江口 愛知さん、導入されていかがですか。
一江 すでに5年前にGlacio会計というパッケージを導入していましたが、昨年末にこのWeb対応のGlacio.NETに切り換えました。データはわれわれ経理部門だけが知るべきものでもなく、使った現場に返してあげるのが本当の姿だと思ったからです。現場によく話を聞くと、「こういうデータが欲しい」とか「こういうデータがあった方がよい」という話が上がってくるのですね。われわれ経理が欲しいデータと、現場が求めているデータがちょっと違うことに気づき、その溝を埋めるためにGlacio.NETを導入しました。
江口 Glacio.NETで社内各部門との相互理解が図れるということですか。
一江 そうです。現場は直接営業に結びつくデータが欲しい、それに対してわれわれは全体の数字が見られればいいということで、ちょっとギャップがありましたね。
別井 そのあたりをもう少し詳しく教えていただけますか。
一江 経理部門は数字さえあればいいわけです。あるお客さんにこれだけ売って、まだ回収していないのはこれだけだと。それが分かればいい。ところが営業は、それだけじゃないと。あるお客さんにいつどのような注文をもらい、それに対してどこから何を仕入れて何を納めたのかという情報が欲しいわけです。また物流は物流で数字の見方が違うし、抑え方が全然違うわけです。それをすべて経理の考え方で進めようとすると拒否されてしまいます。
別井 そこで、各部署の要望を聞いてそれに合うシステムを個別に入れるのではなく、ERPでデータを一元管理したいと考えたわけですね。
一江 それぞれの部門で必要なデータはファイルのどこかにあるのです。しかしそれが、営業が必要としているデータなのか、物流が必要としているデータなのか、それを切り割りするのが難しい。Glacio.NETを入れてデータを一元管理すると、これまで見えなかったデータも見える可能性があるということです。
別井 これまで営業だけが見ていたデータを経理の人が見ると、新たなことが分かると…。
一江 そうです。いろいろな角度からデータが見えますので。それを踏まえてこれから新たな活用を考えていきたいと思っています。ですから私は、いつもミツイワさんに「あのデータはどこにあるの」と聞いています。
CNET Japan編集長の解説:システムの概要
愛知は2010年11月に富士通のPRIMERGYをベースにしたGlacio.NET会計サーバを導入。既存のいずれもPRIMERGYをベースにした受注出荷管理システム、販売管理システム、さらに春日井工場・物流センターの部品発注管理システムなどと連携、データの一元管理を実現している。
江口 お話を伺っていると、愛知さんはミツイワさんをとても信頼されているようですね。
一江 ミツイワさんには「システムはこういう仕組みだから、ここからデータを取れるのでは」というように、いろいろ注文をつけさせてもらっています。そのような関係は必要だと思うのですよ。つまり、システムは生き物ですから、お互いに作り込んでいかないと。会計はだいたいやることは決まっていますが、販売となるとその会社会社でやり方は全然違います。ですからパッケージにしても、やはりお互いに作り込んでいかなければならないと思います。
別井 そうすると、人間関係とか会社と会社のつきあいがシステム活用の大きな決め手になるということですか。
一江 そうですね。システムそのものは、はっきりいえば、お金をかければたいていのことはできると思うのですよ。しかし人間関係とかSEの方の人間性というものはお金をだしても得られるものではないと思います。
江口 御社が今後さらに成長していく上で、ITをどのように使っていこうと思われていますか。
一江 さきほど申したように、今後は輸出を事業の柱にしていこうと考えていますが、その海外取引業務では私どもがこれまで知らなかったこともたくさんあるのですね。それらを含めて、今後活用を進めていきたいと思っています。またITには、きちっと数字を捉えることで暴走を止める役割もあると思うのです(笑い)。車にはアクセルもあればブレーキもありますが、経理部門はどちらかというとブレーキの部分ですので、突っ走る部門をいかに抑えるかもITに関わる部分ですよね。本当にこれで利益がでるのかというのを見極めながら、一方では見込みがあるから突っ走れというのもITの裏付けですから。
江口 なるほど。いずれにしてもITは企業の健全な発展には欠かせないということですね。 本日はありがとうございました。
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