社会インフラを担う日立のクラウド--創業以来100年で培った技術やノウハウの結晶 グループの実績をもとに「安全・安心」、「柔軟・スピード」、「協創」を実現するクラウドソリューションを展開
社会インフラや企業の基幹システムの構築に関わってきた実績を基に、日立製作所がクラウドコンピューティング事業を一段と強化している。2009年6月には日立クラウドソリューション「Harmonious Cloud(ハーモニアスクラウド)」を発表。2010年6月にはクラウドコンピューティング事業を日立グループ横断で統括するクラウド事業統括本部を新設した。日立が提供するクラウドコンピューティングの強みは何なのか。ハーモニアスクラウド推進本部本部長 高橋明男氏にうかがった。
プライベートクラウドから導入が進む
別井:日立はHarmonious Cloudというソリューションを2009年から提供開始しています。そのHarmonious Cloudの現在の状況、コンセプトなどをお聞かせください。
プラットフォームソリューション事業部
ハーモニアスクラウド推進本部
本部長 高橋明男氏
高橋氏:Harmonious Cloudは昨年6月に発表し、7月からサービスを提供開始しました。そろそろ1年になりますが、日立のクラウドとしての認知も進み、お客さまからの引き合いも増えております。日立のクラウドは、「安全・安心」、「柔軟・スピード」、お客さまやパートナーとの「協創」をコンセプトに「社会インフラを担えるクラウド」を標榜しています。また、弊社は今年でちょうど創業100周年を迎えます。この節目の年を「クラウド元年」と位置づけ、クラウド事業をさらに強化・拡大していきたいと考えています。
別井:クラウド事業をさらに強化・拡大していくとのことですが、日立はどのような体制で取り組むのですか?また、企業への導入は進んでいますか。
高橋氏:企業の導入ニーズとして、昨年のHarmonious Cloud発表時には、「クラウドとは何か?」というお問い合わせが多く、積極的に導入を検討するお客さまは多くありませんでした。しかし、年末から年明けにかけては、「自分たちでクラウドシステムを構築したい」という声が多くなり、それを受けてご提案に行く機会が増えました。そして、実際に自社内にプライベートクラウドを構築する形態が増えています。
こうした状況のなかで、2010年6月にクラウド事業統括本部を新設しました。約300名の規模で、日立グループ内の企画部門、金融・公共といった各業種対応の営業・SE部門、製品開発部門、サービス提供部門を横断した組織で、クラウドコンピューティング関連事業の戦略を立案・実行します。これにより、意思決定の迅速化を図ります。
企業ITの方向性としてのハイブリッドクラウド
編集長 別井貴志
別井:Harmonious Cloudには、PaaS、SaaS、プライベートクラウド、特定の業種・業務向けのクラウドがあります。そして、日立が考える企業ITの方向性として、ハイブリッドクラウドを掲げ、ビジネス環境の変化に合わせて柔軟に選択、組み合わせる時代へ向かうと示していらっしゃいますが、具体的にどのように提案しているのでしょうか。
高橋氏:たとえば、メールなどのノンコアな定型業務には「情報共有基盤サービス」などのパブリッククラウドを活用しましょうとご提案しています。現在、日立はパブリッククラウドとして約70種のサービスメニューを用意しています。また、非定型で社外にデータを置くことができない業務には、プライベートクラウドによるITリソースの最適化をご提案しています。そして、既存システムとプライベートクラウド、パブリッククラウドを組み合わせたハイブリッドクラウドの運用が必要になっていくと考えています。レガシーも、あるタイミングでクラウド化するのがベストでしょう。
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