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東芝が「医療」に挑戦する理由血液一滴のがん検査やゲノム解析の
要素技術が切り拓く未来

 

 東芝は、2018年に発表した5カ年の事業計画「東芝Nextプラン」において、注力領域の1つとして「精密医療」を定義、相次いで医療に関わる画期的な要素技術を生み出している。

 たとえば、血液内にあるマイクロRNAと呼ばれる物質を検出する仕組みにより、わずか一滴の血液で13種類のがんを99%の精度で検出する技術や、生分解性リポソームと呼ばれるナノサイズのカプセルを用いることで、リスクや負担の少ないがん治療が可能になる技術などを発表した。さらにはゲノム解析ツール「ジャポニカアレイ®」による、DNAと疾病の関連性研究に役立つ技術も進化を続けている。

東芝 サイバーフィジカルシステム推進部 新規事業推進室 室長の米澤実氏(中央)と、同社 研究開発本部 本部企画部 ライフサイエンス推進室 主務の中村奈緒子氏(左)、同じく研究開発本部 本部企画部 ライフサイエンス推進室 主務の山口泰平氏(右)
東芝 サイバーフィジカルシステム推進部 新規事業推進室 室長の米澤実氏(中央)と、同社 研究開発本部 本部企画部 ライフサイエンス推進室 主務の中村奈緒子氏(左)、同じく研究開発本部 本部企画部 ライフサイエンス推進室 主務の山口泰平氏(右)

 医療分野に向けて、東芝がこうした技術を開発してきた目的はどこにあるのだろうか。また、その開発の現場にいるメンバーはどのような思いで取り組んでいるのか。同社のサイバーフィジカルシステム推進部 新規事業推進室 室長である米澤実氏と、研究開発本部 本部企画部 ライフサイエンス推進室 主務である中村奈緒子氏、山口泰平氏の3人に話を伺った。

時間をかけて育んできた「精密医療」につながる要素技術

「東芝Nextプラン」でも宣言されていますが、東芝がなぜ医療に関わる技術開発を進めているのか、教えていただけますでしょうか。

米澤氏  当社は医療分野の研究開発、技術開発を長年続けてきましたが、改めて手元を見たときに、社会貢献につながりそうなものが数多くあったのです。

 血液一滴でがんの可能性がわかる技術や、生分解性リポソームというナノカプセルの技術を使ったがん治療、あるいは遺伝子情報を分析することで個人の遺伝的な体質や、薬効の遺伝的差異がわかったりする技術。将来の医療に向けて間違いなく役に立ちそうな技術が手元にあるので、これはぜひとも世の中に出していきたいと思いました。

東芝といえば画像認識などの半導体技術でも知られています。そういった技術的な側面を強みに展開していこうと考えているのでしょうか。

米澤氏  私たちには、今言ったような精密医療につながる要素技術はあります。ですが、これを私たちだけで実際の製品やサービスに発展させることはできません。多くのパートナーの方々と手を組まなければ不可能です。みなさんと連携させていただいて、東芝が目指す将来の精密医療を一緒に実現できないかという提案でもあります。

 それにあたって、東芝はどういう会社で、何が強みなのか、私たちの中で改めてディスカッションしました。医療分野において長く研究開発してきたことによる技術力はあります。そして、高い品質のものを比較的長期にわたって提供し続けられる体力、品質を担保する力もあるとそこで認識しました。

 最近注目されている再生医療の領域では、半導体の製造プロセスに近い処理が必要になることも多いです。そうした場面では私たちが培ってきた高い品質を担保する技術が応用できます。また企業として社会インフラ分野にも関わっており、多種多様な仕組みを長期的に社会に提供してきた経験知も、医療分野で活かせる可能性があります。そういう部分を強みにして、パートナーになっていただけそうな方々にお声がけをしている段階です。

中村さんと山口さんは具体的にどういった役割を担っているのでしょうか。

山口氏 私のミッションは東芝の精密医療を社会に広げていくことです。東芝にはさまざまな要素技術、尖った技術、AIやセキュリティなどのデジタル分野の技術、ノウハウもあります。

 そこに精密医療の技術を組合せ、デジタルに変換していくことで、そのデータは我々の次の世代、もしくは次の次の世代に残していける「健康資産」になると考えています。こういった技術、データをどう社会に実装し、世の中に貢献していくことがきるか。そういう仕組み作りをしています。

中村氏 私は以前まで十数年間、精密医療の重要なテーマの1つ、マイクロRNAを使ったがんの早期診断の基盤技術である電流検出型DNAチップの開発に携わってきました。入社は研究開発センターというところで、研究所の中でも事業化を推進していく特殊な部署に配属されました。

 研究所では電流検出型DNAチップの技術をさらに改善するために、DNAチップの前処理技術であるDNA増幅法の改良や、1つのチップで多検体を測定できるような要素技術も開発しました。その後事業部に移り人の感染症をモニタリングするDNAチップ、家畜やペットなどの感染症をモニタリングするDNAチップも開発し、実際に商品化もされています。

 その後、今のライフサイエンス推進室という部署に移りました。こちらの部署では、ジャポニカアレイ®という日本人ゲノム解析ツールを使った受託解析を行っています。2019年からは、東芝グループ従業員の方からボランティアで健診・問診データ、レセプトデータ、ゲノムデータをご提供いただいて、それでデータベースを構築するべく募集を行っています。このデータから個人の疾病リスクの予測、あるいはそのリスクを低減させる研究開発に役立てていきます。

 この取組みを進める上で、遺伝子情報、ゲノムというのは要配慮個人情報ですし、健康情報も非常にセンシティブなものですから、情報セキュリティや法務部門にも相談しながら慎重に進めています。また、この取組みをより分かり易く従業員の方にお伝えし、ご賛同いただくため、ウェブやポスターなどをデザインの方にご協力いただいて作成したりしています。

米澤氏 精密医療に関する活動については、現在は1つの事業部が担当しているわけではありません。2人を含め、将来の医療に役立ちそうな技術開発に携わっている、ある意味同じ志をもつ人たちが集まってバーチャルなチームで情報交換しながら進めているところです。

過去の事業ポートフォリオ見直しの中で、医療分野の技術がすべて失われたわけではなかったのですね。

米澤氏 私たちが取り組んできた研究のなかで、技術として形になっていなかったものも、継続して育ててきました。

 絶対に役立つところがあるはずだと思った技術は、研究開発を継続する。そういう気持ちを持った人や、そういう部分に予算を割いて、長期間の研究開発を続けられる会社の風土、雰囲気があったからこそ、今の成果につながっているのだと思います。そこは東芝という会社のすごくいいところです。

技術として形になっていなかったものとのことですが、どのようなものが挙げられますでしょうか。

山口氏 技術という点では、画像処理やデータ解析技術は半導体の製造工場などの産業分野で長年培われてきた実績があり、画像解析でチップの不良を検出したり、AIで工場にある機械の故障の予兆を検知したりするところで活用されてきました。

 こういった技術は医療分野にも活かせると思っています。半導体や装置に不具合が発生することと、人間が病気になることには、原因と予兆が存在するという点で共通しているところがあります。産業分野で行ってきた1つ1つの状態を捉え、AIを用いて将来を予測する技術は、まさに医療分野においても、将来の病気の予測や重症化の防止に活用することができると考えています。

中村氏 電流検出型DNAチップも要素技術に関する基本的な特許を取った研究者は研究所にいます。その要素技術が東芝にあり、さらにブラッシュアップを続けられたことで、マイクロRNAを用いたがんの早期診断という技術につなげることが可能になったと考えています。

提供:株式会社 東芝
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2020年9月30日

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