前回は、日本の語学学習に対する課題とロゼッタストーンの学習システムについて概説した。
日本の語学学習においては、「テストで合格点」をとるための勉強を繰り返してきたという英語学習の経験や、「個人の考え方」・「学習環境」における問題が存在しているが、こと「会話のトレーニング」に関しては特に不足しているのではないだろうか。
今回以降はこれらの問題を解決するロゼッタストーンの各メソッドとトレーニングの具体的内容・機能に迫る。
自分が「ことば」を習得した過程を考えてみてほしい。
赤ちゃんのころの記憶はすでになくしている人のほうが多いかもしれないが、こどもの誰もが文法や翻訳に頭を悩ませることなく、「ことば」を習得している。
「ことば」を通じて意思の伝達ができるようになり、学校に通う頃には流暢に「ことば」を操れるようになったはずだ。これは、身の周りで飛び交う「ことば」を、目や耳からそのまま吸収し、自然と身につけていったからである。まさに、これが会話の「基礎」となる。
視覚や聴覚など"五感"で得た情報は、脳の言語領域をつかさどる神経回路を活性化させる働きがある。つまり、「感覚」が「ことば」を生み、その「ことば」が「文章」を作り、それが「言語」となって、スムーズなコミュニケーションを可能にするのだ。会話のためには、「ことば」を意識しないでコミュニケーションをとる「基礎作り」が必要というわけだ。
たとえば、りんごを見て「りんごだ」と認識するとき、りんごを見た瞬間には、日本語の「りんご」という文字を思い浮かべてはいない。「りんご」という認識があるだけだ。画像を見た瞬間に「これは何か」という把握を無意識レベルでできるようになるためには、「見て、聞いて、しゃべる」という訓練が必要なのだ。
ロゼッタストーンは、従来の英語教育のように、英文を見て日本語の意味を考えるという発想とはまったく異なり、「見る」「聞く」「しゃべる」ためのメソッドをソフトウェアに採用している。
それがロゼッタストーンの「ダイナミック・イマージョン(Dynamic Immersion(R))」と呼ばれるメソッドである。
ダイナミック・イマージョン(Dynamic Immersion(R)とは、ロゼッタストーン・ジャパン株式会社が独自に開発したメソッドで、実際に発生しうる場面を用いた画像と新しい言語とを結び付けることによって、新しい言語の意味を習得していけるよう設計されている。
つまり、子供の頃のように、「見る」「聞く」「しゃべる」のプロセスを繰り返すことで無理なく自然に外国語が話せるようになるというわけだ。
実際に、レッスンでは何度も同じ単語や表現が繰り返される。しかもそこには、レベルとともに"より難解な問題を解く"ような「難しさ」はない。そのため、回数を重ねれば重ねるほど飽きてくるうえに、そこに意味があるのかと疑問を持つかもしれない。しかし、このいたって「簡単」な「繰り返し」にも、意味があるのだ。
これは、前回問題としてとりあげた「コミュニケーションをとり、フィードバックをしてくれる相手がいない」という問題を解決するだけでなく、暗記しなくてもスラスラ言語が出てくる境地にまで学習者を導くことに狙いがあるのだ。難しいことをクリアするためのレベルアップではなく、「コミュニケーション力を培う」ためのトレーニングである。
母国語を話すときには、いちいち「どう言えばいいんだっけ?」などとは考えない。考えなくても、必要な言葉がポンポンと口から飛び出す。ロゼッタストーンによる学習で目指すのはコミュニケーションに必要な瞬発力だ。
レッスン開始直後の画面。いきなりスピーキングから始まる。レッスン開始後は、いきなりしゃべらなければいけないため、驚く人も多いかもしれないが、これも「しゃべる」ことに慣れるトレーニングである。
リスニング画面。聞こえた英語と一致する画像を選択し、正解すると正解音と共にチェックマークが付く。
レッスンで使用されている画像はとても美しく、時にはクスッと笑える面白い場面やうっとりするような風景などが登場する。次はどんな場面が出てくるのか思わず楽しみになってくる。さまざまな場面を見ながら、聞こえてくる言葉を真似したり、正しい場面を選択したりしているうちにすっかり夢中にな り、30分や1時間はあっという間に経ってしまう。
言語を会得するプロセスには、「見る」「聞く」「しゃべる」以外にも、「真似をする」「フィードバックされる」といったプロセスが存在する。見落とされがちだが、重要なプロセスだ。 また、更にこれらを「楽しみ」ながら行うことが重要だ。赤ちゃんが、父親・母親あるいは家族の真似をして、ほめてもらうといった情景を思い浮かべていただくと容易に想像がつくだろう。
ロゼッタストーンの最大の特徴ともいえる機能として、音を目視でチェックできる「スピーチ解析機能」がある。すべての言語のロゼッタストーン製品に搭載されている音声認識システムだ。
「スピーチ解析機能」とは、音声を認識し、ネイティブの声の波形と自分の声の波形を比較・表示する機能だ。どこが違うのかをはっきりと分かった上で、練習することができ、まるで母親の「真似をする」ように学ぶことができる。正しい発音の上達を実感できるだけでなく、よりスムーズに発音を会得するためのチェックツールとして使えるだろう。
英会話教室で学ぶ際も、同様に「真似」をして「フィードバック」を受けながら発音を練習することができると思った人も多いかもしれない。しかし、英会話教室では、顔を合わせて会話が出来るというメリットがある反面、通学という時間的拘束があるうえに、先生の教え方に左右されたり、発音の正誤の基準も曖昧になったりする。
前段で挙げたように、日本の語学学習においてロールモデルが少ないことを課題と考えた際、手本とする音声の「基準」を設けることができるのは、ソフトウェアによる学習ならではのメリットといえるだろう。
スピーチ解析機能。ネイティブと自分の発音を比較して、発音をチューニングできる。
右上にある緑色のグラフが声の波形を示している。上がネイティブのお手本、下が録音された自分の声だ。波形を比較すると、自分の声の強弱やピッチ(高低)のどこが間違っているのかを目視で確認できる。好きな速さで音声をチェックすることも可能だ。この波形がそっくりになるまで練習すれば、発音は自ずと整ってくる。
また、自分ではうまく発音できていないと思うのに、簡単に認識されてしまう、と感じたら、「スピーチ認識の設定」で音声認識の判定レベルを変更できる。より正確な発音を目指すなら、「スピーチの正確さレベル」を「難しい」に変更しよう。
音声認識の認識レベルを難しくして、より正確な発音を身につける訓練も可能。
学習開始直後は、それほど難しい単語やフレーズは出てこないため、発音の正確さを特に気にしなくても、聞こえたとおりに真似れば先へ進める。しかし、レッスンを進めるうちに単語レベルでは正しく発音できても、文章の中にあると認識されにくい単語などが出てくる。そういう時は、前後の単語に合わせて音の変化が起きているので、その変化に慣れるためにトレーニングが必要だ。
ロゼッタストーンでは、「見る」「聞く」「しゃべる」だけでなく、「真似」をして「フィードバック」を受け、ゲーム感覚で「楽しく身につける」までを一貫してカバーできる仕組みになっている。また、同じ「英語」であっても、イギリス英語とアメリカ英語で製品が分かれており、それぞれ発音や使う単語も異なる。好みの英語を学ぶことが可能だ。
次回は、ロゼッタストーンによる「復習」と「実践」プロセスとして、レッスンで学習した内容を定着させるためのスクリプトを中心に見ていく。
レベル別でご購入可能。製品版とオンライン版の2種類があります。効果が実感できなかった場合、ご購入後6カ月以内なら開封していても返品が可能です。(ロゼッタストーン・ジャパンからの直接販売によるCD版に限る)
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