最終更新時刻:2010年12月18日(土) 8時00分
 

CNET Japan編集長が聞く サーバ管理は「任せる」時代へ。ネットビジネスの未来を支える「マネージドサービス」

 

インターネットビジネスの発展には、サーバ管理をアウトソーシングできるホスティングサービスの存在が大きい。サーバ管理代行を引き受ける「マネージドサービス」を提供するGMOホスティング&セキュリティ株式会社の専用ホスティング事業本部 副本部長 梅原 誠氏に話を伺った。

インターネットビジネスの変遷における「3つの波」

別井編集長(以下、別井氏): インターネットビジネスの発展は、ホスティングサービスがあってこそだと思います。つまり、ビジネスの成長はホスティングサービス市場の拡大と共に歩んできたということですが、これまでを振り返ると、大きく3つの波があったと考えます。まず、最初の波は企業がまだホームページを持っていない時代でしょう。

梅原副本部長(以下、梅原氏): そうですね。弊社はインフラやプラットフォームの提供者なので、いろいろなビジネスを見てきました。たしかに、第1の波は1990年代でしょうかね。まさにおっしゃるとおりで、第1の波は、いわゆるインターネットビジネス黎明期という言い方が正しいのかもしれません。企業がホームページを持ったほうがいいとか、あとはプロバイダなどのEメールを使って、ファクス、電話と併せて利用することが増えていって、そのあとホームページを持つようになりました。

 その頃の大企業は、ホームページにお金をかけていましたが、一般的な中小企業においてはそれほどお金をかけないで自作したり、コンピュータに詳しい周りの人がやっていたりといった程度でした。弊社はプラットフォーム側なので、どちらかというと、お客様の負荷などを見ていたのです。サーバ負荷がそんなにない時代です。その第1の波に弊社が出していたプランは、今考えると笑ってしまうかもしれませんが、容量25Mバイトで月額1万5000円ぐらいですね。それは1990年代の初頭、92、93年になると思います。

ブロードバンド化やCGIの普及が進んだ「第2の波」の時代

別井氏: インターネットビジネス黎明期の次の波は、企業がホームページを持つようになって、それをいかに活用したらよいかを考えていた時代ですね。そうなるとホスティングサービスの事業者もたくさんあらわれ、価格やサービスメニューが決まってきました。その一方で、インターネットを見ると徐々にブロードバンド化、料金の定額化が進んだ時期でもあるでしょう。

梅原氏

梅原氏: ISDNからADSLが出てきて、第2の波が来ました。ここでインターネットビジネスがどう変わったかというと、この頃にやっといわゆる一般的なサイトにCGIが使われるようになったのです。

 CGIは問い合わせフォームだったり、掲示板だったりというものです。それまでは単純に「mail to」タグを打って、クリックするとメールソフトが起動して、そこにメールを書いて送ってくださいね、というような形だったのが、CGIなどによって、その当時からすればかなりインタラクティブな、サイト上ですべてが完結するようになってきた時代でした。

 その頃、技術に明るい人たちの間ではCGI派とPHP派みたいなかたちで分かれていて、サーバ的にもCGIが使えるサーバで、「弊社のサーバはCGI対応」とか、「PHPが使えます」といったことを訴えるようになってきたというのが第二の波ですね。

別井氏: たしかに、そんな時期でしたね。そしてインターネットがブロードバンド化した以降は、ホスティングサービスの利用者からのニーズが多様化したと思います。そのニーズにいかに応えていくかという波が出てきて、それが現在まで続く3つめの波かなと思います。

梅原氏: 恐らくこの3つめの波には、2004年にTim O'Reilly氏が発表したWeb 2.0なども影響していると思います。この波の特徴は、CGIからFlashへ、いわゆるリッチコンテンツ、もしくは何かしらのアプリケーション、ブログといったものの台頭でしょう。そうなると、弊社のお客様でもある企業ユーザー自身が、“技術を気にせず利用できるサービス”に注目するようになりました。具体的にはブログや、Flash、YouTube(動画共有)、Flickr(写真共有)、SNSなど、いろいろなインターネットを基礎にしたサービスが、2003年ぐらいから始まりました。サーバ側から見れば負荷が高くなっていくものばかりですが。

 それらに一気に火がついたのが2004年から2007年ぐらいだと思います。この頃には企業もブログを導入するようになりましたし、当然個人のブログも盛んになった時期ですね。mixiが認知された時期でもあります。

 もうここまで来ると、昔あった「CGIはできますか」という問い合わせもほとんど皆無で、例えば「Movable Typeを動かしたいです」とか、「動画をストリーミングで流したいです」とか、「会員規模何万人の何々をやりたいです」とか、「ショッピングサイトにこういう機能を付けて、こういうふうにやりたいです」といった内容が当たり前になってきました。

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