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リクルートライフスタイルに学ぶ「最高のUXを実現する組織作り」

時代の変化に合わせ、日常生活に密着した情報サービスを次々と生み出すリクルートライフスタイル。2015年9月現在、『ホットペッパー』や『じゃらん』など36のサービスを提供する同社は、2012年末にカスタマーサービス部門体制の大幅な改正に着手した。現在、問い合わせに対する回答のスピードや的確性を大きく向上させたほか、最高のユーザーエクスペリエンスを実現するため、現場スタッフが自発的にスキルアップやモチベーション向上に取り組んでいるという。その秘策とは?

カスタマーサービスの品質を自発的に向上する仕組み

 クーポン情報『ホットペッパー』や旅行情報・予約サービス『じゃらん』、習い事や資格取得情報『ケイコとマナブ』など、36のサービス(※)を提供するリクルートライフスタイル(※2015年8月末現在)。前身は、1960年に創業した総合情報サービス事業のリクルート社で、意思決定の迅速化とビジネス環境の変化への柔軟な対応を目指し、2012年10月に新設された事業会社だ。現在リクルートホールディングスを持ち株会社として、同社を含む5つの中核事業会社と3つの機能会社がある。

 リクルートライフスタイルは、「ちょっとした毎日を提供し、ひとりひとりの生活を豊かにする。」をモットーに、旅行や趣味、生活のお得情報やスキルアップまで、幅広いサービスを紙媒体やWebサイトで提供している。そのため利用する人も老若男女さまざまで、同社に寄せられる問い合わせも幅広い。たとえば、「Webサイトにログインできない」といった問い合わせのほか、購入したクーポンやチケットのサービス内容、リリースされた新機能の使い方などさまざまだ。そんな悩める顧客を支援するのが、カスタマーサービス(CS)部門だ。FAQで顧客自身による課題解決を促進するほか、問い合わせに関しては、ほぼ24時間以内に完全回答されるようになっている。

 顧客対応スキルの向上にも余念がない。的確な対応という「目指す姿」を共有したうえで、スキルチェックシートを作成。半年ごとに、実際の対応内容をチェックして、できている点・まだスキルが足りない点を評価して個別にフィードバック。

 課題を明確にしたうえで行動目標を立て、スキル向上を進捗管理することで、確実なスキルアップにつなげている。

顧客視点でサービスのエクスペリエンス向上を提案

 カスタマーサービスの体制はどのようなものか。まずベーシックな質問を総合的に受け付ける「マルチサポートデスク」があり、そこで対応できない専門的な問い合わせに関しては「領域サポートデスク」と呼ばれる各サービスに関する専門知識を備えたスタッフにエスカレーションされる。さらに高度な内容や、対応が難しいものに関しては「2次対応」ということで、サービスに関する知識はもちろん、問題解決のプロフェッショナルが対応する。どの立場のスタッフも、問い合わせの趣旨を理解した適切な対応のスキルを磨いているため、高難易度な問い合わせやサービスに対する不満もほとんど解消されるそうだ。また、各サービスで新機能を開発する際も、CS部門が顧客の目線から見て使い勝手を評価するなど、フォローアップを見越した提案を行っているという。顧客目線に立ち、同社が提供するサービスの経験を向上させるサイクルが育っているわけだ。

 リクルートライフスタイル 企画統括室 CS推進部部長の真島博氏は、「実は、こうした好循環を実現に向けて動き出したのは、2012年のことなんです。それまではCS推進部にもいろいろな課題がありました」と語る。

専門性の高い事業部ごとのCS部門が、事業変化と共にさらなる進化を迫られる

真島博氏
リクルートライフスタイル
企画統括室 CS推進部 部長
真島博氏

 以前のリクルートグループでは、事業部ごとにCS部門があり、スタッフの専門知識を高める施策が取られていた。事業部に紐付いているため、専門知識を持つスタッフが育てられるというメリットがあったが、全員がどのサービスにも共通する問い合わせに同様に回答しなければならないというデメリットも存在していた。

 「分社化により意思決定スピードが早まり、新しいサービスや機能が次々に立ち上がるようになったため、その知識習得の工数も増えました。同様にどのサービスにも共通する問い合わせに対する回答や知識のアップデートの負荷も増えたため、スタッフの業務量は増すばかりだったのです」(真島氏)。

 問題はほかにもあった。それが「繁閑期の差」だ。サービスごとに繁閑期が異なるため、それがダイレクトに担当スタッフの日々の業務負荷に反映されてしまっていた。たとえば年度が変わる年末や春先には、クーポンの『ホットペッパー』への需要が高まるが、夏休みは旅行情報・予約サービスの『じゃらん』が多忙になる。季節要因とはいえ、カスタマーへの回答を遅らせていい理由にはならない。

 同社が「事業部に紐付く専門部隊」にこだわったのは、専門知識を持つスタッフが顧客からの問い合わせを受けることで、マーケットのニーズをつかむことを重視していたためだ。一般にカスタマーサービスは、「問い合わせが発生してから動く」という受け身になりがちだが、同社ではむしろここを起点に「積極的に市場のニーズを発見すること」を目指した。そのため、人材の専門性を高めることに注力したのだが、問い合わせが増え続ける状況の中、これ以上の負荷をかけることはできなかった。この状態を解消するために考えたのが、「どんなサービスにも共通する問い合わせ」をすべて切り出し、FAQや1次受付で対応できる仕組み作りだった。

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提供:日本オラクル株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2015年11月7日