営業やマーケティングに携わるビジネスマンなら、誰もが一度は「製品・サービスの良さを存分に伝えきれない……」というジレンマに陥ったことがあるだろう。「使えば分かる」という製品・サービスの良さを訴求するには、カタログや口頭の説明だけでは限界がある。例えば処理速度を売りにしている機械製品の場合、カタログの文字で処理速度を伝えるよりも実際にデモを見せた方が分かりやすい。動画やインタラクティブコンテンツを介して疑似体験させるのも良い。つまりこれまでのツールや販促手段では、"実感"を伝えられないのだ。
こうした課題を解決するのが、アドビ システムズが提供する「Adobe Digital Publishing Suite」(以下、Adobe DPS)だ。Adobe DPSは、紙で制作した既存のカタログや販促ツール、出版物などをiOSやAndroid対応のタブレット/スマートフォン向けにアプリ化し、配信できる包括的なソリューション。洗練されたビジュアルはもちろん、動画や音声、インタラクティブ機能などを埋め込むことが可能なので、静的な紙メディアでは不可能だった"実感"を伝えるコンテンツが制作できる。これにより、従来とまったく異なる効果的・効率的なマーケティング/販促活動を展開できるわけだ。
そんなAdobe DPSについて、マーケティング分野における具体的な活用事例を示したのが、2014年4月10日、ウェスティンホテル東京で開催された「デジタルマーケティング 最前線 -成功するビジネスアプリの最新事例-」というセミナーだ。このセミナーは、より効果的なマーケティング手段を模索するマーケターに対し、先進企業の事例と共にマーケティングにおけるデジタルコンテンツの必要性を示したものだ。なおAdobe DPSの詳細や先進事例については、ホワイトペーパーでより詳細な内容が確認できるので、参考にしてほしい。
まずキーノートセッション「企業におけるマルチデバイス活用マーケティング」で、月刊「販促会議」編集長の中澤圭介氏が2014年注目のデジタルプロモーションについてさまざまな事例を紹介。オフライン/オンラインを融合したO2Oマーケティングによる顧客獲得や、店舗・通販・Webなど複数のチャネルを進化・融合させた「オムニチャネル」によるアプローチが進んでいると説明した。その入り口となっているのが、デジタルサイネージや専用アプリだ。こうしたアプリをスマートフォン/タブレットで展開することで、利便性の高いサービスやプロモーションを可能にし、結果的にリピート購入につながる顧客を集客できる。
続いて、アドビ システムズ社シニアディレクター Ben Choi氏による「企業におけるマルチデバイス活用マーケティング」と題したセッションでは、マーケティングツールとしてのAdobe DPSの活用事例が紹介された。現在、Adobe DPSが採用されたアプリは世界で1億7500万超、今も毎週200万のアプリが公開されているという。米国では顧客向けのほかに従業員向けのアプリも登場しており、モバイルデバイスの活用が進む日本でもこの流れが進むと見られる。またChoi氏は、iOSやAndroid、Windowsにも1つのコンテンツを展開できる上、解析機能やHTMLを利用してマーケティング・プラットフォームとして利用できる拡張性を説明し、社員・顧客を含む営業や販促のためのコミュニケーション活性化を実現すると述べた。
日本企業ではどのように活用されているのか。セミナーでは、ニコンイメージングジャパン株式会社、リコージャパン株式会社、株式会社NTTドコモの事例が紹介された。
ニコンイメージングジャパンでは、同社が提供するさまざまなレンズについて、その作例写真を数多く掲載して使用イメージを喚起すると共に、条件やシチュエーションで製品を絞り込むインタラクティブ機能を追加したiPadアプリ「ニコンレンズガイド」をリリース。製品の魅力を存分に伝えつつ、スペック重視のユーザーと、作例中心のカジュアルユーザーの両方に効果的なアプローチを実現している。
また、リコージャパンは約5000人の営業マンが利用するAdobe DPSで制作したセールスツール用アプリを紹介。営業マンのiPadにインストールされており、全員が商品の訴求ポイントや知識をばらつきなく共有できるようになっているという。また、映像や疑似体験機能により、分かりやすく製品を訴求できるほか、下記のホワイトペーパーでも掲載しているように、海外市場への応用展開、営業担当者のさまざまな負荷軽減を実現し、さらに印刷コスト削減というビジネス効果も得られたそうだ。
NTTドコモは、法人顧客向けに事例ソリューションを紹介するアプリと、社内の営業スタッフトレーニング向けアプリの2種をAdobe DPSで制作している。アプリ内に事例紹介映像を収録することで、顧客の記憶をヒントに目的のコンテンツを迅速に提示できるようになったという。また、多くの営業スタッフがアプリを通じて事例を学習することができ、トレーニングにかかるコスト・工数も削減できた。この結果を受け、同社ではさらにAdobe DPS実証の場として、デジタルマガジン「4D」をリリースし、社内にスタジオを設置し制作ノウハウの蓄積に努めているという。
Adobe DPSは、単に「紙をデジタルに置き換える」ものではない。それは顧客への最適なアプローチであり、これまでの販促では不可能だったリアルな使用感・製品エクスペリエンスを提供するマーケティング手段なのだ。その効果については、製品ホワイトペーパーで具体的に述べているとおり。自社製品・サービスを効果的に顧客に伝えたいマーケターにとってこの製品ホワイトペーパーは、一見する価値は充分にある。
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