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視力への影響は?眼の疲れは?ユーザーへの配慮も十分な東芝メガネ型ウェアラブルデバイス「Wearvue」

東芝のメガネ型ウェアラブルデバイス「Wearvue」は見た目の自然さやデバイスの軽さなどが注目されているデバイスだが、実際に利用を考える人にとって気になるのは、利用時の疲れ具合や視力低下などの健康被害の有無だろう。東芝はそんな声にも真摯に向き合い、映像生体影響にも詳しい専門医とも連携し、医学的検証を含め様々な映像安全性の確保に取り組んでいる。その実験の様子や「Wearvue」がもたらす快適な作業環境について聞いた。

3DTVの頃から取り組んできたデバイスと眼の関係

 「Wearvue」は、ごく一般的な黒縁眼鏡の右側にコンパクトなボックスが取り付けられたような見た目だ。左目は素通しで、右目部分のみハーフミラー化されており、利用者はハーフミラーを通して実景を普通に見ることができるつくりだ。映像はボックス部からハーフミラーに投影されるが、利用者にとっては約1.25m先の空中に映像が浮かんでいるように見える。

 頭部に何かを取り付けたり、眼の前に小さなディスプレイを置いたりするのではない形式であるため、利用者の視界が広く確保され、外観も普通の眼鏡に近く自然だ。何よりケーブルを除く本体重量が50g未満と非常に軽いこともあり、これまでの展示会等では注目が集まっていた。

 「業務利用を中心に考えて開発したもので、工場や物流、建設現場など、様々な作業の効率化のために活用できるのではないかとご期待いただいています。ただ、新しいデバイスですので、視力への影響や眼精疲労の有無など、健康面での不安の声もいただきます。一般にこういったことは一般被験者を集めて使用感と共に疲労感につていてをアンケートにより調べるようなやり方が多いですが、それでは定量的な評価ができません。そこで3DTVの頃からおつきあいのある不二門先生にご協力いただき、医学的検証実験にも取り組みました」と語るのは、東芝 研究開発統括部 マーケティング戦略室 メガネ型ウェアラブル事業 プロジェクトリーダーの金子祐紀氏だ。

 実験に携わっているのは、東芝 研究開発センター マルチメディアラボラトリー 研究主務の永谷広行氏と、大阪大学大学院教授 医学系研究科医用工学講座 感覚機能形成学 医学博士 不二門尚氏だ。

 永谷氏は立体映像を始め、東芝でデバイスの生体影響を専門に研究してきた人物だ。そして不二門氏は、そうした東芝の生体影響研究を医学面から長くサポートしてきた専門家だという。

 「1990年代のグラスレス3DTVの研究あたりから、デバイスが眼に与える影響について研究してきました。東芝以外のデバイスも検証しています。東芝とのつきあいは、グラスを使う2眼式-3DTVや裸眼式-3DTV の頃からになります」と不二門氏。長年の研究で、眼の疲れ具合を客観的に評価する指標等も確立しており、今回の実験でも活用された。

 「不二門先生は、眼科医の中でも神経眼科を専門とされる権威で、さらには人工網膜等の研究も進められていることから、光学は元より工学系にも詳しい先生なので、我々の意図も深く反映頂いた共同研究を行って頂いております。他の先生方からも不二門先生の助言を求められる有識者です。」と永谷氏は語った。

主観評価と客観評価を組み合わせて実験結果を評価

 眼への生体影響の評価実験は2種類行なわれた。その詳細を記す前に、まず眼の疲労というものについて簡単に説明しよう。目薬のCMなどで「眼精疲労」という言葉がよく使われているが、眼の疲労には「眼精疲労」と「眼疲労」が医学的に定義されている。眼疲労は一過性の疲労で、時間とともに回復するものなので、治療の必要はない疲労。一方、眼精疲労は継続的に症状があるもので、治療の必要がある病的な眼の疲労を指す。今回の実験は、「Wearvue」を利用することにより眼精疲労に繋がるリスクがないかを検証するとともに、眼疲労の度合いについても評価したという。

 眼を酷使しつづけるとぼやけが強く感じられたり、瞳孔が小さくなったりといった影響が出る、それによって継続的な疲れを感じる、近視の症状が出るといった健康被害もあるという。「Wearvue」を使用することで、そうした重篤な症状に繋がるリスクがあるかどうか、さらには一過性の疲れがあるかまで検証した実験だ。

 「3DTVの実験をした時、日常的な見え方には問題がないのに3DTVと相性が悪いという人がいました。そうした人が出た時、そういう人がいたということで終わらせず、なぜそういう結果になったのか、疲労のメカニズムまで深く調査しています。そのため、どういう特徴を持った人がどういった問題を発症しやすいのかがわかって来ています。そこでまず一つ目の実験では、一般的な被験者に加え特別な特徴を持つ被験者をそれぞれ集めて実験に協力してもらいました」と永谷氏。この実験は被験者数の多い大規模実験ではないが、Wearvue視聴そのものが生体に与える影響について効果的に評価できるよう、実験方法を検討したようだ。

 評価は主観的なものと、客観的なものを組み合わせて行なっている。主観評価はSSQ(Simulator Sickness Questionnaire)検査というもので、映像酔い等について世界でも代表的に用いられている指標だ。気持ち悪さ、眼球運動、ふらつき、トータルスコアという4項目で被験者の疲労度を4つの要素に分けて評価がされる。また、医師による問診も加えている。

 客観評価は共同研究先(不二門研究室)が指導して開発された視機能の検査装置である両眼波面検査装置を使って、眼の輻輳・調節能力をリアルタイムに詳細検出する方法を採用。しかしこの方法は多人数の検査に向かないため、後で紹介する多くの被験者が参加する2つめの実験では屈折度等の別の医学的検査が行なわれた。この別の検査では、視機能の詳細な動きまでは把握できないが、眼精疲労の有無を判別するには有効であり、多人数の被験者を同時に検査する場合には有効な検査法となるそうだ。


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提供:株式会社東芝
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2016年7月31日