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AdMob で実現する無料アプリのビジネスモデル構築-連載第3回

CNET Japan Ad Special 三橋ゆか里2011年09月27日 12時00分
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 広告主のモバイル広告への投資意欲の高まりは、アプリ開発者にとって大きなビジネスチャンスを意味する。ゲームアプリのダウンロード数を比較してみると、有料アプリをダウンロードするユーザが減少傾向にある一方で、広告モデル、アプリ内課金、フリーミアムモデルは大きく成長している。( ComScore の調査による)無料アプリと広告を組み合わせた収益モデルの有効性、またアプリ開発者が AdMob を活用する利点について、オンラインパートナーシップグループでアカウントマネージャーを務める金清司氏に聞いた。

媒体主にとっての AdMob の利点


グーグル株式会社 オンラインパートナーシップグループ
金清司氏

 様々なスマートフォン向け広告配信プラットフォームが存在する中、媒体主が感じる AdMob の魅力は何なのか。金氏はAdMob導入の3 つのメリットを説明した。

 1.海外展開ビジネスにも適したグローバルな広告ネットワーク

 2.様々なモバイルプラットフォームに対応

 3.広告枠の可能性を広げるオプション機能

 何よりもまず、グローバルにビジネスを展開する AdMob では、日本国内だけでなく海外のユーザに対しても適切な広告を自動で表示することが可能だ。マーケットの特性上、コンテンツの輸出入が活発なアプリ市場において、世界中からのトラフィックを効果的、かつ効率的に収益化できる点は大きなメリットであると言える。また、Android や iOS をはじめとした主要なモバイルプラットフォームに対応しているため、多様なプラットフォームでコンテンツ展開をしている開発者にとっては広告の掲載、管理が非常に容易であるという点も大きな魅力の一つだ。

 上記に加え、アプリ開発者が特に評価する AdMob 機能が、自社広告機能をはじめとした多彩なオプション機能の数々だ。自社広告機能では、広告出稿費を一切かけず、自社の別アプリを自社広告として簡単にプロモーションできる。目標配信インプレッション数や配信期間、地域や配信端末を指定した高度な出稿管理が特徴だ。広告出稿が増え AdMob の単価が高くなる時期には AdMob を100%に設定し、自社アプリの需要が高まる時期には半分を自社広告にするといった柔軟なコントロールができる。


2011年 株式会社ビーワークス

「無料アプリ+広告」の可能性と導入事例

 「無料アプリ+広告」の収益モデルによる成功例は、着実に増加している。
 カジュアルゲームの開発会社「 Backflip Studios 」は2009年5月に初の iOS ゲームをリリースして以来、基本戦略として AdMob を活用した無料広告モデルを採用。「 Paper Toss 」に代表されるヒット作を次々展開し、2010年末時点で総ダウンロード数は4,750万ダウンロードを記録。月間広告売上げは50万ドル(1ドル=80円なら約4,000万円)にも及んでいる。

 カジュアルゲームアプリの平均販売価格は85円。有料アプリで同等の売上げを稼ぐには、「アプリの売上げ-販売手数料( app store なら30%)」で、毎月新規で66万ダウンロードの獲得が必要だ。確かに毎年800万ダウンロードを安定して維持し続けることは容易ではない。だが AdMob をビジネスモデルに組み込んだうえで成功を収めれば、大きなリターンが期待できる。

様々な収益化モデルの組み合わせ

 アプリ収益化のビジネスモデルには、無料+広告モデルの他にアプリ内課金や有料アップグレードなどがある。「アプリの性質に合わせた収益化モデルを取ることが重要。無料アプリを前提にして考えると、広告モデルはアプリ内課金、有料アップグレードなど様々な収益化モデルとの親和性が高い」と話す金氏。無料版と有料版のアプリを用意し、無料版に広告を入れるケースは珍しくない。

 複数のマネタイズ手法を組み合わせて成功しているのが世界的に有名なゲームアプリ “ Angry Birds ” だ。2010年に iOS 版有料アプリ($0.99)をリリースし、同年末時点のダウンロード数は1,200万件。追ってリリースした Andriod 版では AdMob を活用した無料広告モデルを採用し、月間広告収益はリリースからわずか数ヶ月で約 100 万ドルに到達した。今では iOS の体験版アプリにも広告モデルを導入しており、さらには特定アイテムの購入でステージ制覇が可能になるアイテム課金も導入している。

広告モデルの成功の鍵

 広告モデルで上記のような成功を手にするには、それなりの戦略や配慮が必要だ。
「その大きな鍵は、ユーザエクスペリエンスに配慮した実装」だと金氏は指摘する。広告をユーザ導線に沿う形で的確に配置し、はっきり表示する。その際に、ユーザエクスペリエンスを邪魔しないよう、細やかな配慮をもちりばめておくことが重要というのだ。

 また、成功しているアプリ開発者が重要視する指標は、ダウンロード数よりも、アクティブユーザ数やアクセス頻度、滞在時間といった日々のパフォーマンスだという。

 ユーザのアクティビティを活性化するためには、ソーシャルやリワードなどの仕掛け作りに加え、ユーザのニーズに合わせた細やかなアップデートの実施などが重要だ。例えば、株式会社ドワンゴの人気アプリ「美人天気」は、夏場のアップデートでビール指数や花火大会情報といった季節感のある新要素を追加するなど、アクティブユーザを増やすべく様々な施策を行なっている。また、これからアプリを開発しようという方にとっては、育成ゲームやユーティリティ系アプリなど、ユーザのアクセス頻度が多いジャンルのアプリを企画段階から狙うことも有効な手段だ。さらに、ビジネスマンや女性といった特定のデモグラフィック層をターゲットにした広告の出稿需要が大いに高まっている今、アプリ開発者にはこれらのユーザー層に向けたエンゲージメントの高い新しいジャンルの開拓も求められているということも意識しておきたい。


 金氏は、「日本市場では、無料アプリしかダウンロードしないユーザは2009年から2010年にかけて10%増の30%になっている」という現状を語る。また、日本人が保有する平均アプリ数は45と他国より多いものの、有料アプリの数は9と他国に比べて圧倒的に少ないという。このことは、有料アプリだけに頼ったアプリビジネスは、それだけ事業環境が厳しくなっていることを物語る。国内のアプリ開発者が「無料アプリ+広告」モデルを積極的に取り入れる流れが起きているのは、その証だろう。

 スマートフォンが拓く新たな広告市場は、アプリビジネスの新たな事業モデルそのものだ。 AdMob がスマートフォンで起こした変革は、今後はより広範に、アプリビジネス市場全体に広がっていくかもしれない。市場参加者すべてが、こう意識しておくべきだろう。

 Googleは、アプリビジネス構築に関するヒントを紹介する「 Google App Galaxy 」というウェブサイトを公開している。宇宙旅行に模したウェブサイトでは、マーケティング、収益化、トラッキング、評価という一連のサイクルをまわすことで広告をメインにしたアプリビジネス展開を支援している。日本のアプリとしては、乗換案内アプリの事例の他、海外アプリのいくつかの事例を紹介している。 興味のある方は是非こちらも参考にしながら、あらためて全3回に及んだ本連載も読み返してほしい。

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