行動、嗜好の決定要素を司る「遺伝子」を捕捉--シナジーマーケティング講演

CNET Japan Ad Special2013年12月24日 11時00分

シナジーマーケティング株式会社
CRMインサイトラボ フェロー 後迫 彰氏

 朝日インタラクティブが10月31日、東京・千代田区内で開催した「CNET Japan Conference 2013 マーケティング・インテリジェンス実現セミナー」で、シナジーマーケティング CRMインサイトラボ フェロー後迫彰氏は、「顧客の本質理解のための社会的ビッグデータ『iNSIGHTBOX』~日本人の価値観類型『Societas』の活用~」と題して講演した。

 同社の「iNSIGHTBOX」は、企業が事業活動を通じて蓄積している、顧客、購買、商品、メールクリックなどの諸データを抽出し、特定のルールに基づいて抽象化する。そのうえで独自のアルゴリズムによる演算でデータ間の関係を定量的に捕捉するものだ。データ自体だけでの分析結果からは、容易に発見し難い、傾向、特性、ニーズなどを探し出すことができるという。

 同社の掲げるソリューションの目指すものは、顧客の本質理解によるコミュニケーションの最適化だ。たとえば、商品情報などを掲載した電子メールを送信し、売り上げ向上につなげようというような場合の事例。ある企業は、メールシステムの刷新を考えたが、解析の方法、成果の計測などがわからなかった。そこで、この企業は、iNSIGHTBOXを試験的に導入した。

 ここで策定されたのは、送信するメールの総量は増やすものの、ユーザー全員への送信はやめる。さらに、適切な対象に適切なコンテンツを提供する--という戦略だ。訴求する商品に関心が高い層を抽出し、その人々にだけ、メールを送信する。同社では、4つの商品について、メールに対し反応があった会員の開封率、クリック率、実際の購入数などを解析、有効とみられる対象に絞り、メールを送信するようにしたところ、クリック率は6倍に、購買者数は18倍になった。


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 インターネット・サービス・プロバイダーの場合、キャンペーン期間は収入が減少する。そこで、同社は、いわゆるLTV(lifetime value)の最大化を図った。LTVとは、顧客1人について、その顧客が、ある企業の製品、サービスを利用している全期間において企業にもたらす価値の総計だ。そのため、顧客満足度の向上化と、退会の防止に注力することにした。しかし、データは点在し、分析ツールもなかったため、iNSIGHTBOXにより、メールを分析した。

 この事例では、訴求するメールに関心が高い人々を抽出し、その層にだけメールを配信するようにした。そのため、どのユーザーが、どのようなURLをクリックしたのか、などの過去1年間のメールクリックデータを用い、解析した。その結果、クリック率は23倍になり、配信数を半分に減らしても、ユーザーのアクション総数は維持され、解除は大幅に減少した。


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 同社ではさらに、人々の価値観までをも分析することで、顧客の行動、嗜好の本質を理解することを目指し、「Societas」と呼ばれる、発想を取り入れている。これは、行動、嗜好などの因子を遺伝子になぞらえ、意思決定の要因を「タグ」として抽出してスコアリングする。人はそれぞれ、属性、境遇が異なるが、興味・嗜好などに共通の要素があるとの考えに基づき、同社は、この意思決定のトリガーとなる要因を「Societas」として定義している。 iNSIGHTBOXを利用すると、自社の顧客にSocietas番号が付与され、解析に活用できるという。Societasを用いることで、従来の性別、年齢、職業といった属性でのセグメンテーションでは浮かび上がらなかった、「なぜその商品を選ぶのか」という意思決定の要因に近づくことができるという。

 「Societas」による分類では、「家庭的な真面目タイプ」「アウトロータイプ」「好奇心旺盛なバランス人間タイプ」「繊細な個人主義タイプ」など、価値観や行動の要因となる「日本人の特性パターン」として、 現在12個が定義されている。これらを軸にした分析により、ある商品を購入しているのは、どのようなタイプか。このタイプには、どのような商品の訴求が有効かなどの解析に利用できる。

 後迫氏は「従来、このような分析をしようとしても、自社データだけしか材料がなく、また、分析に通暁している人材やツールも十分ではない例が多かったのではないか。顧客の行動をうまく解析できなければ、データを手掛かりに、次にどのような手を打つかという工程につながらない。当社のソリューションは、使いやすく、また、行動データとともに、社会的な人の属性分類データとも合わせ、販促の施策に生かすことができる」と強調した。

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