お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

「今年は成長の1年に」-- Google による新生 DoubleClick の日本戦略

「今年は成長の1年に」-- Google による新生 DoubleClick の日本戦略

 M&A の完了から1年が経過し、 Google による新生 DoubleClick の日本事業がついに本格化する。旧ダブルクリックジャパンから引き継いだ DoubleClick の資産を、前回紹介したプラットフォーム事業のサービスのひとつとして提供していく。

 Head of Media Platforms 、田中晃氏画像 Head of Media Platforms 、田中晃氏

 「2010年は Maintenance (基盤づくり)の1年だった。2011年は Growth (さらなる成長) がテーマ」と Google の Head of Media Platforms を務める田中氏は話す。

 より進化したアドサーバ「 DoubleClick for Publishers 」( DFP )をメディア向けに、「第三者配信」という新しいマーケットに対し、広告管理システム「 DoubleClick for Advertisers 」( DFA )を大手広告主や広告代理店向けに売り込んでいく。

 DFP は日本国内でも多くの導入実績がある。以前はある程度規模の大きなメディア向けだったが、現在は無償で使えるスタンダード版もラインアップに加わった。利用できる機能は広告枠の管理、スケジュール設定、ターゲティング機能、レポート作成などの機能が充実しており、専門の広告営業を持たない中小のブログメディアでも DFP が使えるようになった。導入サイトは大企業から個人メディアまで数百にのぼっている。

 ある個人サイト運営者は DFP スタンダード を使ってアフィリエイト広告のフリークエンシーを調整し、同じ読者に同じアフィリエイト広告を指定の回数以上見せないようにすることで広告収益を向上させている。ある地方新聞のウェブサイトも DFP スタンダード を導入し、限られたページビューを使い、 AdSense と純広告の配信を最適化することで売上を伸ばしている。

 有償版の DFP プロ は、より充実したサポートが受けられる。たとえば広告配信に関して問題が起きたときには専任のサポート担当者がしっかりと対応する。また、海外での成功事例を国内の導入企業に紹介したり、新しい広告メニューやコスト削減案を提案したり、単なる問い合わせ窓口にとどまらないサービスを提供する。

  DFA は広告主と代理店がオンラインで広告の配信やターゲティング、レポーティングを一元管理するシステム。これを使うことで、広告効果を分析し、広告効果を向上することができる。

 日本では広告主や代理店に、このような広告管理システムを使う習慣がまだほとんどないと言ってもいい。米国では通常、広告代理店が広告主に変わって広告管理システムを運用するが、日本ではそういった事例も少ない。

 そのため DFA に関しては新規ビジネスとして挑戦することになるが、 Google はこの市場が今後最も伸びると見ている。

「ユーザーが訪問するウェブサイトは多様化しており、データを元にしたメディアバイイングがますます大事になってくる。そこに DFA を使うことで多くのメリットが得られる。この分野はかならず伸びるだろう」(田中氏)。

まずは代理店向けのトレーニングを提供し、マーケット自体の活性化を図る。

 前回までに説明してきた通り、広告主とメディアの間にはシステムの過剰な分散化が起きている。さまざまな会社のソリューションを利用することで、作業コストと利用料がかさみ、結果的に広告の ROI が下がってしまう。そのようなことを防ぐために Google は、広告主向けからメディア向けまで一貫したソリューションを、2011年から日本でも本格的に提供していく。

 新生 DoubleClick の体制は、新規ビジネス開拓とアカウント管理を担当する営業部門に加えて、コンサルティングサービスと技術支援を提供するサポート部門を新たに設置。広告業界で長く活躍してきた経験のあるメンバーをそろえた。

 国内には過去にアドサーバをはじめとした DoubleClick サービスを使っていた企業も多い。まずはこうした企業に対して再び DoubleClick サービスを使ってもらえるようにアプローチしたり、ほかの Google の広告サービスを利用している企業にも提案をしていく。

 サポート部門は、広告関連の技術と顧客の間の橋渡しをすることが主な役割。 Google における「サポート」とは、困ったときの支援だけではなく、「売上増に向けたコンサルティング」という意味も持つ。2011年はリッチメディアスペシャリストというポジションも設置し、より深いキャンペーンコンサルティングを提供する。たとえばクレジットカードやローンの広告で、ユーザーの属性にあったクリエイティブを表示できるようにカスタマイズするなど、データを “リッチ” に活用するような提案を積極的に実施していく。

林 ジョセリン氏画像Country Manager, Media & Platforms Solutions 林 ジョセリン氏

 サポート部門を統括する Media & Platforms Solutions 担当 の Country Manager を勤める 林 ジョセリン氏は、1999年に DoubleClick に入社し、以来、広告主向けのコンサルティングを担当してきた。 Google と一体になったことで、人材、開発などあらゆる面でスケールアップしたという。

「世界中の複数の拠点にサーバを置いているので、災害等が発生してもバックアップに安定性がある。 Google のインフラを活用し、ダッシュボードの操作性やスピードも向上している」(林氏)。

 また新サービスを投入する時期も、以前は日米で半年〜1年の差があったが、いまでは1カ月程度に短縮されているという。開発段階から日本でのローカライズも考慮しているからだ。

 2011年は特に広告業界の活性化のために、単なる製品紹介にとどまらない、ニーズに応じた活用事例を発信していく。既存顧客の中にもジオターゲティングなどを有効活用できていない企業は多い。セミナーやブログでの情報発信し、 DoubleClick の魅力を伝えていく計画だ。

 広告主側もメディア側もオフラインで Excel を使って広告の出稿スケジュールを管理している現場が未だに多い。 DFADFP のようなオンライン上で一元管理できるシステムを利用することで、人為的ミスや作業そのものを無くし、コスト削減が可能になる。 Google では、企業ごとに異なる内部プロセスに合わせ、ソリューションをパッケージ化して提供する体制が整っている。本格的な日本展開が始まったところだ。


スチュアート・スピテリ氏
グーグル株式会社
アジア太平洋地域担当 Director of Platforms
アカマイ・テクノロジーズ社(NASDAQ: AKAM) アジアパシフィック統括ディレクターとして インターネットの高速化およびグローバルのビジネス戦略の立案を導き、 1,700 社以上のクライアントとの契約を締結した実績を持つ。
同社の収益の向上やコスト削減など、オンラインビジネスのパフォーマンスを最大限に引き出すことに貢献した。
また 米国24/7メディア、香港チャイナドットコム(NASDAQ: CHINA) の合弁会社24/7メディアアジアのCOO歴任のほか、アジアパシフィックの多国籍企業におけるエグゼクティブで構成されるThe Economist Group のリーダーも務めた経歴を持つ。
メルボルン大学 ビジネス学士号、南京師範大学 中国語准学士号 取得。

田中 晃 氏
日本地域担当 Head of Media Platforms
2004年 DoubleClick に日本統括責任者として入社し、2006年6月には ダブルクリック株式会社の社外取締役を兼任。 2009年3月 Google にてディスプレイ戦略担当として入社。 2010年3月 DoubleClick 営業担当責任者として就任し現在に至る。
林 ジョセリン 氏
日本地域担当 Country Manager, Media & Platforms Solutions
1999年 DoubleClick 入社後、媒体社チームと広告主チームのサポートとコンサルティング部門責任者として担当。 その後、2008年 Google による DoubleClick買収完了後、北米コンサルティング部門責任者を経て、全米のセールス・エンジニア、コンサルティングとサポートを担当。 2011年1月、Google日本支社にて日本統括マネージャーに就任し現在に至る。

キャンペーン
読者投票

広告主様、マーケティング担当者様へ質問です。
現状のインターネットのマーケティング活動で今後検討したい点は?

(投票受付期間:2011年05月31日 〜 2011年06月24日)
提供:グーグル株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部