東芝が「医療」に挑戦する理由血液一滴のがん検査やゲノム解析の
要素技術が切り拓く未来

新しいことに柔軟・寛容な「ベンチャースピリット」が息づいている

精密医療分野の研究・技術開発は東芝のなかでは新規事業にあたるかと思います。すぐには利益につながりにくい新規事業について、会社側はどういうスタンスで捉えていると思いますか。

米澤氏 私自身の経験からお話しますと、もともとは研究者として入社しました。その後移った事業部では光ディスクを担当して、ノートPCに搭載された光ディスク装置の開発、青色レーザーを扱うLSIのシステム設計と事業化を進めました。

 それから、社会インフラ系、スマートグリッドやスマートシティ、ヘルスケア関連の研究開発に携わり、その後移動した米国では、大学との共同研究とその事業化機会の探索に関わってきました。入社以来、研究・技術開発からその事業化まで、本当にいろいろなことを幅広く経験させてもらいました。

 社会インフラから半導体まで多様な事業がありつつ、医療分野の研究を継続したり、長い時間をかけて技術を育てていったり、何かをやりたいと思う人にはチャンスを与え、やる気のある人を許容する文化があったり……。そう考えると、東芝は人を大切にする会社、チャレンジすることを応援してくれる会社だと思います。

大企業でありながら、新しいことにも柔軟で寛容なところがあると。

米澤氏 そうですね。まさに今、私が室長として新規事業推進室を立ち上げていますが、そこには「新しい事業を興したい」「新しい会社を作って自分が社長になりたい」という人が集まってきています。まだまだこの会社にはこういう人が大勢いる、会社には元気がある、と感じます。

山口さんや中村さんもそのあたりは実感されていますか。

山口氏 「ベンチャースピリット」は、たしかに社内にあると思っています。私は最初、半導体の応用技術職としてスタートしました。そこからコーポレートの新規事業開発部という部署に移り、感じたことは、東芝グループの中には幅広い技術、知見、経験があり、それを世の中に出したいと思っている人、何か新しいことをやりたいと思っている人がたくさんいるということでした。でも、なかなかそれを実現できる環境がありませんでした。

 今は、米澤が率いている新規事業推進室が、チャレンジできる場を提供することで、強い想い、熱い想いを持った人たちがそこに集まり、チャレンジしたい、新しい事業を作りたいという希望を持って仕事をしています。そういう意味では、とても良い環境だと思います。

中村氏 研究所にいたときに私が感じたのは、「とにかく若手を育てる」という上司の気持ちでした。若手を指導する育成プロジェクトもあり、研究所では特にそういった若手に対する指導が行き届いていました。そのとき若手だった私は、長時間の実験とディスカッションの繰り返しで大変でしたが、それでも全然疲れを感じず、みんなについていきたいと思える熱い組織だったということを思い出します。

ヘルスケア系の企業も含め、ベンチャー企業との連携についてどのように進めているのかについても教えてください。

米澤氏 ベンチャー企業との連携と、ヘルスケア系企業との連携とでは、少し考え方を変えています。私たち研究員の数は限られていますし、研究開発しているテーマも限られます。お話ししているように医療においてはいくつか柱になりうる技術が私たちにはありますが、その周辺や、もっと速いスピードで伸びている再生医療技術について、私たちが研究開発だけでなく事業化にも手を伸ばしたり、社会実装していくことは難しいです。そのあたりはベンチャー企業の方がスピード感を持って取り組めると思います。

 ですので、私たち企業としては手が出しにくいところ、リスクが高いところでも、強い思いを持って取り組んでいるベンチャー企業で、私たちの目指す方向性に合致していると思えるところには、コーポレートベンチャーキャピタルから投資させていただいたり、情報交換させていただくなどして連携を強めようとしています。

 ヘルスケア系企業との連携では、私たちが今開発しているアプリケーションの共有や、ヘルスケア系企業が保有しているデータの共有ができないかと考えています。現在は東芝グループの従業員の皆さんから預からせていただいたデータを元に、まずは自分たちが健康でいられるようにするアプリケーションを開発しています。これにヘルスケア系企業が保有しているデータも連携できれば、多くの企業で従業員がより健康になって、病気の予防にもつなげられると思います。

 その他にもいろいろな業種の方々から、血液一滴でがんの可能性がわかるというところで、さまざまな組み方ができるのではないかと多くのお問い合わせをいただいています。あらゆる可能性を排除せず、みなさんと議論させていただいているところです。

最後に医療分野における今後の展望をお聞かせください。

 繰り返しになりますが、私たち東芝1社だけでは、1つのサービスも作り出せないと思っています。さまざまな企業様にご協力いただいて、病気で苦しんでおられる患者の方々、もしくは病気にならないように予防しようと思っている方々の生活の質、QOLを上げていきたいです。

 そのためにも、精密医療の技術をできるだけ早く世の中にお届けできるよう、パートナーのみなさんと一緒に進めていければと思っています。私たちと同じような考えをもっていただける企業様や個人の方と、ぜひとも強力に連携して、みなさんが健康に生きられるよりよい社会を1日も早く実現していきたいと願っています。

※取材日2020年2月
※所属、内容は取材当時のものです


提供:株式会社 東芝
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