最終更新時刻:2010年12月18日(土) 8時00分
 
知られざる楽天の技術開発

楽天を支えるテクノロジストが語る、楽天の技術【第4回】
先を見据えた圧倒的な技術が社会のライフスタイルを変える
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「言語処理技術」など、自社で持つべき3つの技術

――研究からサービスへ、という意識が重要なのですね。

 加えて、私たちが最も作りたいのは、他社との強力な差別化を実現できる圧倒的な技術。その実現には「どういう技術が今後必要か」を考え、既存技術の追従だけでなく「その技術よりも優れた技術を作る」という意識が必要だと思います。イノベーションには強い意志が要るのです。

 そうしたイノベーションを目指すに当たり、現在、作らなければならない技術は大きく3つ。ひとつ目は「言語処理の技術」。ふたつ目は「メタデータをマルチメディアから生成していく技術」。そして最後が「大量のデータを処理するための技術」です。この3つはインターネットサービスを提供する企業は自社で持つべき技術だと考えています。

 現在、Webの中心としては「検索エンジンサービス」と、メールやチャットなどの「コミュニケーションサービス」が分かりやすいところですね。どちらも根幹は言語処理です。マルチメディアも結局はテキストに関連付けないとWebに掲載できないので、メタデータの生成も重要です。

森正弥氏 楽天株式会社 開発・編成統括本部 楽天技術研究所 代表

――初めに言語あり、なのですね。

 なぜ言語処理が重要なのか。インターネットがハイパーリンクの集合から、Web 2.0になった理由を想像してください。参加しているユーザーや蓄積されたデータが「ネットワーク外部性」を持ってきたことがその理由だと考えています。Webのテクノロジーが社会の知識の蓄積と、社会的な意見の合意形成の場になってきたのでしょう。

 これは、CGM(※)がマルチメディア系にも派生してきたこと、そしてモバイルからの接続が容易になったことなどがあります。モバイルのSNSなど、PCから解放されたコミュニケーションは大きいですね。それに加え、センサやRFID(※)といった、独立していたネットワークのシステムがWebとリンクすることで、ますます発展すると思います。例えば、都内各所にあるセンサにより現在の降雨状況が分かる「東京アメッシュ」というサイトがいい例ですね。

(※)CGM(Consumer Generated Media)
商品購入者がレビューなどでコンテンツ内容を生成していくメディア。
(※)RFID(Radio Frequency Identification)
近距離の無線通信によって情報を交換する技術や、その技術を応用した製品。非接触ICカードなどが典型。

 センサに関しては、まだ楽天のビジネスモデルからは遠いので将来的な話になりますが、さまざまなセンサがWebに接続されることで、現在よりも膨大なデータがWeb上に存在することになります。このような “情報爆発” の時代になったら、現在の技術では対応できないでしょう。新しい大量データ処理のための技術が必要になると思います。

 言語処理以外の分野ではさまざまな機関と共同研究を進めていますが、根幹技術であるこの技術に関しては自分たちで研究中です。年内には形にして、どのようにサービスへつなげていくかを着々と進めています。

研究結果を徐々にサービスへ

――サービスへの展開はどのようなアプローチをとられているのでしょうか。

 楽天とインターネットサービス関連の他社との決定的な違いは、楽天は多様な店舗様とつながっている点です。つまり、データのバリエーションが極めて多種多様なため、言語処理的なアプローチが求められるということです。言い換えるならば、大量のテキストを入れたら、数値的に解析されたデータが出てくるエンジンが必要ということです。単純な商品検索だけでなく、サービスの中にはブログもありますし、商品レビューもあります。こういったものを横断的に処理できるエンジンでなければならないのです。

 大規模データの処理に関しても、「Ruby」開発者のまつもとゆきひろ氏(※)をフェローとしてお迎えし、研究しています。まつもと氏の豊富な知識や経験を活かしてもらえると思います。現在は構想をまとめている段階で、2007年中にはプロトタイピングを開始して、具体的な研究へと進めていこうと思っています。

(※)まつもとゆきひろ氏
OSSのスクリプト言語「Ruby」の開発者。楽天はこのRubyをサービス開発のフレームワークとして採用している。



知られざる楽天の技術開発
誕生から10年間、魅力的なコンテンツとサービスを発信し続けてきた楽天。そのコンテンツを支えてきたのは、楽天の持つ高度な技術力にほかならない。楽天を支える4人のテクノロジストが楽天の技術変遷と同社の魅力を語る。
楽天を支える4人のテクノロジスト
楽天でWebサービスの最前線へ!
楽天が求めている人材はこれだ!
楽天のイメージって……?

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楽天は技術を重視している
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楽天は開発部門の社員研修や育成に力をいれている
8.83%
楽天にはエンジニアがチャレンジできるような環境がある
26.75%
楽天では高度な技術がインターネットサービスを支えている
7.27%
上記のようなものは感じられない
32.73%
あまり関心がない
11.69%