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クラウド時代のIT技術者の姿とは--コストセンターからプロフィットセンターへ

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 これまでの情報システムを大きく変えるクラウド、本連載ではその活用を最新のトレンドと事例を交えながら探る。今回は、クラウド活用の主役となるエンジニア、そしてIT部門に再び着目したい。

 クラウドの知識やスキルは早晩ITエンジニアの必須項目になると容易に想像できるが、現役エンジニアやエンジニアを目指す志望者が考えておくべきことは何だろうか。

 エンジニアについては連載第3回で、具体的なスキルとして「クラウドサービスについての知識」「セキュリティ」「仮想化」「クラウド管理と自動化」「データベース管理」をあげた。今回はより広い視野で、クラウド時代におけるエンジニアの役割をみてみたい。

変化の障壁は人?


 クラウド導入の最大の障害は、「人」かもしれない。変化を恐れて、抵抗する気持ちがIT部門内にある場合もある。レガシーアプリケーションに固執したり、プロセスの変更を拒む人がいるかもしれない。上の立場にある人は、チームの変革管理(Change Management)についての手法を調べてみるのも手だろう。

 クラウド導入においては、規模が大きいほどビックバン型アプローチは難しい。イニシアティブをもとに体系化されたプロジェクトで進めていくことになる。IT部門が自身の効率化と変革を考えながら進めていくことが変化を促進し、時代にあったエンジニアへの転身を支援することだろう。クラウドへのシフトをチャンスと捉えるかどうかは、その人次第と言えそうだ。

 第3回でも触れたように、クラウドのスキルを持つIT人材を求める企業は増えており、IDCではクラウド関連の雇用は2015年まで年間26%増で成長すると予想している。現在のところ需要と供給のミスマッチが起きている原因としてIDCは、トレーニング、認定、実務経験の3つが不足していることを挙げた。認定については、Microsoft、Salesforce.com、Amazon Web Services(AWS)などが制度を提供しており、これを活用するのも手だろう。トレーニングと実務経験については自らが探し、作っていく必要がある。

 それに当たって、ITの役割がクラウドによりどう変わるのかを知っておくことは助けになる。以下では、全体のトレンドを考えてみたい。

コストセンターからプロフィットセンターへービジネスのパートナーとしてのIT


 ITは企業や組織の中でどちらかというと人材の流動が少ない隔離された部門だ。要件に沿って開発し、やり取りが生じるのは問題があったときというケースも少なくないだろう。このように、サーバ、ストレージ、ネットワークなどのインフラ担当者はもちろん、アプリケーションやサービスの開発者もこれまでエンドユーザーと直接やり取りすることは少なかった。

 だがクラウドにより、面倒な設定作業などは大きく削減される。ITはこれまで以上に事業側のニーズをくみ取るのに時間と労力を割くことができる。つまり、事業戦略を支えるITという本来の業務に集中できることになる。ここで重要となるのは、1)コミュニケーションスキル、2)業務やビジネスに関する知識と理解、3)システム全体を見渡せる視点――などになりそうだ。

 エンジニアはこれまでコードを書く、システムを設計するなど自分の専門だけに長けていればよかった。だが事業側とのやり取りを通じて実現したいことを理解するためには、コミュニケーション能力が問われる。背景となる業務やビジネスに関連した知識も、話を進める上で欠かせない。

 (3)は技術に関連しているが、組織が大きくなればなるほどIT部門内で専門化と分業化が進んでいる。クラウド時代は改めて、全体を見渡せる視点が不可欠だ。クラウドではネットワーク、サーバ、OS、アプリケーションの各レイヤの結びつきが強くなるため、幅広い知識があると役に立つ。サーバ管理に精通している、アプリ開発だけやっていればいいという完全な分業型から、各レイヤの基本的知識を共通土台とした分業がクラウド時代には適している。

 だからといって技術そのものが変わるわけではなく、これまでの得意分野は引き続き役に立つことだろう。ただ、作業はよりオープンになり透明性が求められる。

 このように、IT部門内でもそれぞれの分野に精通した人同士が協業する機会が増えることから、改めて(1)のコミュニケーション能力、場合によってはネットワーク能力、チームやプロジェクト管理も大切になりそうだ。事業を支えるITとして相互連携が軌道に乗った後は、さらに踏み込み、ビジネスに変革をもたらす提案型のITを目指したい。

 ITがコストを生むコストセンターから収益を生むプロフィットセンターに変わる、それに向けて大きなチャンスをもたらす技術がクラウドなのだ。

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