市場の10大キーワード]
 ① 09年SMBのIT投資は堅調に推移する
 ② ITの「再定義」が行われる局面になっている
 ③「コスト削減」は企業活動の継続を約束しない
 ④ いらなくなる「ITリーダー」
 ⑤ 変革が必然の「IT部門(情報システム部門)」
 ⑥ 今こそ「必要なIT投資をすべき時期」
 ⑦「アナログ営業」は常に重要なキャスト
 ⑧ コアのないベンダ、チャネルの大幅な淘汰が進む
 ⑨「ピンチをチャンス」は無視。継続する意志の強さ
 ⑩ 国策として中小企業にIT活用の道を開け

① 09年SMBのIT投資は堅調に推移する
09年中堅・中小企業(ノークリサーチ定義:年商5億円から500億円の企業)でのIT投資は急激には減ることはない。ハードウェアなどで伸びが鈍化する部分はあるのは確かだが、全体としては0.7-1.7%前後の伸びとなるだろう。市場全体ではゼロ成長とみている。ちなみに09年全IT市場14兆4千億円のうち中堅・中小企業で約30%の4兆円強を占める。前回短観調査で算出した投資DI(「IT投資を増やす」という回答数比率から「IT投資を減らす」という回答数比率を減算した値)はマイナス2.7%であった。しかし、この算出方法の場合、これまで自社内のH/WやS/Wで実現していたソリューションを社外のサービス利用に切り替えるといったケースを加味することが難しい。特に投資意欲が堅調である「セキュリティ、コンプライアンス」などを考えた場合、中堅・中小企業では自社内運用よりもサービス利用が適している。また、これらの項目は企業存続に直結するものであり、経営にとって不可欠な要素だ。そのクリティカルな要件を満たすべく、ユーザ企業は投資せざるを得ない。そうした状況を踏まえると、H/W分野では-0.5-0.5%、S/W分野では1.0-2.0%、サービス分野では1.5-2.5%程度の成長率が維持されると推測される。この条件下でベンダ、販売店はその要求に応えられるかどうかが、生き残りの分水嶺となる。
※補足:従来、セキュリティ対策は高額なH/W投資を伴うものであったが、2008年以降、安価なS/Wやサービスでの提供形態が普及しつつある。そのため、2009年はこれまでセキュリティ対策に踏み切れなかった中堅・中小企業の新規導入を見込むことができる。セキュリティの脅威やコンプライアンスの必要性は経済状況とは関係なくユーザ企業が対処すべき課題として存在している。特に中堅・中小企業ではそれら課題に対する対策が未整備である。多様化するセキュリティリスクやIT利用に求められる信頼性(監査証跡など)が高まる状況において、これらに対する投資はユーザ企業の信頼維持と事業継続の観点からも不可避である。経済不況をきっかけとして、人的コスト削減をサービス利用で補うことにより、業務負荷の増減を柔軟に吸収する仕組みを構築しようとする意向が強まる。実際、前回の短観調査でも人的リソースを削減する意向が強く現れている。

② ITの「再定義」が行われる局面になっている
前近代的な役割に終始している現在の「IT」は再定義する必要に迫られている。「IT」の本来の意義は「企業活動を上のレイヤー」に持ち上げる目的という原点に立ち返るべきで、「業務管理やコスト削減だけ」がその主たる目的であるはずがない。何が不足しているか、何が足りているか?現状不足しているのは、むしろITではなく「ヒューマンスキルでありヒューマンリソース」である。すでに導入された多くのITインフラを十分に使いこなせていないことの事実に気付くべきだ。これこそが「エコ」なIT活用であり、経営資源の有効活用になるはずだ。

③「コスト削減」は企業活動の継続を約束しない
コスト削減効果はむしろ大企業に特に有効な手段であり、中小企業においてはコストの切り詰めやキャッシュフローの手当てという対処療法では立ち行かなくなってきている。「売上=仕事」そのそのものが消滅しかかっている。中小企業にとってもっとも必要な要件は「企業活動を継続するコア」を磨き、生かす方策に最大限の努力をすべきだ。そのツールとして「IT」の存在意義がある。コストカッターには中堅・中小企業は気をつけるべきだ。何を削って、何に投資するか?選択を誤ると未来の世代で居場所がなくなる。

④ いらなくなる「ITリーダー」
経済環境の悪化で、中期的なビジョンを描く余裕のないこの時期に、行うべきは全社一丸となって、経営をいかに効率的に舵取りできるかだ。ITの高い運用経費を嘆いても仕方の無いことで、今導入されている「十分に使いきっていないIT」を全社で使い倒すことなしに展望はない。もはや「ITに専心するだけのリーダー」はいらない。経営的な観点を持って、ITを使いこなすことはもちろんで、経営者自らが率先して目的達成のための手段としてのITを理解することなしには今後の展望は開けない。

⑤ 変革が必然の「IT部門(情報システム部門)」
「IT部門」は大きくその役割を変えざるを得ない。今や守りのITに余分なリソースを割く余裕などないし、便利なサービスを利用することで、余ったリソースを企業存続のための投資にまわすべきときだ。単に運用業務しか行わないIT部門はXaaSの普及と共に必要度が薄れていく。しかし、その一方で大企業を中心に企業内XaaSや企業内サービスプロバイダの構想が生まれてきている状況がある。XaaSの技術が発達しても、保守運用業務そのものが消滅するわけではない。要は保守運用業務を誰が担うか?中堅・中小企業では社外のXaaS提供企業に全てを任せることも有効な選択肢になる。その一方グループ企業を多数抱える大企業の場合には自社でXaaSを展開してしまう方がコスト面や統制面で有利な場合もある。「IT部門」の体質改善は企業規模に関係なく、待ったなしに行われることになる。

⑥ 今こそ「必要なIT投資をすべき時期」である
ユーザ企業が欲しいものは「IT」ではない。その先の経営に役立つ結果が欲しいだけである。売上があれば、それに見合うだけの経費は必然的に発生する。つまり「経費削減」が対処療法的に行うことは、「風邪をひいたので薬を飲む」程度のことで、問題は風邪をひかない丈夫な体にしたり、体調管理にひごろから気をつけたり、ひきはじめには深刻になる前に治すような本質的なことの対応が重要なことである。「経費削減」は無駄なものは省くとしても、その先にある「大事な目的の達成」を忘れてはいけない。実は今が「必要な投資」を行う時期ともいえる。

⑦「アナログ営業」は常に重要なキャスト
所有から利用へとITの利用形態が変わる潮目になっているが、結局「ユーザ企業と販売店」の関係性は強い。しかし「強い関係性を生かせない販売店は生き残れない」。ユーザ企業に確かな「戦略提案」を行えない販売店は淘汰される。もっとも身近で頼りになるのは「ヒューマンリレーション=営業マン、サポートエンジニアなど」である。ダイレクトコンタクトの関係性を持つことが重要である理由は、ユーザ企業がなかなか販売店を変えない「一穴主義」が根強いからだ。所有するか、利用するかは重要ではなく、誰がそれを提案するか、その有用性を誰が中小企業へ伝えるか、それはまさに「アナログ営業」が最適なキャストとなる

⑧コアのないベンダ、チャネルの大幅な淘汰が進む
製品、価格、チャネル、プロモーションなどのあらゆるマーケティング手段が講じられているなか、ほとんどの差別化要因がない時代になった。「デモシカ」や「流れに乗って」組のサプライヤの生き残る可能性は低い。必要最低限の「押さえ=支え」がなければ、すぐにでも淘汰の波に飲み込まれる。ハードベンダの固有のチャネルと見られていた、系列販売チャネルは文字通り解体し、ハードをマルチで扱う、ユーザにあわせた最も適切なハードを扱うようになる。ハードベンダは販売店が扱いやすくするための、あらゆるサポート、仕組みを提供しなくてはならない。ソフトウェアも全く同様だ。

⑨「ピンチをチャンス」は無視しろ。必要なことは継続する意志の強さ
「ピンチこそチャンスに」という精神論では全く意味がない。ゼロサムになった経済環境で、生き残れるのは、チャンスをものにした企業が勝ち、ピンチで打ち込まれた企業が負けとなる。09年以降、生き残れた企業だけが、次の成長ステージに進める切符を手に入れる。ピンチを正しく認識して、最大限のリスクヘッジをとり、企業活動をドライブさせるには、「自社のコアを認識」して、「どこにポジションを取るべきか」の判断と、それを貫き通す継続する意志の強さ」になる。ITベンダでもユーザ企業でも全く同じことだ。09年に置かれた状況は同じで、「悪天候の航行をどのように乗り切るか」が肝要だ。

⑩ 国策として中小企業にIT活用の道を開け
国策として減税、定額給付金の支給、中小企業に対する貸し渋り対策として金融機関への公的資金の注入を打ち出しているが、緊急的な措置で根本的な解決には至らない。下請けの多い中小企業では、国策により一時的な貸し渋りが解消されても、景気の悪化に伴い、仕事量の減少、経営状況の悪化は目に見えている。中小企業の競争力の強化、下請け体質脱却のための直接的な施策が早急に必要とされている。地方の中小企業をITで活性化させることができる、(地方のIT関連企業が地元の中小企業に提案、開発を行う)IT企業もユーザ企業も生き延びることができる、一石二鳥の効果を生むには、国策レベルでの強い後押しが必要だ。ただし国が自ら運営するSaaS基盤は刺激剤にはなるが、効果が高い施策の1つとは言いがたいことは明白だ。

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