―― この20年でネットワークはどのように拡大してきたのでしょうか。
荒井氏 ネットワークは最初に研究機関が使い始め、次に大手企業が一部門に展開しました。その後、小さいネットワーク同士をいかにつなぐかというところに焦点が当てられ、徐々に大規模化していきました。
それとちょうど時を同じくして、企業システムではホストコンピュータからクライアント/サーバにダウンサイジングするという事象が始まりました。ダウンサイジングは、実はネットワークがないとできません。しかし、当時のSIベンダーは、ネットワークにはあまり興味がなかったようです。なぜなら今までホストコンピュータは回線がつながっていれば使えていたからで、そこに手を加えるという発想がなかったのです。そこに当社のビジネスチャンスがあったのです。
―― ネットワークへのニーズが変化してきた中で、今後はどのような要件が求められるのでしょうか。
荒井氏 集中と分散という言葉がよく使われています。ホストコンピュータからクライアント/サーバになり、これからは仮想化によって再び集中化に向かっています。ネットワークの世界も実は一緒で、小さいハブやスイッチ、ルータから始まり、その後大きいネットワーク機器をセンターにおいてそこから分散させる、ということを繰り返しています。ネットワークの世界も仮想化は進んでおり、VLANやVPNなどが広く使われています。
しかし、コンピュータが仮想化で統合されてくると、ストレージの仮想化、ネットワークの仮想化など、あらゆるところに仮想環境が存在することになります。それぞれの仮想環境はどうやってつなぐのかというのが、今の課題です。
中でも最大の課題は、CPU、メモリ、ストレージ、ネットワーク、OS、アプリケーションをどうやって一貫して仮想化するかです。しかも、運用コストを下げるためには、動的に変化させる必要があります。そのためには、システム全体がインテリジェントでオートノミックなものへと変わらなければなりません。当社では、そうしたシステムを「知的自律型ネットワーク(IA Networks)」と呼んでいます。
今後は、必要なツールを使って、必要なデータだけが取れればよく、あとはあまり意識しないという時代に変わると考えています。当社では、それは「クラウドコンピューティング」によって実現できると考えています。