ディズニーとユニバーサル、AI画像めぐりMidjourneyを提訴--「盗作の底なし穴」と非難

Katelyn Chedraoui (CNET News) 翻訳校正: 編集部2025年06月12日 10時44分

 DisneyとUniversalおよび関連する複数のエンターテインメント企業は米国時間6月11日、人気の生成AIサービスを提供するMidjourneyを著作権侵害で提訴した。大手企業によるこの動きはAI業界とエンタメ業界に波紋を広げ、AIツールで何を創作できるかという問題にも影響を与えるだろう。

Marvel Studiosによる映像 提供:Marvel Studios
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 Midjourneyはテキストを画像に変換する生成AI技術を活用する、多くのAI画像生成サービスの1つだ。アカウントさえあれば誰でも同社のAIモデルを使ってデジタル画像を作れる。多くのAI画像生成サービスは、ブランドのロゴや有名人の肖像のほか、特定可能で著作権で保護されている場合も多い素材を再現できないように、ポリシーや内部の制限を設けている。DisneyとUniversalは、両社が懸念を伝えた後もMidjourneyがこうした対策を講じなかったと主張している。

 両社は訴状の中で、Midjourneyの画像生成技術および今後提供予定の動画生成技術は、適切なライセンスや原作への関与なしに「DisneyとUniversalの有名なキャラクターを露骨に取り込み、コピーしている」と述べた。さらに「Midjourneyは典型的な著作権ただ乗り企業であり、盗作の底なし穴だ」と主張している。

 100ページを超える訴状には、Midjourneyがユーザーに対し、マーベルや「スター・ウォーズ」といったDisneyやUniversalの世界に属するキャラクターの再現をどのように可能にしているかが詳述されている。訴状には、両社が生成できた象徴的なキャラクターの画像の例も掲載されており、これには「シュレック」や「スター・ウォーズ」、DreamWorksの「ヒックとドラゴン」などに登場するキャラクターが含まれる。

 Midjourneyはコメントの依頼に現時点で回答していない。

 著作権はAIにおける主要な法的・倫理的課題の1つであり、エンタメ企業対AI企業の大規模訴訟はこれが初めてではない。Karla Ortiz氏らアーティストの集団によるStability AIへの集団訴訟が進行中であり、The New York Timesなどのパブリッシャーも「ChatGPT」開発元のOpenAIを訴えている。

 一方で、一部のエンタメ企業は創作のワークフローにAIを取り入れる方法を慎重に模索している。DisneyはAIについて多くを語ってこなかったが、可能性を公に否定したわけでもない。その姿勢はDisneyが米CNETにメールしたコメントにも表れている。

 「われわれはAI技術の可能性に期待しており、人間の創造性をさらに高めるツールとして責任を持って活用できると楽観している」と上級執行副社長兼最高法務・コンプライアンス責任者のHoracio Gutierrez氏は述べた。「しかし海賊行為は海賊行為であり、AI企業が行ったからといって侵害が軽くなるわけではない」

Midjourneyの生成画像と著作権で保護されたキャラクター 訴状に掲載された別の例
提供:Screenshot by Katelyn Chedraoui/CNET

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この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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