分社化したリクルートが抱える課題とは-- 「ONE RECRUIT」の実現に向けて(講演)

CNET Japan Ad Special2015年12月01日 11時00分

 朝日インタラクティブは11月10日、「ビジネスの未来を決めるカスタマーエクスペリエンスセミナー」と題し、イベントを開催。戦略的にマーケティングを考え、実行し、企業の成長に貢献している人物や、マーケティング戦略を経営に活かして実績をあげている企業を選出して、表彰および講演を行った。

 昨今、企業において顧客との接点はマスメディア、ウェブ、アプリ、ソーシャルメディア、店舗などオンライン、オフラインを問わずどんどん増加し、複雑化の一途をたどっている。その中で顧客を理解し、その体験をどのようにして向上していけばいいのだろうか。

 株式会社リクルートテクノロジーズ執行役員サービスデザイン部エグゼクティブマネジャー・岩佐浩徳氏による講演をレポートする。

リクルートが抱える5つの課題


株式会社リクルートテクノロジーズ
執行役員サービスデザイン部
エグゼクティブマネジャー
岩佐浩徳氏

 3年前にリクルートが分社化したことは周知の通りだ。リクルートテクノロジーズもその一つ。主にIT・マーケティングテクノロジーの開発機能を担っており、同社で執行役員およびサービスデザイン部エグゼクティブマネジャーを務めるのが岩佐氏である。

 分社後、機能会社ではこれまで以上に専門性を発揮し事業を成長することが求められてきたと岩佐氏は話す。しかし、UX(ユーザーエクスペリエンス)を向上させるためにサービス企画とUX専門部隊が一体となって動けていたのかというと、答えは「NO」だ。

 岩佐氏によると、リクルートが抱えている問題は「横断」「意思決定」「統合」「育成」「進化」という5つのキーワードで表される。

 すなわち、事業企画とUXDの距離が縮まらず(横断)、カスタマー中心の意思決定がやりきれないこと(意思決定)。それに伴い、ブランド、集客、サービスも縦割り構造の中で意思系統が分散してしまっていること(統合)。

 また、分社化により各事業で機能組織が乱立。各機能において個別専門性が育成しきれておらず(育成)、今後のサービスの進化のためのR&Dもプロフィットセンターでは難しいことなどだ(進化)。

 では岩佐氏およびリクルートテクノロジーズは、これらの課題にどう対応してきたのか。

機能会社とサービス間の連携を強化し「ONE RECRUIT」を目指す

 岩佐氏によると、UX業務に従事している社員はリクルート全体で300名くらいおり、ユーザーからすれば一つのリクルートであるにも関わらず、「各社ごとに『あちらさん』『そちらさん』という感覚になってしまう」のだという。

 そこで、リクルートテクノロジーズがハブとなり、重要局面で専門性の高い人物が介入できる組織を作るために、UX機能の連携強化を推進。

 具体的にはリクルートテクノロジーズからリクルートマーケティングパートナーズへメンバーを出向させ、逆にリクルートテクノロジーズもメンバーを受け入れて育成する。これを社内では"ミラー化"と呼んでいるという。


出向してきたUXDメンバーをリクルートテクノロジーズで育成する

 岩佐氏は「事業戦略とサービス設計と開発実装は本来、三位一体で動かないとダメ」だと述べ、現在はその状態を目指して座組作りをしているところだと説明。さらに、「事業戦略」や「有料集客」「無料集客」「UXD」「CS」「営業」など、これまでバラバラだったブランドを一括りに統合し、一貫性を持たせたという。

 また、岩佐氏は新規期から成熟期を経て再成長期へと至る図を提示し、事業成熟度に応じてサービス開発手法や求められる人材が変わることを強調する。新規期ではプロダクトオーナー型の人材によるスクラム型の開発が求められるが、成長期・成熟期ではグロースハック型で積み重ねていく大規模開発型が求められるようになるといったものだ。

 多様なセグメントに対応することも重要だと岩佐氏はいう。たとえば新卒の就職に関しては、実際に自分が何をしたいのかがわかっている人とわからない人、そしてどうやって動けばいいかわからない人と着々と動いている人という2軸による4つのエリアでセグメントされることになる。

 その中で、もっともコンバージョンできるのは「自分が何をしたいのかわかっていて、動ける人」であり、そこにアドオンして成果を上げていくことが重要だ。岩佐氏は「セグメントをきちんと分けた上で、エンジニアリングでUXDのオートメーション化を推進することが必要」とも述べている。

 こうした取り組みをスタートさせているリクルートだが、実現にはまだまだケーパビリティが不足しているという。

 そこで岩佐氏が統括するサービスデザイン部では、自らの強みを活かす「主務」と、次のキャリアとしての「兼務」を設定。機能組織間の流動性を高めることで個別の深掘りと統合化のスピードを高め、サービス間でのコミュニケーションに一貫性のある「ONE RECRUIT」体験を目指すとしている。

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