KDDIは4月10日、日本初の衛星とスマートフォンの直接通信サービス「au Starlink Direct」の提供を開始した。宇宙の衛星から日本全土を自社エリア化した。
auユーザー専用で、料金は当面無料。申し込みも不要だ。これまで圏外だった場所も、空さえ見えれば衛星経由でメッセージ(SMS・RCS・iMessage)の送受信やGeminiによる調べ物(Android限定)、緊急地震速報/津波警報/国民保護情報(Jアラート)の受信が可能となる。また、夏以降はデータ通信にも対応する。
au Starlink Directは、SpaceXの低軌道衛星ブロードバンド「Starlink」を活用したサービスだ。ユーザーは専用アンテナ無しで、手持ちのスマートフォンで衛星経由で通信できる。
これによって、通信環境の整備が困難な山間部や島しょ部、海上などにおいても、家族や友人との連絡、緊急時などに活用できる。auの人口カバー率は99.9%を超えているが、日本特有の地形により、面積カバー率は約60%に留まっていった。宇宙の衛星を活用してこの穴を埋める。
対応機種は、iPhoneの場合はiPhone 14、iPhone 15、iPhone 16シリーズ。Xperiaは2023年以降の全モデル。Galaxyは2022年以降に発売されたほぼ全機種。他にPixelやシャオミ製など50機種が対応する。
前述の対応のスマートフォンが圏外エリアに入ると、空が見える状況であれば、Starlink衛星と自動的に接続され、画面右上のステータスバーのアイコン表示が「圏外」から衛星のピクトに切り替わる。そして、メッセージアプリに「衛星経由でメッセージを送受信できます」とメッセージが届く。
その後は、例えば登山中に遭難した場合、従来は圏外だった場所でも、知人や家族にメッセージを送受信できる。位置情報も送信できるので、捜索にも役立つ。このほかにも災害時などでの活用も期待される。
当面無料にした理由について、代表取締役社長を務める松田浩路氏は「auユーザーへの安心感にも繋がる。単品でサービス収支を考えておらず、メインブランドとしての価値の1つとして捉えてもらいたい」とコメント。また、au以外のサブブランドへの展開は「検討中」と述べた。
携帯電話市場の競争が激化する中、衛星通信サービスは大きな差別化要素となりそうだ。4キャリアの中では楽天モバイルも米AST SpaceMobileの衛星を用い、衛星とスマートフォンとの直接通信サービスを2026年に開始予定だ。
一方でNTTドコモとソフトバンクはHAPS(成層圏を飛行する電気飛行機)を用いた携帯エリア化に注力しており、このうちドコモは2026年のHAPS商用化を目指している。CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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