通信事業者セキュリティサービス、海外進出企業にあわせた体制強化が必要

 IDC Japanは12月16日、「国内通信事業者のセキュリティサービス市場規模予測」を発表した。2010年は前年比7.9%増の3099億円となる見込みであり、2011年には前年比12.3%増の3480億円になると予測している。

 2009〜2014年の市場規模推移を分析すると、年間平均成長率(CAGR)は12.4%で2014年の市場規模は5154億円に達する。内訳は、コンサルティングサービスが591億円(CAGRは11.3%)、システム構築サービスが1138億円(同8.4%)、システム運用管理サービスが3417億円(同14.1%)、教育・トレーニングサービスが7億円(同16.1%)と予測している。

 景気後退の影響から大型案件は凍結、延期されるケースが多かったが、リース会計基準の変更への対応やコスト削減を目的として、大企業では自前構築からアウトソーシングサービスへのシフトが継続しているという。一方、IT予算は抑制傾向が続いており、セキュリティサービスでも価格圧力が継続。セキュリティサービスの各機能を単体で提案すると、サービス機能ごとの価格比較となり、単価や利益率の低下が課題となっていると同社は分析している。

 また、生産、販売、開発の拠点として海外展開を進める企業が増加しており、グローバルにガバナンスを利かせる手段として、マネージドセキュリティサービスの需要が高まっていることを受け、グローバルキャリアは、M&Aや他社との提携を通じて、提供エリアの拡大やサービスの標準化への取り組みを進めていると説明している。

 同社コミュニケーションズ シニアマーケットアナリストである川上晶子氏は「事業者は価格競争を回避するため、幅広い品揃えによる総合提案や段階的なアウトソーシングへの移行プランの提案を行うことで、顧客あたりの単価を高め、収入基盤の拡大を図るべき」としており、またグローバル企業のニーズに対応できる体制作りも必要であるとしている。

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