ITR×アカマイ特別対談 インターネットにシフトする企業のネットワーク戦略
スマートデバイスの爆発的な普及に伴うネットワークトラフィックの急増、ビジネスのグローバル化といった変化を背景に、ネットワークインフラの再考を迫られている企業は多い。ビジネスに占めるITの役割が拡大する中、企業はネットワーク戦略をどう立てるべきか。株式会社アイ・ティ・アール プリンシパル・アナリスト 甲元宏明氏と、アカマイ・テクノロジーズ合同会社 マーケティング本部 本部長 松原達也氏にお話をうかがった。
企業はインターネットをもっと活用すべき
松原:甲元さんはさまざまな企業からIT戦略について相談を受けていらっしゃると思いますが、ネットワーク関連ではどのような動きがあるでしょうか。
甲元:まず市場全体の話をすると、ネットワーク機器の分野では無線LAN機器市場が好調です。ここ数年は通信キャリアの公衆無線サービスがこの市場を牽引していましたが、昨年あたりからはエンタープライズ向けのWi-Fiが急成長しています。その背景には、企業がタブレットなどのスマートデバイスを積極的に導入するようになったことがあります。しかし、インターネット通信のセキュリティを気にして、モバイル環境で利用しているスマートデバイスからインターネットを利用する場合においても、リモートアクセス経由で自社WANに接続し、その環境からインターネットを利用する企業も少なくありません。これは、利用者には非常に使い勝手が悪く生産性に悪影響を及ぼしますし、対応可能なデバイスも限られます。スマートデバイスもパブリッククラウドもインターネットありきで発展してきたテクノロジです。今後、すべてのIT系テクノロジやサービスはインターネットを中心に発展していきます。将来的には、企業システムもアプリケーションをインターネットにおいてスマートデバイスから利用するスタイルに向かうはずです。
松原:BYOD、コンシュマライゼーションといったトレンドに則した変化が生じているわけですね。企業としては、そうした変化を成長につなげる施策が打てるかどうかが課題。
甲元:残念ながら、日本のBYODは遅れています。コスト削減が目的とか、やむなく認めているといった後ろ向きなBYODが日本には多い。生産性を高める前向きなBYODが本来の姿で、欧米ではこのような視点で対応を進めている企業が多いのです。
私はいろいろなところで「WANをやめてインターネットをもっと活用すべき」と話しているのですが、その背景にはオンプレミスからパブリッククラウドへ、というITプラットフォーム移行の流れがあります。
ネットワークは昔からありますが、成長を支える重要な資産として位置づけているところは少ない。IT戦略と同じくらい、ネットワーク戦略は重要です。
ところが、インターネットへの移行では、コスト削減への期待がある一方で、保証がないことに強い不安を感じる企業も多いですね。特に企業文化として"自前主義"が根強く残っているところは抵抗が強い。
松原:これは極端な例かもしれませんが、当社のお客様でイントラネット内にある社内ポータルサイトをインターネット化してしまったところがあります。ビジネスのグローバル化が進む中で、企業文化の共有などを効果的に行うためには、いまや世界中でアクセスが可能なインターネットを使うことが理にかなっていると。インターネットの保証がないという弱点をアカマイのサービスでカバーするという発想です。
当社は、世界90カ国に配備された14万台以上のサーバーからなるプラットフォーム「アカマイ・インテリジェント・プラットフォーム」を持っています。インターネットを"一般道"とするなら、インテリジェント・プラットフォームは"高速道路"のようなもの。最適経路の選択とコンテンツのキャッシュ機能で、高速かつ安定したコンテンツ配信を実現するプラットフォームで、世界のWebトラフィックの約30%がこのプラットフォームを経由して配信されています。WANと違ってインターネット透過なのでモバイルとも相性がよい。
また、サーバーを動かすのは独自 OS で、サーバーそのものには物理的なインターフェースもなく、厳重な管理の下運用が行われているのに加えて、PCIDSS にも準拠することでプラットフォームのセキュリティの向上に取り組んでいます。また、配信のお手伝いをさせて頂くお客様の Web 資産を守るという観点からは、プラットフォーム全体が DDoS の防御壁となり、 WAF の機能を搭載するオプションも提供しています。
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[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部 掲載内容有効期限:2014年3月31日