映画「007」といえば、いまさら説明の必要はない人気スパイ・アクション映画だが、そもそも第一作の公開はいつなのか、ご存じだろうか。
初作は「007 ドクター・ノオ」となるのだが、それが英国で公開されたのが、実はちょうど50年前の、1962年10月5日。ということで、今年はボンド生誕50周年という、大きな節目の年だったのだ。
そんな007シリーズに欠かせないものといえば、美しい”ボンド・ガール”達だが、作品ごとに登場する趣向を凝らした”スパイ道具”、現代でいうところのガジェットたちも人気が高い。ここで面白いのは、作品シリーズの魅力が50年間変わらなくとも、テクノロジーの世界で半世紀といえば、まさに想像もつかない、途方もない大昔だということだ。ちなみに1962年は、まだ”パーソナルコンピューター”との言葉が初めて米国の新聞紙面に登場した年である(Wikipediaより)。
そこで今回は、歴代の登場ガジェットたちをダイジェストで紹介しつつ、シリーズ最新作、23作目となる「007 スカイフォール」に登場したら面白い!というアイテムを考えてみたい。当時はハイテクの塊であっただろう、映画内の最新ガジェットも、あらためて見てみると、その歳月を感じさせるものも多々あり、非常に感慨深いものばかりだ。なお、なお、「007 スカイフォール」は、日本公開が12月1日予定。また、主題歌はアデルの2年ぶりの新曲が決定している。心待ちにされたい。
2作目:007 ロシアより愛をこめて(1963年) 2眼レフカメラに偽装した、小型オープンリール・テープレコーダーが登場。ボンドが操る自動車には「自動車電話」が搭載された。ボンドはポケットベルで呼び出しを受け、この電話で本部と連絡を取る。どちらも、当時はまだ珍しいものだった。 |
3作目:007 ゴールド・フィンガー(1964年) ボンドカーのダッシュボードに、地図を表示するディスプレイが内蔵され、発信器を仕込んだ相手の位置が光点として点滅する。現代ではスマートフォンのGPS機能などで、簡単に実現しそうだが、当時からは想像もつかない進化だろう。 |
4作目:007 サンダーボール作戦 (1965年) 腕時計型やカメラ型のガイガー・カウンタが登場、原爆の捜索に使用した。ほか8枚連射が可能な水中カメラも。 |
7作目:007 ダイヤモンドは永遠に(1971年) 指紋を採取・照合するモバイル機器が登場。グラスに残った指紋をインスタント写真に撮り、それをこの機械に挿入すると、スクリーンにサンプルと対比して映し出される仕組みだ。現代なら、スマホの機能を活用すれば代用できそうだが、それに比べると大掛かりだ。 |
10作目:007 私を愛したスパイ(1977年) 腕時計デジタル・アラーム・クロノグラフを着用。受信機能があり、指令がテープで打ち出される。シガレットケースとライターを組み合わせると、マイクロフィルム・ビューアーになる。 |
12作目:007 ユア・アイズ・オンリー(1981年) 本作でも高機能な腕時計が登場。衛星回線による通信機能を備え、音声通信と液晶ディスプレイへのメッセージ表示が可能。80年代に入ると、徐々に現代のデバイスに通じるガジェットが登場してくる。 |
13作目:007 オクトパシー(1983年) 「TVウォッチ」が登場。別のカメラで撮影した映像を受信し、液晶画面に映し出した。 |
14作目:007 美しき獲物たち(1985年) 白黒写真を撮影可能な指輪型カメラ。現代なら、フルHD対応で無線による画像転送可能、といったところだろうか。 |
18作目:007 トゥモロー・ネバー・ダイ(1997年) ボンドカーのハイテク化が進展。本作ではドアミラーにCCDカメラが埋め込まれ、携帯電話での遠隔操縦に対応。自動車の遠隔操縦は、現代においても実現は相当に大変そうだ。 |
22作目 007 慰めの報酬(2008年) 一気に年代が飛んで2000年代になると、アイディア満載の超人的なボンドグッズは影をひそめる。代わりに実在のメーカー製の多機能携帯電話が情報収集や諜報活動に活躍するなど、時代の変化が顕著に反映されている。 |
ということで、ここまでの登場アイテムの推移をみていくと、「夢のような」デバイスがテクノロジーの進化とともに夢ではなくなり、それと歩調を合わせる形で、大幅に時代の先を行くようなアイテムは年々、影を潜める傾向だ。
もう心躍るガジェットは期待薄か?とも思えるところだが、そこは再び、我々を驚かせてほしいところだ。たとえば、超高性能なエンタープライズサーバに匹敵するような腕時計型コンピュータを身につけたり、そこから得体の知れない超高速ネットワークで秘密のクラウド的なサービスにつないだり、怪しげな技術で世界のコンピュータを自在にリモート操作してしまったり、というのも面白…、いや面白くない。これでは既存の技術の延長にすぎない感じなので、007シリーズには想像もつかない「夢の技術」を、さらりと使いこなす場面を見せて欲しいものだ。
なお最新作のキャスティングに目を移すと、今回はボンドと同じMI6に属する秘密兵器の開発主任である「Q」が、2002年の「007 ダイ・アナザー・デイ」以来、久々の登場となる模様だ。演じるのは若手のベン・ウィショーで、6代目のQとなる。という背景から察すると、心躍るガジェットも久々登場する可能性は高い。このあたりの詳細は劇場で…、とお決まりのフレーズで本稿は終りたい。
Skyfall (c)2012 Danjaq, LLC, United Artists Corporation, Columbia Pictures Industries, Inc. All rights reserved.
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